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番外編:ソラシア帝国大舞踏会
薬師、冒険者になる
しおりを挟むダンス。
そう、舞踏会とダンスは切手も切れない縁がある。
そして、此処に揃う面々(ナディアと義理の両親)の中で、ダンスを踊れないのは、薬師様、ただ一人であった(脇侍コンビは行かないので数には入れない)。
舞踏会までは二週間しか無い。
全く持って付け焼き刃と言う奴である。
だが、流石薬師様。
何をやらせてもそつなくこなし、普通程度には仕上げて来る。
あくまでも普通だが(本人のやる気不足の為
)。
ものの一時間もしない内に、一通りの基礎的なステップは踏めるように成っていた。
講師は義理の両親。
彼等は、踊りの名手と言って良い程、洗練された踊りを披露した。
流石は侯爵様である。
そんな2人に手解きされたのだ、勿論、ナディアのダンスも軽やかで、それはあたかも妖精が宙を舞っているかのようで、薬師ですら見惚れていた。
意外なナディアの特技であった。
しばらくナディアと踊った薬師は、やっぱりもう少し上手くなろうと決意した。
何だかナディアにリードしてもらっている感が拭えなくて、何とも格好が付かない。
せめて見られるように成らなくては。
休憩時間にお茶を皆で頂いている時、両親から、舞踏会での衣装の話が持ち上がった。
はっきり言って、薬師はこの中世ヨーロッパのような時代の衣服は持っていない。
地球産の現代人衣装ばかりなのである。
勿論、現代日本の技術力で再現出来ないかと問われれば、出来ると答えられよう。
至極簡単に出来て仕舞うだろう。
そして、その質はぴかいちだろうと、思われる。
ただし、一着のドレスの値段は、目が飛び出る程高く成る事、間違い無いだろう。
シルクの生地に、細かいレースと刺繍。
そして、宝石を散りばめた曉には、高級外車が一台楽に買えるだろう。
現代の地球であるならば。
でも此処は、地球では無い。
ドレス一着幾らかは解らないが、出来ればナディアに自分が贈ってあげたいと考えている事を、薬師は義理の両親に打ち明け、相談したのだった。
「薬師様っ、ドレスなんて滅相もない!? 」
そう、可愛いナディアが首を左右に振って遠慮すると、
「私は君の夫なのだから、可愛い妻のドレスくらいプレゼントしたい。それに、靴や鞄、扇やアクセサリーも必要なんだよね? それもプレゼントしたい。義母上お金に射止めは付けません。お任せしても宜しいですか? 」
薬師はそう言って、マリカにナディアの新しいドレスの買い付けをお願いした。
マリカが戸惑った顔で薬師を見ると、彼はにっこりと笑った。
やはりお金が掛かるのは此方でも変わらない事実だったのだ。
ましてや、薬師はこの世界のお金を持っていないと思われているのだ。
「お金の心配なら入りません。先日冒険者登録をしまして、早速ドラゴンの素材を換金して来た所ですから」
そう言って薬師は、真新しい冒険者登録カード兼銀行カードを、ひらひらと振って見せたのだった。
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