私の番は薬師という名の如来様でした

黄色いひよこ

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学院と言う地獄

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彼女の名は、凪。

櫂と呼ばれる麗人の五歳年下の妻である。

櫂は、幼妻(五歳の年の差程度ではあっても、見た目小学生クラスなので、幼妻と言っている)を腕に抱えると、


「下へ降りましょう」


と、薬師然とした口調で言い放った。

その言葉に、まだここに来て一言も言葉を発していない男が、一歩前に出た。

黄金色の髪が日の光を彷彿とさせる。

日光菩薩の神名を頂く彼は、日光 豊と言う名で大学生に身を窶している。

彼も、地上に居る為には、神の姿では制約が有りすぎる為、月光と共に凪の父親である安倍晴明に式神の身体を造って貰いその中に魂を宿し地上に降りている。

薬師は総てを己で調整しているが、脇侍コンビはそうも行かないので薬師の友人でもある晴明の力を借りていた。


「薬師様、私が先に降ります。はぐれたら、職員室に集合と言う事にしましょう。色々と、マズい者が居そうな気がしないでも無いですが…… 」


と、薬師にはそう言って、日光は月光に向き直った。


「月光、お前、はぐれたらちゃんと職員室に来いよ。迷ったとか、職員室って何処? ってのは、無しだからな」

「わ~ってるって、ちゃんと職員室に行くから。学校なんで何処も似たような造りだしな~。大丈夫、大丈夫」

「そう言うお前が一番心配なんだがな…… 」


と、月光に向けて溜め息を吐く日光に、月光は不満気に頬を膨らませた。

流石、現役高校生をやっているだけあって、精神年齢が低い。

神の時はもう少しマシなのだが、やはり肉体に精神は引きずられるのか、月光に限らず日光や薬師も少々だが若かった。


「お子ちゃま、さっさと大人に成れよ」


日光は月光にそう言うと、背中を叩かれる前にひょいっと穴の中に飛び込んだ。


「うわっ、逃げたなっ! 日光!! 」


そう叫んで月光は、追いかけるように穴に飛び込む。

後に残ったのは瑠璃光夫妻であった。


「相も変わらず、あの二人は賑やかだねぇ…… 」

「無事向こう側に着くと良いんだけど。何かやな予感がする……、櫂」


可愛い凪が薬師を見上げる。

抱っこされても尚、見上げる高さのロングとショートの凸凹夫妻は、二人同時に溜め息を付くと、長身の夫が妻を抱えたまま、優雅に穴へと足を落とした。


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