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第一章 生徒会勧誘編

過去との宿命②

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電火尊人でっかそんじん

平松は刀のデバイスの赤色の刀身を出しながら、魔法を唱えた。電光石火のように動き、桜子は平松を見失った。

「ちょっと、はやい」

桜子は次に平松を見た瞬間が遅かった。桜子の小型銃のデバイスは二つに割れた。すかさず、予備の魔法銃を取り出そうとするが、稲妻ような電気と炎で魔法のスーツごと切られてしまった。

「桜子?おい、大丈夫か?」

倒れてしまった桜子は返事がなく、平松はトドメを刺そうとする。

「おい、平松、やめろ。どうしたんだよ」

湊が平松に声をかけても、平松が握った刀は、振りかぶって、桜子の心臓を貫こうとしていた。

「おらー」

湊は声を上げて、刀のデバイスで平松の刀を払う。平松は一旦下がる。

「桜子大丈夫かお前?」

魔法による桜子の止血が終わる。湊は桜子を揺すりながら、起こそうとする。

「みなと?.......」
かすかに目覚めたが、まだ、魔法攻撃のダメージを受けていて動ける状態ではなかった。

「良かった」

「うっ、うん」


湊は桜子に抱きついた。桜子は、ダメージを受けているが、顔を少し赤らめて、頭をこくっりと頷いていた。

次の瞬間、平松が攻撃を仕掛けた。高速化した移動から刀を振り下ろしてきた。すかさず、湊は刀で応戦する。

「桜子悪いがそこにいてくれ」

「わ、わかった」

桜子は終始、ワワワと声を上げながら、身悶えていた。

「お前、本当に平松か?」

湊は平松の鍔迫り合いの中で平松の異様な赤い目を見た。何かに操られているに違いなかった。

変蓮業火へんれんごうか

バトルフィールド場には池の中でいくつもの蓮が咲き誇り、静寂に包まれる。湊は蓮が咲く沼の中で泥に足をとらわれしまった。

「錯覚魔法か」

錯覚魔法のように見えるが、沼に膝まで埋まってしまう。その中で、蓮から火花が発火し、業火となった。

「くっ、使いたくなかったけど」

湊は一呼吸をおいて、魔法を詠唱する。

泉源水裡せんげんすいり

蓮の業火の中、水源のように水が湧き溢れる。水が波となって、業火の炎を消していった。

「へー」

赤い目をした平松が感心したように言葉を出す。明らかにそこにいる平松は異形な者であった。

「お前誰だ?」

「俺か、そうだな。俺は刀の霊だな。名は陽炎かげろう。歴史の遺物だ」

「その遺物が今更、何を?」

湊は刀を下段に構えて、陽炎の動きに注視する。

「今回も俺は人を切りにきた。平松家は代々、極悪人を裁いてきた人斬りの家だ。平松小和の父、平松仁ひらまつじんも人斬りをしていたが、九条亘に処断された」

歴史を語る陽炎は刀を空中で振り、話を続ける。

「人斬りのおかげで、救われた命もあれば、人斬りがいなくなって助かった命もある。結局、俺は主人の心の叫びによって動くだけだ。・・・・・・・・・・平松小和の叫びは殺された父の敵を撃つことだそうだ。こいつは、父の役目を知る前に父を失った。だから、俺を制御できないわけだ」

陽炎は刀を肩に担ぎ、可哀想だなという声で話した。

「陽炎、お前に自分の意思はないのか?」

「そういうものはない。私は600年の間で刀として大事な刀身が無くなった。・・・この通り、柄だけになってしまったが、人の憎しみというのは年月が経っても変わらないものだ。平松家が続いたのも俺を使って、憎まれている者を殺して欲しいという願いだからだ。それだけで十分だ。これからも主人と共に人を斬り続ける」

陽炎は、刀身を中段に構える。

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