無実の罪で断罪される私を救ってくれたのは番だと言う異世界の神様でした

黄色いひよこ

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秘密

大好きな貴方

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 目の前にある、難題に挑む決心をしたナディアの行動は潔かった。

 自室を出て目前の扉を見詰める。

 リビングを挟んでいる為、若干遠目に見えるが其処が薬師の部屋だ。

 静かだが、ナディアには其処に薬師が居る事が解る。

 戻っていたんだと思い、当たり前かとも考える。

 長い間では無いが、酔っ払って寝ていたのだから、彼が戻っていても不思議では無いのだ。

 ナディアはスタスタと薬師の部屋の前まで行くと、丁寧な仕草で扉をノックして待った。

 けれど、反応も応答も無い。

 少し待っても変わらない状況に、再度ノックをと手を上げた瞬間、ナディアの胸がググググッと締め付けられた。


 「櫂っ!? 」


 ナディアにとってそれは、総てにおいて優先させなければならない程の事態だった。

 薬師が慟哭したあの瞬間に彼女は立ち会って居たのだ。

 勿論、薬師はそれに気付かなかった。

 理由は、彼が『女神』の存在に気付いて居なかったからだ。

 彼女の気配は巧みにナディアに混ざっていたし、薬師が知りうるナディアの気配も別物に変質していた為なのだが、そのせいでナディアを『気』で感じられないかと言うと『番』としての気配は変質していないので彼女が常に側に居てる事は感じていた。

 だから薬師も有る意味油断していたと言える。

 泣いてしまった所を、ナディアに知られてしまったのだから。


 ナディアは、心配が高じて、そっと薬師の部屋の扉を開けた。

 暗がりだが、真っ暗と言う訳では無い。

 薄暗い灯りが点っている。

 現代で言う所の安いビジネスホテルに入って、明かりを付けた時の暗がりと言えば理解してもらえるだろうか。

 あんな感じの暗さだ。

 ナディアはそんな暗がりを慣れているのかものともせず、辺りを見回す。

 シャワーの音で、薬師の発した慟哭は聞こえなかったが風呂場から灯りが漏れている事が解る。

 部屋のあちらこちらに、服や靴が脱ぎ捨てられていて、思わずナディアの険しい顔が綻んだ。


 ── 相変わらず、散らかすんだから… ──


 そう思いながらもセーターやインナー、ジーンズを拾い畳んで、ベッドの隅に置く所が凪である事を思い出した、ナディアではある。

 ナディアがブーツを揃えてベッドの足元に置いた時、丁度薬師が風呂場から出て来た。

 そして此処で、薬師が何か羽織るなり着るなりしてくれていれば良かったのだが、如何せん自室の上、ナディアが居る事に気付かなかった為に彼はとんでもない姿でナディアと鉢合わせする事となった。

 うん。

 皆まで言わずとも解っていようが、あえて言わせてもらおう。

 全裸だった。

 ナディアが目を見張り、固まった。

 勿論、其処に居るはずもない人物を認めて薬師も固まった。

 見事、と言える程均整の取れた身体付き、美しい筋肉のラインは鍛えている事が伺える。

 誰もが強いと口を揃えて言うこの男の評価も、この姿を見れば強ちあながち間違いでは無いらしい。

 と、伺えた。

 そして、ナディアの評価と言えば、


 ── 昔と比べても随分カッコ良くなってますっ ──


 だった。
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