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新米女神と女神の守護騎士
面倒な男③
しおりを挟む「零さまは、わたくしの旦那様になるお方ですわ! 非礼はわたくしが、許しません!! 」
「へっ? 」
「よっと…… 」
キャサリン、カスクート公爵、零の、三者三様の言葉と共に、産出されたこの結果。
とってもイタくて残念賞な、公爵様の顔面には、純白のピンヒールの底とピン部分がめり込み(いやはや痛いね)、腹部にはこれまた騎士団長様の靴底がくっきりとした形で押し付けられ(黒い服に土の跡)、とっても残念な公爵は、ゆっくりと後方にもんどり打って……。
倒れた。
一瞬、辺りはしんと静まり返る。
音一つ無い静寂で、逸れを破るかの如く零の静かな声音が響いた。
勿論、そっと彼女を降ろして怪我がないかを確認しつつだ。
「キャサリン、足は大丈夫なのか? 痛くはないか? あの熊は頑丈に出来ているから、足首を傷めたりしてないかい? もうこんな無茶はしないで欲しい…… 」
眉尻を下げて言う零に、キャサリンはシュンと身体をちじこませる。
「嫌だったのです。零は私の大切な方ですのに……。それに、勘違いしてることにわたくし、腹が立ちましたのよ」
「ん? 」
「零様は、大変立派で素敵な殿方ですのに……、寄りによって女性に間違えるだ等と、赦せませんわ! 」
息巻き怒るキャサリンに、零は穏やかに微笑んだ。
零からすれば、てっきり自分の事では無く、キャサリンの事を嫁に欲しいと言っているのだと思っていたのだ。
何せ、キャサリンはとても可愛いのだから……と。
零は漸く心の余裕が出来たのか、辺りがザワリとざわついてることに漸く気がついた。
耳を澄ませて良く聞くと、「うっわっ、団長が笑ってる」とか、「あんな顔してたんだ、団長~」とか、「団長の顔、初めて見た、めっさ美人じゃね? 」とか、失礼極まりない声があちらこちらからボソボソと聞こえて来る。
彼奴ら……。
訓練メニューに、ウサギ跳びで神殿周り5周、ってのを追加してやろう。
零はそう胸中で誓うと、キャサリンの腰をさり気なく引き寄せて、ぐるりと周囲を見渡した。
そして、軽く息を吸うと。
「此方に来る前に、俺は光の祝福を受けた。もうこれから先、顔を隠す必要も無くなった。お前ら、この意味解るよな」
零の言葉に皆が息を呑む。
そして、言葉の続きを今か今かと待ちわびている。
そんな感じだった。
「フォルトゥナ様が誕生した! 俺達の、女神様だ! 」
零は、声高に宣言した。
そして傍らの彼女にこっそりと問う。
歓声が上がる中で。
「キャサリンは、俺で良かったのか? フォルトゥナになるなんて…… 」
と、問い掛ける零にキャサリンは彼をゆっくりと見上げた。
「わたくし、フォルトゥナ様に言われましたの。零様を好きになってしまったのならフォルトゥナにならなくては駄目だと。貴方様はフォルトゥナの守護騎士だから…… 」
彼女は口角を上げる。
そして、
「だからわたくし、フォルトゥナになりました」
と言って、破顔一笑した。
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