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第2部:御披露目の前
ぬい、安心するもナディアの行動力に驚愕する
しおりを挟むスキップ踏んで何とか戻ってきたルナティは、ナディアの部屋の扉の前でまたまた眉をしかめた。
その理由が、全く知らない会ったこともない、女の不躾な啖呵だ。
それも女はルナティの事を『面妖な姿の白虎様』と、言うのだ。
気にしている事をぬけぬけと。
ルナティは思わず扉をすり抜けて、ナディアの前に立った。
勿論、護る為だ。
ルナティは目力を強くして目前の女を睨み付ける。
女から溢れ出る力は黄金色で、それは俗に言う神気だ。
それは確かに橙色を強く光らせたルナティの神気に比べれば遥かに上位種の神の持つ光だ。
因みに、(あくまでも余談であるが)薬師の神気は目を開けていられない程の、神々しい白金である。
そんな女が事も有ろうにもう一つ、ルナティが侮辱だと感じる事を言い放った。
それも笑いながら、よく躾られていると言われたのだ。
そりゃ、怒り心頭にもなる。
『僕は躾られてなんかいない! 』
と、そう言うがルナティよ、そのドヤ顔、何か場違いに思えるぞ。
ただただ、愛くるしいだけのぬいにしか見えん。
とある御仁ならきっとそう言う事間違い無し。
と、思われる。
その証拠に案の定、目の前のおさげ姿の白髪女がカラカラと笑った。
そして彼女はダツエバと名乗り、薬師の要請を受けて此処に来たのだとルナティとナディアに告げたのであった。
ナディアは、つい先程まで薬師の幻影に抱き締められていて、訳の分からない思いに苛まれていた。
『知らない事が不甲斐ない』そんな心境に駆り立てられ、思い立った。
何時も何時も、優しく包み込む彼を感じたり、心の中から沸き上がってくる『経験のない記憶』に翻弄されるのに、ナディアは彼の顔を思い出せない。
彼がふわりとナディアに向けて微笑むのが解るのに、その顔はまるで『認識阻害』の魔法を掛けられているかのように、分からない。
何て理不尽なのか。
ナディアはぎゅっとルナティを抱き締めたまま決心した。
「わたくし、会いに行きます」
「えっ? 」
ルナティが、その腕の中で素っ頓狂な声を上げる。
その意味は、『主が迎えに来たのに、何で此方から動くの? 普通、じっと待っべきだよね。じゃないとすれ違っちゃうかもしれないじゃん』という意味が含まれる。
目で彼女に訴えてみるルナティだが、ナディアは彼を『見ていない』。
その心は此処に非ず、流行る気持ちの儘、すっくと立ち上がるナディアがいた。
そんなナディアの意外な行動力に、ルナティは思わず奪衣婆を見やったが、彼女もただ肩を竦めるだけだった。
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