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北の大森林の主
再会
しおりを挟む「やあ、怪我は無い? 大丈夫? 」
騎士達に対する態度とは、180度転換して人が変わったように優しげに微笑む、アイセンレイト。
「レ~イ、笑いすぎ。僕の番を落とさないでよ……。怪我させたら、一週間おやつ抜きにするからね…… 」
未だ爆笑するフェンリルが、背中のラスティエルを盛んに揺らしていたのを見咎めて、アイセンレイトが脅した(多分)言葉にレイは横行した。
まぁ、レイがラスティエルを忘れて笑いすぎた事に起因するのだが、『それは困る』と言って彼が笑いを納めた隙に、アイセンレイトはラスティエルを抱え降ろした。
その折にアイセンレイトとラスティエルは、今までで一番近寄ったせいで、ラスティエルが平常心から『ボンッ』と爆発してしまった。
成れない人には、アイセンレイトの美貌は見ただけで赤くなる事間違い無しな訳で……。
必然と言えば必然で。
御多分に漏れず、彼女もそうなってしまった。
見ようによっては、冷たく見えるアイセンレイトの美貌も、母親そっくりなたれ目のお陰で、柔らかな雰囲気を醸し出していた。
それも彼の魅力の一つだった。
愛らしいラスティエルの様子に、アイセンレイトは上機嫌で彼女の全身を観察して眉を寄せた。
埃だらけで泥だらけの姿だけならまだ由とするが、膝を擦りむいている姿に、彼は機嫌を損ねた。
そんな様子に、ラスティエルは今一度、自分を鑑みて恥ずかしくなった。
「あっ……、ごめんなさい。私こんな格好で…… 」
「大丈夫、洋服の事は良いんだよ。着替えなら沢山有るから。其れよりも、膝を擦りむいている…… 」
アイセンレイトは傷の具合を見て薬壺を取り出した。
勿論、どこから? なんて聞かないで欲しい。
相手は神様だから、何処からなんて言いづらい。
「あ~ん」
そう言われて思わず、
「あ~んっ」
と、答えてしまったラスティエル。
ポイッと口の中に放り込まれたモノは、彼女にとって懐かしの一粒。
「ふふっ、どんなに美味しくてもコレは薬だからね。一粒しかあげられないよ…… 」
そう言ってアイセンレイトはラスティエルに微笑み掛けた。
目を細めて笑う彼に、ラスティエルは嬉しくなった。
──あの言葉を彼は忘れていない ──
ラスティエルは、嬉しくて仕方が無かった。
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