46 / 86
大森林の小さな家
ラスティエルとアイセンレイト
しおりを挟むひとしきり魔樹の2人をからかった後、アイセンレイトはラスティエルを伴って屋敷へと戻り始めた。
端から見たら、気持ちの悪い稀少植物の説明を受けつつ、ラスティエルはアイセンレイトを見上げた。
シミ一つ無い横顔の美しさに、思わず見とれてしまう。
こんなに綺麗な人がわたくしの婚約者だなんて、未だに夢のようです。
と、改めて思うラスティエルは、ついつい頬を緩めてしまう。
小さな頃から母親から『貴女はいずれ高貴な殿方へとお嫁に行くのです。ですからその方の力になれるよう精進するのですよ』と言われ続け頑張って来たのは、ルイボス王国の第二王子に嫁ぐ為では無く、この方に嫁ぐ為なのだと今では確信していた。
「ん? どうしたの? ラス? 」
ずっと見られていた事に、気付かなかった訳では無い。
ラスティエルの好きにさせていた彼が、彼女が百面相をし始めたのが切っ掛けで、何が有ったのか気になって、彼女に質問をしたのである。
そうとはつゆ知らず、物思いに耽っていたラスティエルだったのだが、思考内容が隠す事でも無かった為に正直にアイセンレイトに答えを返した。
「はい、大した事では無いのですが、わたくし、幼い頃からお母様に『貴女はいずれ高貴な殿方へとお嫁に行くのです。ですからその方の力になれるよう精進するのですよ』と言われて育って来たのです。その相手がずっとルイボス王国の王子の事だと思っていたのですが、もしかするとアイセンレイト様の事だったのかも知れないと思いまして…… 」
ラスティエルの言葉にアイセンレイトは目を見張った。
そして、『そうか、玄武神がそんな事を…… 』、と小さく呟くと、彼は砂糖をぶちまけたような甘い甘い微笑みをラスティエルへと向けて言った。
「元々、ラスの両親と僕の両親は友人でね。父親同士は特に昔からの友人だったらしい。両親達がそんな関係だったから、きっと彼等は僕達の事に気付いていたのだろうね。だから玄武神は君にお嫁さん云々の話をしたんだろうね」
その言葉にラスティエルは目を瞬かせたのだった。
「僕らは、両親公認のカップルだって事だよね。これからは益々遠慮しないからね」
そう言ってアイセンレイトは、恋人繋ぎで繋がれた手を引いて、ラスティエルを引き寄せた。
突然の彼の行動ではあったが、ラスティエルにとって、その行為は全く嫌では無かった。
恥知で顔が赤く火照る事にはなったが、其処まででラスティエルは初めて気を失う事が無く、アイセンレイトの腕の中へと収まった。
0
あなたにおすすめの小説
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】
日下奈緒
恋愛
王家に仕える騎士の妹・リリアーナは、冷徹と噂される第3皇子アシュレイに密かに想いを寄せていた。戦の前夜、命を懸けた一戦を前に、彼のもとを訪ね純潔を捧げる。勝利の凱旋後も、皇子は毎夜彼女を呼び続け、やがてリリアーナは身籠る。正妃に拒まれていた皇子は離縁を決意し、すべてを捨ててリリアーナを正式な妃として迎える——これは、禁じられた愛が真実の絆へと変わる、激甘ロマンス。
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。
有賀冬馬
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。
選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。
涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。
彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。
やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる