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大森林の小さな家
ラスティエルとアイセンレイトの温室
しおりを挟む「アイセンレイト様、そのたとえ話は…… 」
「こういう脳筋男には、至極現実的な話が一番解りやすいんです! 」
レイトの言う事は至極ごもっともである。
その証拠にギデウスの頭の上にはびっくりマークが浮かんだように見えた。
「なっ、おっ、おいっ!! 俺はどうしたらいいんだっ!? 」
ガバリとアイセンレイトにしがみつくギデウスを彼は押しやりながら吐き捨てるように言った(つうか、押しやれる事の方が実は凄い気がする)。
「一刻も早く感覚を身に付けるしか無い! 嘆いてる暇があったら覚えろ! でなけりゃ嫌でも下の世話をされる事になるぞ」
赤ちゃんのように、お尻を他人に拭かれるのを想像したのだろう、ぐわんぐわんと頭を振って「嫌だ~っ! 其れだけは嫌だぁ~」と嘆いたかと思うと、グワッシッと左手で茹で玉子を持つと、握り潰した。
「阿呆」
そして間髪入れずにアイセンレイトに言われた、ギデウスであった。
さて、ギデウスの相手は彼の相棒のスウェンに任せ、アイセンレイトは温室へと向かっていた。
屋敷の裏手に設けてある温室は、世界各地から集められた変わった植物や貴重な植物、絶滅危惧種等が所狭しと置かれていた。
アイセンレイトは、何故か其処へ紛れ込んで、出て来れなくなっているだろう愛しの番を迎えに来たのだ。
番だから解る彼女の居場所。
その本能で知ったその場所へ、アイセンレイトは踏み入れた。
彼が仕事をしている間、敷地内なら良いよと探検を許したアイセンレイト。
好奇心の赴くままに、見て回ったラスティエルは、その不可思議な空間で途方に暮れていた。
温室の手前には色とりどりの花が咲いている。
世界各国から集められた、珍しい花や薬草のブースだ。
此処を見ている間は良かった。
この辺りなら、お茶が楽しめるテーブルと椅子が置かれていたから。
かく言うラスティエルも、この花園でお茶が出来たら素敵だろうなと思っていたのだ。
そんな折り、このタイミングで現れたテーブルと椅子。
ドストライクであった。
けれど、この屋敷には、執事も侍女も居ない。
お茶の準備は自身で行わなくてはならなかった。
「仕方が無いですね。次はお茶とお菓子持参して来ましょう…… 」
ラスティエルはそう独り呟いた。
そして、花々を愛でながら、奥へ奥へと進んで行った。
奥には珍しい植物が居る。
だが、もっともっと奥の奥。
その場所には、少し困った手癖を持つ植物も有るのだと言う事を、ラスティエルは知らなかった。
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