56 / 86
動き出す
欠片の行方
しおりを挟む「さぁてと、問題は女禍の欠片だが、この星に幾つ落ちた? 」
そう問い掛けたアイセンレイトに、驚いた顔を見せたのは太公望の方だった。
理由は、アイセンレイトがこの箱庭世界を『星』と表現した為だった。
「そなた、此処が星だと理解しておるのか!? 」
「は? 当たり前だろう? 地球は平と言う人達じゃ有るまいし、いくら此処が弥勒の箱庭と言ったって、『地球』に似た星に色んなモノを詰め込んでみた大実験場だと言う事位、知っている。僕は世界樹と繋がっているんだから尚更此処は『惑星』だと解る」
「なる程、要はその世界樹と言うものは、宝貝のような物なのだな」
何かに納得したように太公望は頷くが、アイセンレイトは若干変顔だ。
見た目に頓着しないのは、やはり父親譲りなのか。
「法具の事を言っているのなら、アレはそんなモノでは無いよ。どちらかというと、生体コンピューター、演算機かな。ありとあらゆる『IF』を用いての演算と世界の管理を担うモノ、それが世界樹なんだよ」
アイセンレイトはそう言って、唇の端を釣り上げた笑いを見せた。
逸れを見て、太公望もにやりと笑う。
そしてアイセンレイトに淡々と言った。
「そんな大事な話を、部外者に話して大丈夫なのか? 」
「この話を聴かれたとして、何人が理解出来ると思う? 理解出来る奴が居たとしたら、それは僕らのように、『外』を知る者だけさ。そうは思わないか? 太公望。と、言っても僕も、此処から出た事は無いんだけどね…… 」
「ふむ、確かにお主の言う事にも一理あるのぅ」
と、太公望は少し思案すると、納得したのか頷いた。
逸れを見たアイセンレイトも、フッと息を吐くと気持ちを切り替えてよし、と、気合いを入れた。
「よし、女禍の欠片が特定されたぞ。欠片は全部で5つ。1つはもう既に妲己の身体の中だが、残り4つは無事だ。回収しよう。太公望。それが望みなんだろう…… 」
アイセンレイトがそう言うと、太公望は、感心したように笑って、
「流石、あの神が推薦しただけは有るのぅ。頼りになるわ…… 」
そう言った。
己の言葉に、アイセンレイトが顔をしかめるとは思わずに。
「あの神って…… 」
「うむ、此処に来て神気の一番強い所に行って、協力を仰いだら、お主を紹介されてのぅ…… 」
「…… (さては、面倒くさくて厄介払いしたな、父上) …… 」
「薬師如来と、言ったな」
「…… (やっぱり父上か) …… 」
アイセンレイトは、太公望の言葉を聞きながら、心の中で悪態を付きつつ、実際には肩を落としていた。
そしてもう1つ。
女禍の欠片を探していて、1つ気付いた事があった。
女禍の欠片を、妲己意外にも見つけた者が居たのだ。
それが誰なのか。
世界樹が見ていたモノは、アイセンレイトにも見える。
監視カメラのような機能が世界樹にはあって、それは世界中を網羅していた。
そして、世界樹の目で世界を見渡せる者は、この世にたった1人きり。
その彼がみた光景とは。
── お~い、フィー、何で君が道端でソレ拾ってるかなぁ~。兄ちゃんは、何でもかんでも拾うなって昔っから言ってたよね。何で拾うかなぁ…… ──
と、嘆きつつ、肩を落としたまま,大きな息を吐き出した。
0
あなたにおすすめの小説
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】
日下奈緒
恋愛
王家に仕える騎士の妹・リリアーナは、冷徹と噂される第3皇子アシュレイに密かに想いを寄せていた。戦の前夜、命を懸けた一戦を前に、彼のもとを訪ね純潔を捧げる。勝利の凱旋後も、皇子は毎夜彼女を呼び続け、やがてリリアーナは身籠る。正妃に拒まれていた皇子は離縁を決意し、すべてを捨ててリリアーナを正式な妃として迎える——これは、禁じられた愛が真実の絆へと変わる、激甘ロマンス。
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。
有賀冬馬
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。
選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。
涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。
彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。
やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる