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1話 かつての話
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1話
2年前
「クロッド!決めろーー!」
俺はパーティ仲間の一人に鼓舞されながら両手で握りしめた1本の剣を振り下ろした。
サービス終了間際であるこのゲーム
[サイオスオンライン]はゲーム史上最難関の鬼畜フルダイブMMO RPGとされ長きに渡り愛されてきた。
どれほどの鬼畜かと言われるとゲームを始めて3時間で出会える最初のボスの討伐者がでるまで2週間もかかったのだ。
その難しさゆえにほとんどのプレイヤーが序盤でこのゲームを去っていった。
しかし、残ったプレイヤーは一致団結しボスの弱点の共有、必須アイテムの使うタイミングなど数多くの情報のシェアをした。
その甲斐あってプレイヤー同士の繋がりが強くこのゲームがここまでサービスを続けることができたのだ。
そして俺たちは今、サービス終了1時間前にラスボスである[リーカ]に挑んでいた。
俺たちとはこの[サイオスオンライン]で最強とされる5人で出来たギルドグループでラスボス討伐の最後の要として戦っている。
もうかれこれ、3ヶ月はこのボスと戦い続けている。
それも後少しで終わりを迎える。ラスボスの体力はほぼ無い。サービス終了まで数分。
俺は、ギルドメンバーが見ている中で一番の力を込めて剣を振り下ろした。
結果は敗北だった。
俺の剣は弱点を僅かに外れ、反撃してきた[リーカ]の攻撃でパーティは全滅した。
俺たちの[サイオスオンライン]での戦いは終わったのだった。
あれから2年がたった。
「いらっしゃいませー」
高校を卒業した俺は家業でやっている登山道具のレンタル屋で働いている。
家の裏には登山ができる山がありその道具を貸し出しているのだ。
「進人くん、いつもありがとね」
「うちの道具だったらいつでも貸しますよキヨコさん、お客さんだって滅多に来ませんし」
「昔は繁盛したのにね~。今はあのディスなんちゃらの影響なのかね」
ディスなんちゃらとは今、社会問題を起こしているフルダイブMMORPG[ディストピア]のことだろう。
平均接続数1億を超える化け物ゲームだ。
人気なのにはもちろん理由がある。圧倒的没入感とリアルマネーリステムだ。
現実と変わらないほどの自然や絶景、ゲームということもあり現実では不可能な絶景も作ることができる。その点を踏まえると現実を超えてるのかもしれない。
そしてリアルマネーシステムだ。ゲームで稼いだ通貨を現実のお金に変えることができる。そのため老若男女問わず学生や社会人、主婦まで数多くのプレイヤーがいる。
「キヨコさんは、ディスなんちゃらはやらないの?」
「私は五感で感じるこの景色が大好きなのよ」
「大好きでも20年近く通えるのはキヨコさんくらいだよ」
「そう言う進人くんだってやってないじゃないの?今の若者でやっていないの進人くんくらいじゃない?」
そうなのだ、俺も実際プレイしたことはない。[ディストピア]に関する知識もここまでしか分からない。
[サイオスオンライン]が終了した2年前からゲームとは距離をおいている。
元パーティメンバーからも誘われたが一つ返事で断った。
「リアルマネーが関わったゲームなんてやりたくありませんよ。俺は純粋にゲームが好きなんです」
「ゲームが好きなら、だからこそやってみるべきだと思うけどね何事も経験だよ進人くん。じゃあ、私は行くね」
「経験か...」
辺りは暗くなり店仕舞いをした。店の目の前に家があるため1分で自宅まで戻ることができる。非常に楽だ。
家ではご飯を食べ風呂に入りベットに入る、この繰り返しだ。
「[ディストピア]か...」
フルダイブ機器を眺めながら呟いた。
パーティメンバーの誘いも断っていながら今更始めるのには少し抵抗がある。
「はぁ」
一つため息を吐き、目が閉じかかった。
「クロ、クロッド、見つけて」
その声に閉じかかっていた目が開いた。
「今、この機械から声がしたよな?」
その時、フルダイブ機器が勝手に始動し始めた。
「嘘だろ、ハッキングか?」
確かめるために久しぶりにフルダイブ機器を身体に付けた。
[ディストピア]をインストール中
今何が起こっているのか分からなかった。
誰かがハッキングをして勝手に[ディストピア]をインストールしたのか?
訳が分からないままインストールは完了しゲームが始まった。
目を瞑るとそこは白一色の不思議な空間だった。
(ようこそ、[ディストピア]へ)
(アバター作成のため身体データをロード中、完了。手を加えますか?)
アバターとして出たのはリアルの自分とそっくりだった。手を加えることもできるようだが髪の変更や髭の追加、メイク、刺青など大元の部分を変えることはできない。
リアルマネーシステムがあるため少しは自分の情報を出さないといけないらしい。
いや、それより先にすることがある。
「運営への問い合わせ、ハッキングについて」
(ディストピアに運営は存在しません)
「世界観がどうとかそう言うのいいから、運営への問い合わせ」
(ディストピアに運営は存在しません)
「運営への
(ディストピアに運営は存在しません)
どうやら意地でも運営に繋がないらしい。
「分かったよ!ゲームを始めてプレイヤーに聞いてみるよ!」
不本意ながらアバターを作成した。
と言っても大元は変えられないため髪型を変更しただけだ。少し天パ気味の髪型だ。長くやるつもりもないため適当だ。
(ユーザーネームを決めてください)
これは決まっている[サイオスオンライン]から使い続けている名前だ。
(クロッド様、ようこそディストピアへ)
光に包まれた。
続く
<hr>
名前 黒下 進人
ユーザーネーム クロッド
年齢 20
概要
元サイオスオンライン最強パーティの5人の内の1人。
お金が関わるゲームを好まない。
サイオスオンラインサービス終了後2年間の間を開けてハッキング?の影響でディストピアを始める。
名前 堤 キヨコ
ユーザーネーム なし
年齢 35
概要
中学3年生の頃から登山にハマり始め1週間に1回は黒下家のレンタル屋に通う。
2年前
「クロッド!決めろーー!」
俺はパーティ仲間の一人に鼓舞されながら両手で握りしめた1本の剣を振り下ろした。
サービス終了間際であるこのゲーム
[サイオスオンライン]はゲーム史上最難関の鬼畜フルダイブMMO RPGとされ長きに渡り愛されてきた。
どれほどの鬼畜かと言われるとゲームを始めて3時間で出会える最初のボスの討伐者がでるまで2週間もかかったのだ。
その難しさゆえにほとんどのプレイヤーが序盤でこのゲームを去っていった。
しかし、残ったプレイヤーは一致団結しボスの弱点の共有、必須アイテムの使うタイミングなど数多くの情報のシェアをした。
その甲斐あってプレイヤー同士の繋がりが強くこのゲームがここまでサービスを続けることができたのだ。
そして俺たちは今、サービス終了1時間前にラスボスである[リーカ]に挑んでいた。
俺たちとはこの[サイオスオンライン]で最強とされる5人で出来たギルドグループでラスボス討伐の最後の要として戦っている。
もうかれこれ、3ヶ月はこのボスと戦い続けている。
それも後少しで終わりを迎える。ラスボスの体力はほぼ無い。サービス終了まで数分。
俺は、ギルドメンバーが見ている中で一番の力を込めて剣を振り下ろした。
結果は敗北だった。
俺の剣は弱点を僅かに外れ、反撃してきた[リーカ]の攻撃でパーティは全滅した。
俺たちの[サイオスオンライン]での戦いは終わったのだった。
あれから2年がたった。
「いらっしゃいませー」
高校を卒業した俺は家業でやっている登山道具のレンタル屋で働いている。
家の裏には登山ができる山がありその道具を貸し出しているのだ。
「進人くん、いつもありがとね」
「うちの道具だったらいつでも貸しますよキヨコさん、お客さんだって滅多に来ませんし」
「昔は繁盛したのにね~。今はあのディスなんちゃらの影響なのかね」
ディスなんちゃらとは今、社会問題を起こしているフルダイブMMORPG[ディストピア]のことだろう。
平均接続数1億を超える化け物ゲームだ。
人気なのにはもちろん理由がある。圧倒的没入感とリアルマネーリステムだ。
現実と変わらないほどの自然や絶景、ゲームということもあり現実では不可能な絶景も作ることができる。その点を踏まえると現実を超えてるのかもしれない。
