無実の罪で断罪される私を救ってくれたのは番だと言う異世界の神様でした

黄色いひよこ

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箱庭世界『ヴィシュヌ』

事実と釈明②

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   とりあえず、名前の事は後回しにして話を進める。

   この箱庭世界を創った神様は、事態を重く見て、事の解決を図ってはみたが、どうも事態が大きすぎる。

   其処で白羽の矢を立てられたのが、我等が薬師如来だった。

   丁度、彼の番様も新たな身体を得る為に里帰り中。

   
   その神に取って都合が頗る良かった。

   勿論、薬師に先に頼めば嫌々ながらも動いてくれたと思う(と、私は思ったんだけどね)。

   けれど如何せん、彼は薬師如来に嫌われていた。

   と、思い込んでいた。

   兎に角薬師をこの件に引きずり込む為には、餌が必要。

   其処で、(また)白羽の矢が立ったのは、薬師の番様の凪で、新たなる聖女を立てなくてはならないと、算段していた所に薬師の魂の一部から造られた、凪と言う少女を新たなる聖女とし、聖女としての肉体を彼自らが作り出して箱庭世界に転生させた。

   神の番は神。

   そんな彼女が聖女に選ばれる……当然の事象と言わざるをえなかった。

   
   裏でこんな画策が成されていたのでは、流石の薬師も対処出来ないのは当たり前だった。


   「なる程ねぇ」


   日光が納得の声を上げ、月光が呆れた声で言う。


   「流石の薬師様も、怒るね。きっと…… 」


   その中で、ナディアが噛み締めるように呟いた。


  「私は、本当にあの方の番様なぎの生まれ変わりなのですねぇ。それに聖女様だなどと信じられません……」


   そうだよね。

   実は、ナディアが一番うろたえていた。

   当たり前だ。

   本人は、自分をただの侯爵令嬢だと信じて疑わなかったのだから。

   それも、公爵ではなくて侯爵の方だ。

   同じような家が多くも少なくも無いが、公爵よりは遥かに多い。

   その様な家の娘が『聖女』様だなんて…… とナディアは、考えていたが、良く考えてみよう。

   パターン的には『聖女』の多くは伯爵令嬢や男爵令嬢から多く排出されている。

   現に元聖女は男爵令嬢だっただろう、ナディアよ。

   そんな事実をナディアは、ものの見事に横に置いて置いて、後ろ向きな思考を思いっきり、やりのけていた。


   「凪様は、あれでいて女神様扱いされているからね。当然聖女だそうなるよね」

   「えっ!? 女神様です…… か? 」


   唐突な月光の言葉に、ナディアがすかさず反応する。

   
   「そうだよ。神の番は例外なく神となる。ってね、ナディア嬢は、僕らが神と言えば、対になるものとして、崇める者達がいるって事何となくでも解る?」

   「はい。我がソラシア帝国では、聖獣ルナティ様が崇められています」


   月光の問い掛けにナディアが答えると今度は日光がナディアに言った。

   勿論、その言葉はナディアに向けてと言うだけでは無く、その場にいる全ての者に向けてだった。


   
    
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