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神獣朱雀『エレオノラ』
どうしましょう、寝坊してしまいました
しおりを挟むナディアが二度寝から目覚めた時、隣には眠った後が残っていただけだった。
慌てて身体を起こすと、其処は主寝室。
隣で寝惚けながら薬師を撫で回した事が、ハッキリと思い出されてナディアは気付いた。
ふうううう~、アレは夢では無かったのですね。と、殿方の身体を撫で回すなんて、私なんとはしたない事を……。
ガックリと落ち込んでいるが、何時もの事だと思う。
半覚醒状態だったとしても、何故あんなにも胸筋と腹筋を撫でてしまったのでしょう。しかも、手つきがやらしかったような気がします。
と、唸りながら悩んでいる。
当たり前なんだよね。
ナディアは凪なのだから、記憶は無くても根本は変わらないのだ。
薬師は、服の上からだと解りずらいですが、かなりの細マッチョです。
戦闘は好きでは有りませんが、苦手な訳では有りません。
必要に駆られてやるだけで、弱い訳でも無いのです。
だから身体も出来上がっている訳ですね~。
と、脱線しました。
話を戻しましょう。
あぁ、大変です! 顔を会わせるのは恥ずかしいですが、寝坊したのはもっと恥ずかしいです! 早く朝の挨拶をしなければ!!
でも、どうしましょう。わたくし、寝間着のままですわ。お部屋はリビングを挟んで反対側、どうやって行けば良いのでしょう。
さてさて困ってしまった。
首を捻って考えては見たものの、良い方法が浮かばない。
思案しても仕方が無いのだ。
着替えを持ってきて欲しいと頼むか、自分でリビングを経由して取りに行くかしか無いのだから。
前者の場合は、薬師に、後者の場合は色んな人に、寝間着姿を見られてしまう。
ここはもう、過去に旦那様であった薬師に頼むしか無いだろう。彼になら寝間着姿など嫌と言う程見られて居る筈。
勿論凪が。
ナディアだって昨夜見られて居る訳だし、此処は彼に頼むしか無いと、ナディアは決心をしてコソッと顔が出る隙間だけ扉を開けると、薬師に、声を掛けた。
「薬師様、薬師様」
か細い声なのに、何故かリビングに揃っていた面々が全員、声のした方を振り返った。
勿論、その動きにナディアはギョッとする。
薬師は、優しげな表情を彼女に向けて、なおかつ、微笑んだ。
「おはよう、ナディア」
薬師言葉の後に、それぞれおはようの言葉がナディアに投げ掛けられた。
「おはようございます。薬師様、皆様」
ナディアの返すおどおどとした返事に、薬師は続けて「良く眠れた? 」と、声を掛けた。
いゃあ、もう、良く眠れたよね。
疲れ切っていたので、当たり前に爆睡してしまったのだ。
昨日の事を鑑みたなら、誰も寝坊したナディアを責めたりはしない。
「あの……、薬師様、わたくし寝間のままで着替えが欲しいのですが、生憎と此処には着替えが有りませんの…… 」
怖ず怖ずと訴えるナディアに、聡い薬師は手を打つ代わりににっこりと笑って、
「じゃあ隣から取って来ようね」
と言って立ち上がった。
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