そしてリアルマネーシステムだ。ゲームで稼いだ通貨を現実のお金に変えることができる。そのため老若男女問わず学生や社会人、主婦まで数多くのプレイヤーがいる。
「キヨコさんは、ディスなんちゃらはやらないの?」
「私は五感で感じるこの景色が大好きなのよ」
「大好きでも20年近く通えるのはキヨコさんくらいだよ」
「そう言う進人くんだってやってないじゃないの?今の若者でやっていないの進人くんくらいじゃない?」
そうなのだ、俺も実際プレイしたことはない。[ディストピア]に関する知識もここまでしか分からない。
[サイオスオンライン]が終了した2年前からゲームとは距離をおいている。
元パーティメンバーからも誘われたが一つ返事で断った。
「リアルマネーが関わったゲームなんてやりたくありませんよ。俺は純粋にゲームが好きなんです」
「ゲームが好きなら、だからこそやってみるべきだと思うけどね何事も経験だよ進人くん。じゃあ、私は行くね」
「経験か...」
辺りは暗くなり店仕舞いをした。店の目の前に家があるため1分で自宅まで戻ることができる。非常に楽だ。
家ではご飯を食べ風呂に入りベットに入る、この繰り返しだ。
「[ディストピア]か...」
フルダイブ機器を眺めながら呟いた。
パーティメンバーの誘いも断っていながら今更始めるのには少し抵抗がある。
「はぁ」
一つため息を吐き、目が閉じかかった。
「クロ、クロッド、見つけて」
その声に閉じかかっていた目が開いた。
「今、この機械から声がしたよな?」
その時、フルダイブ機器が勝手に始動し始めた。
「嘘だろ、ハッキングか?」
確かめるために久しぶりにフルダイブ機器を身体に付けた。
[ディストピア]をインストール中
今何が起こっているのか分からなかった。
誰かがハッキングをして勝手に[ディストピア]をインストールしたのか?
訳が分からないままインストールは完了しゲームが始まった。
目を瞑るとそこは白一色の不思議な空間だった。
(ようこそ、[ディストピア]へ)
(アバター作成のため身体データをロード中、完了。手を加えますか?)
アバターとして出たのはリアルの自分とそっくりだった。手を加えることもできるようだが髪の変更や髭の追加、メイク、刺青など大元の部分を変えることはできない。
リアルマネーシステムがあるため少しは自分の情報を出さないといけないらしい。
いや、それより先にすることがある。
「運営への問い合わせ、ハッキングについて」
(ディストピアに運営は存在しません)
「世界観がどうとかそう言うのいいから、運営への問い合わせ」
(ディストピアに運営は存在しません)
「運営への
(ディストピアに運営は存在しません)
どうやら意地でも運営に繋がないらしい。
「分かったよ!ゲームを始めてプレイヤーに聞いてみるよ!」
不本意ながらアバターを作成した。
と言っても大元は変えられないため髪型を変更しただけだ。少し天パ気味の髪型だ。長くやるつもりもないため適当だ。
(ユーザーネームを決めてください)
これは決まっている[サイオスオンライン]から使い続けている名前だ。
(クロッド様、ようこそディストピアへ)
光に包まれた。
続く
<hr>
名前 黒下 進人
ユーザーネーム クロッド
年齢 20
概要
元サイオスオンライン最強パーティの5人の内の1人。
お金が関わるゲームを好まない。
サイオスオンラインサービス終了後2年間の間を開けてハッキング?の影響でディストピアを始める。
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ユーザーネーム なし
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中学3年生の頃から登山にハマり始め1週間に1回は黒下家のレンタル屋に通う。
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