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動き出す
フィリーが拾った物
しおりを挟む空を駆けていたフィリーが、地上の一瞬光った小さな煌めきに気付いたのは、本当に偶然の産物であった。
但し、それが本当に偶然だったのかは、少し首を捻る事柄であったが、取り敢えずは現時点では偶然だ。
「赤い貴石だね。うん、こんな石あたしの知識の中にも無いよ……。ね、ルナティ、あんた見た事有る? 」
『う~ん、これは僕にも解らない代物ですねぇ。』
フィリーは澄んだ青色の空を見上げると、石を其処に翳して見上げた。
それは光を通して、きらきらと瞬き、透明度の高い赤を彼女に見せ付け、純度が良いだけの何の変哲も無い石に見せた。
石からは、悪い気は伺えない。
そして数多の宝石のように煌びやかで、しかも大きかった。
それはまるで、図鑑で見たルビーの原石のようだった。
磨いて加工すれば、鳩の血クラスの石になりそうな位に高価な代物に成りそうな予感がした。
「良いものめっけ❤コレを、ねえ様になるラスティエルちゃんにプレゼントして、お近付きになっちゃおっと。手土産がしょぼくて気になってたのよね~っ!! 何に加工するか、ラスちゃんと相談するのだ~、ぬふふふ…… 」
これ幸いと、色々と考えるフィリーに、苦言を投げたのは同行していたライオンのぬいだった。
『フィリー、それ落ちてたんだよ? そんなのあげるの? 』
ぬいのルナティがそう言うと、言われたフィリーはドヤ顔で言い返した。
「馬鹿ねぇ、コレは宝石の原石よ! 落ちてても可笑しく無いの。元々は山の中から採掘するんだから。カラスか何かが、顔を出していた石を掘り出したのよ。きっと」
フィリーは、ふふふふと不気味な笑みを見せると、スカートのポケットにその石を押し込んだ。
「さあ~て、森まで後一っ飛び、コレなら昼ご飯頃には屋敷に着きそうね。もう一踏ん張りするわよ~っ、ルナティ」
フィリーは、そう元気よく言い切ると、とんっと地面を蹴って飛び上がった。
その様は、やはり兄に良く似ていたのだった。
ラスティエルは、アイセンレイトがいないこの日、彼や屋敷の皆に食べて貰おうと、昔から得意なお菓子作りに励んでいた。
『美味しくなるスパイスは愛情だ』をモットーに造るお菓子達は両親や神殿の神官や巫女、には好評だった。
聞かれない為に言ってなかったが、ラスティエルが隣国の王城に上がる前まで、彼女の両親は、ランドール帝国の玄武神殿の敷地内に居を構え、其処で暮らして居たのである。
勿論、ラスティエルも一緒に。
彼女の母が玄武の御子姫、父親が教皇と言う特殊な仕事をしている為なのだが、ラスティエルは誰にも何も聞かれていないが為に、その情報を漏洩していなかった。
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