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第二部:瑠璃光夫人奪還作戦前夜
因達羅、それは問題有りでしょうが……
しおりを挟む「まぁまぁ、そんな顔をせずとも、私は薬師様の命により此方に参った次第なのですよ……。宵闇の御方の捕らわれている場所の内部見取り図も手に入った訳ですし、作戦を錬りましょう」
そう言って昭頭羅はにっこりと笑んだ。
その爽やかな微笑みは、本地仏において太陽を司る如来だけあって、日の光のように慈愛に満ちて暖かい。
ように見える。
あくまでも見えるだけで、この御仁、慈愛の塊では無い。
神仏習合の解釈では天照大神(アメノウズメの裸踊り見たさに天岩戸を開いたと言う神話から天照が男だと言う説がある。うちではこの説を採用している。by:🐤)と同一視されるだけあって、大日如来の化身である昭頭羅は太陽神のような男だった。
焼け付くような熱い魂を持つ漢とも言える。
見た目以上に。
だから、とは言わないが、『『暑苦しい奴』』と薬師と脇侍コンビは密かに愚痴をこぼしている。
とは、口が裂けても言えない。
薬師は気を取り直して、日光を含めた九人と白龍を交え、作戦を練る事にした。
「はい、コレなんですけど。建物は執務や謁見等の執務棟と、生活の場の後宮に別れていて、地下一階と上に三階で四階建ての建物です。さながらどこかの国の城のような建物ですよ」
と、半ば呆れた声で物を言いながら自作の見取り図を開くのは、この中でも最年少の因達羅で、あどけない少年のように見えるが、彼もまた、単なる見掛けだけで、(良い意味で)世の人々を裏切っている。
ただもう、可愛いの一言に尽きる少年で、本地仏は地蔵菩薩であった。
そして彼も、此処では決して菩薩の姿は取らない。
そんな事をすればこの世界は確実に壊れてしまう。
彼も逸れを良く知り、わきまえている人物の独りであった。
「で、僕の暇な使役するに頼んで調べて貰ったんだけど…… 」
「因達羅、因みになんだが、おともだちって誰だ? 」
因達羅の言葉に、何だか嫌な予感しかしない薬師は、話が脱線するのを覚悟で、目を眇めつつ問い掛けてみた。
── コイツの別名考えたら不安しか浮かばないんだが……、どうよ ──
なんて、脳内で呟いてみて、因達羅の答えにやはり薬師は頭を抱える事となった。
「え~? 牛頭くんとぉ、馬頭ちゃんとぉ、奪衣婆あちゃんと、懸衣翁じいちゃんの四人だよ」
「お前なぁ、地獄の官史を使うなよ、…… 」
「え~、でも薬師様のお遣いなんだと言ったら四人共嬉々としてお願いをこなしてくれたけど? 」
額に手を当ててうなだれる薬師に対して、因達羅、又の名を閻魔大王はにっこりと笑って悪気無く言い切ったのだった。
お友達、じゃなくて部下だよねぇ。
その日、昼間から西河省の国守の館は阿鼻叫喚だった……かは、定かでは無い。
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