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第二部:後宮
妻は夫を知る
しおりを挟むその後、ナディアは何故か夫人達と和気藹々と、仲良く成っていた。
普通なら牽制仕合い、火花を撒き散らし合うのが世の常の筈の関係性が、此処の夫人達には何故か当てはまらず、皆、一致団結して仲が良い。
それも総て無能で顔だけの亭主が、夫人達から嫌われているせいだと言う事実に、他ならない。
此処に居る女性達は、第一夫人が言うように、夫や恋人、愛する両親から離された者達ばかりだった。
人族の第一夫人、竜族の第二夫人、その他に狼、兎獣人の愛妾達が居て、多種多様の人種が集まっていた。
夫人は、「貴女で十人目ですけど、まさかあの御方の奥方様を攫うな等と、愚か過ぎます…… 」と呟くように言って、唇を戦慄かせた。
その表情には『恐怖』が滲み出ている。
さっきから、彼女は『あの御方』と連呼して恐れているが、ナディアには何が何だかさっぱり解らない。
夫が居るのだと、最近では納得しつつあるが、忘れているので情報が少なすぎる。
ナディアは夫人達に、その宗をここぞとばかりに告白した。
勿論、彼女達が信じられると直感で感じたからなのだが。
夫人はナディアから今までの経緯を聞いて目を丸くし、徐に眉根を下げた。
「そうですか……、忘れ草の谷を抜けて仕舞われたのですね…… 」
「はい、わたくしが何処の誰なのか、皇太子から婚約破棄された事までは記憶しているのですが、その後の記憶が無くて…… 」
ナディアの言葉に、夫人はひしっと彼女の手を取り握り締めた。
「ナディア様、貴女様の旦那様である薬師如来様はこの世界の創造神、『弥勒菩薩様』と同じ世界に住んでおられた神様でこざいます。この世界には『番』であるナディア様を探して降臨成されたのですが、丁度その頃この世界は荒廃していまして、あの御方は貴女様と貴女様がいらっしゃるこの世界をお救いになり、この地に留まって下さいました。その際、この大地に根を張り護ったのが薬師如来様が造られた大樹、『世界樹』と言われております」
そう、物語を語られるように夫人は話を紡いだが、その物語の登場人物の一人である彼女は、終ぞ己も関係しているとは思わなかったのだった。
「わたくしが、そんな大それた方の妻だなどと、信じられませんわ…… 」
と、ナディアは困惑するが、
「まごうことなき事実、でごさいますわ。ナディア様」
そう夫人にきっぱりと言われれば、夫人の言葉を信じざるを得なかった。
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