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ゆっくり目を覚まし体を起こす。ぼーっとする頭で昨日を思い出す。自宅に戻った後いつものように過ごし眠りについた。頭ではあの教師の言葉が反芻していた。
目を覚まし制服に着替える。鏡には赤黒い瞳の女が映っていた。男を誑かすと言われる身体ときつい顔立ち。
不正、いつも、そんなこと言われるのはこの見た目のせいなのか血のせいなのか。
自分の姿を見ていると考えたくないことまで浮かんできてしまう。息を吐き自室を出る。
一階に下りれば朝食のいい香りがする。
「おはよう!メル」
「おはよう。お母さん」
「朝ごはんできてるわよ」
「ありがと。お父さんは?」
「仕事忙しくてまだ帰ってないの」
「そっか」
キッチンに立つ母。黒髪、黒目、私と同じく吊り目のキツい顔立ちと豊かな身体つき。しかしいつも笑顔な母は優しく接しやすいため騎士団の部下に慕われている。
父は茶髪に黒目、眼鏡をかけておりとても穏やかな人。正直見た目は平凡でひたすらに優しく趣味は魔道具研究でよく研究所に篭っている。
父に惚れ込んだ母が猛アタックをして結婚したらしい。世間では美女と野獣とか言われている。
母も淫魔の血が入っているため昔はかなり男性トラブルがあったらしい。しかし父との結婚を機になくなったと嬉しそうに話していた。父が周りへ牽制をしてくれたと頬を染めながら語っていた。
「魔力も大丈夫そうね」
「⋯⋯うん」
「⋯⋯ごめんなさいね。本当に」
「気にしなくて大丈夫」
あの日から、母は私に負い目を感じているらしく少し気まずい雰囲気が流れる。大した会話もできず朝食を食べ家を出た。母のあの瞳が、私を見る目がまるで欠陥品と言っているようで。なんとなく目が合わせられなくなってから、会話も弾まなくなっていった。
──「メル!今日は何したの?」「楽しかった?」
優しくいつもたくさん話しかけてくれていた母。そんな母を思い出し胸が痛む。母のせいではないのに。この身体の原因は母にはないのに。気に病む必要なんてないのに。
何も言えない自分に嫌気がさす。
「なぜ、こんなことになってしまったの⋯⋯」
────────
学園に着きクラスへ入る。いつもと変わらずクラスメイトは私を見て何かを話す。
1時限の教師がクラスに入ってきた。昨日の会話が頭に響く。
──あの人も私が不正をしていると考えているのだろうか。
視線が気になる。魔力は確かにあるのに。補充方法は確かに褒められたものではないし、魔の力など恐ろしいものでしかない。しかし、確かに私は努力し自分の力でここまでやってきたのだ。不正など、してはいないのに。
2時限も同様。教師に対し恐怖が混ざる。何か言われている気がする。そんな幻聴に頭痛がした。
なんとか授業を乗り切り昼食の時間となった。1人で静かに食べるため空き教室へ向かう。食欲はない。しかし飲み物だけでも入れておかなければ。
教室を出て空き教室へ向かおうと廊下を歩いているといつものあの声が聞こえる。耳障りで私の神経を逆撫でし悪寒で足がすくむあの声が。
「エメルネスさん!」
あぁ、またか。振り向けばそこにはまたあの女が立っていた。
目を覚まし制服に着替える。鏡には赤黒い瞳の女が映っていた。男を誑かすと言われる身体ときつい顔立ち。
不正、いつも、そんなこと言われるのはこの見た目のせいなのか血のせいなのか。
自分の姿を見ていると考えたくないことまで浮かんできてしまう。息を吐き自室を出る。
一階に下りれば朝食のいい香りがする。
「おはよう!メル」
「おはよう。お母さん」
「朝ごはんできてるわよ」
「ありがと。お父さんは?」
「仕事忙しくてまだ帰ってないの」
「そっか」
キッチンに立つ母。黒髪、黒目、私と同じく吊り目のキツい顔立ちと豊かな身体つき。しかしいつも笑顔な母は優しく接しやすいため騎士団の部下に慕われている。
父は茶髪に黒目、眼鏡をかけておりとても穏やかな人。正直見た目は平凡でひたすらに優しく趣味は魔道具研究でよく研究所に篭っている。
父に惚れ込んだ母が猛アタックをして結婚したらしい。世間では美女と野獣とか言われている。
母も淫魔の血が入っているため昔はかなり男性トラブルがあったらしい。しかし父との結婚を機になくなったと嬉しそうに話していた。父が周りへ牽制をしてくれたと頬を染めながら語っていた。
「魔力も大丈夫そうね」
「⋯⋯うん」
「⋯⋯ごめんなさいね。本当に」
「気にしなくて大丈夫」
あの日から、母は私に負い目を感じているらしく少し気まずい雰囲気が流れる。大した会話もできず朝食を食べ家を出た。母のあの瞳が、私を見る目がまるで欠陥品と言っているようで。なんとなく目が合わせられなくなってから、会話も弾まなくなっていった。
──「メル!今日は何したの?」「楽しかった?」
優しくいつもたくさん話しかけてくれていた母。そんな母を思い出し胸が痛む。母のせいではないのに。この身体の原因は母にはないのに。気に病む必要なんてないのに。
何も言えない自分に嫌気がさす。
「なぜ、こんなことになってしまったの⋯⋯」
────────
学園に着きクラスへ入る。いつもと変わらずクラスメイトは私を見て何かを話す。
1時限の教師がクラスに入ってきた。昨日の会話が頭に響く。
──あの人も私が不正をしていると考えているのだろうか。
視線が気になる。魔力は確かにあるのに。補充方法は確かに褒められたものではないし、魔の力など恐ろしいものでしかない。しかし、確かに私は努力し自分の力でここまでやってきたのだ。不正など、してはいないのに。
2時限も同様。教師に対し恐怖が混ざる。何か言われている気がする。そんな幻聴に頭痛がした。
なんとか授業を乗り切り昼食の時間となった。1人で静かに食べるため空き教室へ向かう。食欲はない。しかし飲み物だけでも入れておかなければ。
教室を出て空き教室へ向かおうと廊下を歩いているといつものあの声が聞こえる。耳障りで私の神経を逆撫でし悪寒で足がすくむあの声が。
「エメルネスさん!」
あぁ、またか。振り向けばそこにはまたあの女が立っていた。
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