婚約破棄された転生令嬢は、魔の森の銀の薬師に溺愛される

黄色いひよこ

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動き出す

フィリーとラスティと赤い宝石

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『フィリー、涎、拭いて、お願い』


コソコソとフィリーに耳打ちするものの、その台詞、聞こえていますよルナティさん。

なので逆にラスティエルに聞かれて、ふふっと笑われて仕舞ったフィリー。

笑われたぞどうしてくれる、とフィリーはルナティを睨み付け、失言してしまったルナティはごめんなさいと言うばかりに縮こまる。

どちらかというと、フィリーの方が悪いのですが、そこんとこ、棚上げするのも彼女です。

ラスティエルは、2人の態度ににこにこと微笑みを見せると、


「フィリー様、紅茶のお代わりは如何ですか? そして、自慢のお土産を見せて頂けると嬉しいですわ」


そう言って、フィリーの涎の件は聞かなかった事にしてくれる。


「おっ、お姉様~っ! ほんっと、フィーって呼んでっ! 大好きっ! 早く兄ぃ兄ぃのお嫁さんに成って本当のお姉ちゃんに成って~っ! ほんっっと可愛いのぉ~っ! 」


っと、フィリーは完全に壊れてしまった。

此処で、本当ならフィリーをひっぺ返す筈の兄が居ないのが痛手である。

ルナティでは、フィリーをひっぺ返す能力なんて無かった。

此処はフィリーの独壇場。

逸れを笑って何毎もなく交わせるラスティエルは器がとても大きかった(天然万歳)。




「落ち着きました? フィー」

「は、はふぃ~、大分鼻息も落ち着いて…あわわわ」


可愛い物好きなフィリーとしては、ラスティエルは、年上ながらど真ん中のストライクで可愛いのです。

兄ちゃんでかした! 偉いと、此処に居ない兄に隠れたガッツポーズで激励する。

後は、奥手の兄が(あれの何処が奥手なのか?)番を手込めにしてくれればと思案する。

ラスティエルと会うまでは、兄を不幸にするのであればと思っていたが、ラスティエルの人となりにフィリーは一目惚れしてしまった。

これぞ単純思考と言える。

でもそれがフィリーの良い所だ。


2人はお茶を一口頂いて、カップをソーサーに置いた。


「コレがその石なんだよ。綺麗な赤い石なんだ~」


そう言って、フィリーは胸ポケットからハンカチを取り出した。

逸れをテーブルに置き、花弁をめくるように一枚一枚開くと、中から大きめな赤い貴石が現れた。

まるで吸い込まれるように目が行く。

瞳からその奥へ……。

ラスティエルの心に染みていくそれは、『寂しさ』だった。


『寂しい、寂しい。もう独りは嫌じゃ……。独りで逝きとう……無い…… 』


「あっ…… 」

「お姉様? 」


ラスティエルの呟きと変化にいち早く気付いたのは、フィリー。

立ち上がり、ぐらりと倒れてしまいそうな彼女を、切り裂いた空間から支え持つようにを手を出したのは、フィリーでは無く。

ラスティエルの腰を抱き、現れたのはアイセンレイト、その人であった。

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