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神獣白虎『ルナティ』
素顔
しおりを挟むそしてナディアはその後、薬師の胸で思う存分泣いたのだった。
「ごめんなさいっ! 私ったら泣き過ぎですよねっ! シャツが…… 」
「いいよ、大丈夫。大丈夫。着替え持ってるから替えてくるよ」
そう言って薬師はナディアを置いて寝室に着替えに行ってしまった。
さぁ、此処からがナディアの独壇場だ。
「うっ…ううーっ、私の馬鹿っ!あんなに泣いてしまうなんてっ! とっても恥ずかしいじゃないですかぁっ…… 」
そう言うと、ばふんとソファーのクッションに顔ごと埋没してしまう。
ぐりぐりぐりぐり。
押し付けたまま顔を左右に振る。
あぁ、泣いて化粧が落ちてる顔でぐりぐりしたらクッションに……。
ウォータープルーフの化粧品なんてこの箱庭世界には有りませんから、おのずと状況は知れたもの。
皇宮のソファーのクッションには…。
みなまで言えばナディアが発狂しそうです。
ナディアがふっと顔を上げ、クッションを見て『!』と、なる。
「ああぁぁ、いけません! 化粧が!? 」
あわててクッションに、生活魔法のウォーターを掛ける。
乾かす為に風魔法も同時に掛けた。
どうやら彼女、機転は利くようだ。
そして顔にも同じ魔法を掛けてぐちゃぐちゃパンダを元の綺麗な顔に戻した。
すっぴんでは有るけれど。
「どうしましょう。このままでは薬師様に逢えません。すっぴんです(泣き)」
「いいよ、俺は気にしない」
ナディアの後ろから聞こえてきた声は、記憶に新しく、覚え立ての愛しい人の声。
「きゃっ!! 」と言う愛らしい声は、驚いた時の声で、漫画みたいな叫び方だが、コレはマジに出た声だった。
「私は気にするのですぅ~…… 」
涙声でそう呟くナディアの声がくぐもっているのは、両手で顔を隠しているせいだ。
「じゃあ、俺がナディアに化粧を施してあげる。これでも結構上手いんだよ」
「ふへ? 」
薬師の言葉にナディアは変な声を上げ、不思議そうに首を傾げた。
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