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北の大森林の主
招かれざる客⑤
しおりを挟む一瞬にして移動したアイセンレイトに、目を剥いたのは、団長だけだった。
当たり前だ。
神だと分かり切った相手だ。
普通じゃないのは、至極、当たり前だった。
それが解らなかった騎士団長には破滅の道しか残っていない。
女みたいな顔をして、女みたいに長い髪を垂らしていて、細くて、なよっとした身体付きで……。
彼にはアイセンレイトは軟弱で舐めて掛かる相手にしか見えなかった。
そうとしか見なかった事が、騎士団長の敗因のもっともな理由だった。
近寄っていたアイセンレイトは、乾坤圏を異空間に戻すと、武器も持たぬ儘、何と、騎士団長の額に向けて『デコピン』をしたのだ。
勿論、騎士団長の後ろの騎士に「団長さんの後ろの君達、受け止めてやってね」と、付け加えて。
勿の論、吹っ飛びますわな。
『天災級の戦闘能力』と揶揄されるアイセンレイトですから。
見た目がアレでも、力加減は9割強(抑える方向で)でも。
アイセンレイトは、馬鹿みたいに強いのです。
軽く数メーター吹っ飛ばされた団長は団員達に止められたのかと思いきや、騎士達と共に吹っ飛んで行った。
「げっ…… 1%に出力調整したのに何で4人も吹っ飛ぶの? 」
アイセンレイトの呟きに、彼の頭上から爆笑の声が聞こえた。
むっとして、斜め上を見上げたアイセンレイトは、其処に見知った姿を見て眉を寄せた。
けれど、その背中に乗る少女を見て、切り替え早くニコッと微笑んだ。
愛しの番の少女が、その瞳を見開いてアイセンレイトを見ていた。
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