無実の罪で断罪される私を救ってくれたのは番だと言う異世界の神様でした

黄色いひよこ

文字の大きさ
155 / 220
番外編:ソラシア帝国大舞踏会

薬師、冒険者になる

しおりを挟む

 ダンス。

 そう、舞踏会とダンスは切手も切れない縁がある。

 そして、此処に揃う面々(ナディアと義理の両親)の中で、ダンスを踊れないのは、薬師様、ただ一人であった(脇侍コンビは行かないので数には入れない)。

 舞踏会までは二週間しか無い。

 全く持って付け焼き刃と言う奴である。

 だが、流石薬師様。

 何をやらせてもそつなくこなし、普通程度には仕上げて来る。

あくまでも普通だが(本人のやる気不足の為
)。

 ものの一時間もしない内に、一通りの基礎的なステップは踏めるように成っていた。

 講師は義理の両親。

 彼等は、踊りの名手と言って良い程、洗練された踊りを披露した。

 流石は侯爵様である。

 そんな2人に手解きされたのだ、勿論、ナディアのダンスも軽やかで、それはあたかも妖精が宙を舞っているかのようで、薬師ですら見惚れていた。

 意外なナディアの特技であった。

 しばらくナディアと踊った薬師は、やっぱりもう少し上手くなろうと決意した。

 何だかナディアにリードしてもらっている感が拭えなくて、何とも格好が付かない。

 せめて見られるように成らなくては。


 休憩時間にお茶を皆で頂いている時、両親から、舞踏会での衣装の話が持ち上がった。

 はっきり言って、薬師はこの中世ヨーロッパのような時代の衣服は持っていない。

 地球産の現代人衣装ばかりなのである。

 勿論、現代日本の技術力で再現出来ないかと問われれば、出来ると答えられよう。

 至極簡単に出来て仕舞うだろう。

 そして、その質はぴかいちだろうと、思われる。

 ただし、一着のドレスの値段は、目が飛び出る程高く成る事、間違い無いだろう。

 シルクの生地に、細かいレースと刺繍。

 そして、宝石を散りばめた曉には、高級外車が一台楽に買えるだろう。

 現代の地球であるならば。

 でも此処は、地球では無い。

 ドレス一着幾らかは解らないが、出来ればナディアに自分が贈ってあげたいと考えている事を、薬師は義理の両親に打ち明け、相談したのだった。


 「薬師様っ、ドレスなんて滅相もない!? 」


 そう、可愛いナディアが首を左右に振って遠慮すると、


 「私は君の夫なのだから、可愛い妻のドレスくらいプレゼントしたい。それに、靴や鞄、扇やアクセサリーも必要なんだよね? それもプレゼントしたい。義母上ははうえお金に射止めは付けません。お任せしても宜しいですか? 」


 薬師はそう言って、マリカにナディアの新しいドレスの買い付けをお願いした。

 マリカが戸惑った顔で薬師を見ると、彼はにっこりと笑った。

 やはりお金が掛かるのは此方でも変わらない事実だったのだ。

 ましてや、薬師はこの世界のお金を持っていないと思われているのだ。


 「お金の心配なら入りません。先日冒険者登録をしまして、早速ドラゴンの素材を換金して来た所ですから」


 そう言って薬師は、真新しい冒険者登録カード兼銀行カードを、ひらひらと振って見せたのだった。
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...