小説の勇者

macron caramel

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冒険(街道)

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「ウヘー、まだ歩くのか」


修行を1ヶ月ほどして、剣の動きを一通り覚えた俺。


ここは、25番街道というところで、多くの山を登り、下ったりする。多くの難所があり、とりあえず、一番目のフーク山を登っているところだった。遠くに見える山の頂いただきは、雲の上までありそうだった。


「はい、はい、頑張る。頑張る。まだまだ先なんですからね」


俺に比べて、力強い歩みで進むミカンさん。俺は、後ろから、ついていくのだから、スカートの中が覗けないかなとも思う。

(見えそうで。見えない)

そういう仕様なのかと思うが、邪念を払う。ひたすら、ついていく。


「どっちにいきましょうか?」


ミカンさんが指差す方向は二つに別れていて、何か看板に書いてあるが読めん。


「何とも読めないのだが」


「ああ、そうでした。この世界の言葉はまだ、わからないですよね!今、魔法で教えますね」


何ともファンタジー感があふれる「魔法」という響き。

そして、今まさに、カッコイイ呪文の詠唱とともに、俺は光に包まれるんだろう。




「プイプピー」




俺は、光に包まれて、能力的な何かが?上がったようにも見えた。それとともに、俺の憧れたカッコイイ異世界の魔法とは違う感じであった。



「違うダロー」



「何がです?伊勢さん」


きょとんとした顔をしてくるミカンさんに俺は追求する。純粋そうな目でみるな。


「こういう世界だったら、もっとカッコイイ呪文とかあるだろうに。何でプヒプイなんだよ」



「・・・・・・わっははは」



ミカンさんはこれはおかしいというばかりに腹を抱えて、笑っている。


「伊勢さん。伊勢さん。プヒプイじゃなくて、プイプヒーですよ。それにしても、クスクス、笑わせないでくださいよ。私くらいになれば、呪文は何でも、いいんですよ。頭で思念した魔法のイメージを具現化するために、唱える言葉は何でもいいんですよ」


あまりにも、自称勇者の能力の高さに驚きながらも、心底バカにされている感じがあった。殴り飛ばしたい。


「もしかして、もしかして、カッコイイ、呪文期待してたんですか。何ですそれ、何ですそれ」


俺は、口に出さないと決めているが、自称勇者がうるさいから、仕方なく話した。


「イっ、インストールとか」


俺は恥ずかしさのあまり、上ずった声をだし、そっぽを向く。ミカンさんは耐えきれず、抱腹絶倒して、「それはパソコン」と的確につっこまれたことにも、恥ずかしさが増し、俺の黒歴史が一つ刻まれた。それでも、呪文にたいしての憧れは、俺のネーミングセンスがなかったからだと願いたい。とりあえず、後で、蹴り飛ばしたい。



「それよりも、この先だ」


ミカンさんも我にかえり、この先の道について、二人で思案する。


一目の看板には「緑のネク村へ」


二目の看板には「青のナナキ洞窟へ」


さっぱり、俺にはどっちに行けばわからなかった。でも、俺よりもこの世界を知っているミカンさんも思案顔だ。


「俺は、この世界に人たちを見たいからネク村に行きたい」


純粋に色々色々な人とで会いたい。猫耳の人とか


「そうですね。とりあえず、ネク村に行きましょう」


俺たちはとりあえず、ネク村を目指すことになった。


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