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自宅に戻り自分の身体の異常に困惑した。所長息子の指を思い出し触ってもいないのに秘所が濡れ始める。今まで感じたことのない疼きが身体を襲いナニかを求める。ベッドに潜り込み目を閉じ耐える。魔力はあるのに異性の匂いを感じとってしまう。
自分でソコに触れてみても意味がない。ゆっくり呼吸をしひたすらに耐えた。結局眠ることができないまま朝を迎えてしまう。寝不足のまま朝食を食べ家を出る。今日も母とは上手く話せないままだった。
────────
学園に着き1時限目が始まる。魔法実技だったが疼きに囚われ成績は振るわず生徒たちの嘲笑が聞こえてくる。そんなことにも気が付かずひたすら下腹部の違和感に耐えるばかりだった。
「ユナイデル」
2時限目、予定していた教師が急遽休み自習となったため各々好きな科目をこなしていた時。突然声をかけられた。ヴァイス先生からの呼び出しだ。
今の状態で近づくのに抵抗はあるが教師の呼び出しを拒否する権利などない。渋々後をついていき以前の準備室に向かった。
相変わらずの室内。ソファに座るよう促された。ヴァイス先生は少し気まずそうにした後ゆっくり口を開いた。
「⋯⋯あー、その。大丈夫か」
「何がですか」
「最近授業休んだり身に入ってなさそうだが」
「大丈夫です」
心配するようなヴァイス先生。しかし思い出してしまうのはあの言葉。
──自分の教えるクラスで作りたくなかったんだろう落ちこぼれを。だからあいつはお前のクラス降格を先延ばしにし続けた。──
自らのキャリアを気にしている。そんな言葉に胸が軋む。そして休日あの女と出かけていたこの教師の姿。生徒だけではなく教師すらも虜にし私を追い詰めるあの女。そんな女に熱を上げる教師。
──誰にでも平等だと思っていたのに。
「この間⋯⋯」
「はい?」
「この間他の教師から、何か言われたか?」
「⋯⋯」
「気にするなよ」
「っ⋯⋯」
目の前が赤く染まった。何を言うのだ、この男は。自分の株を上げるためなのか?まるで私を気にするかのようなその言葉に怒りが込み上げた。
私の悩みを真摯に受け止め解決のため必死に行動してくれていたと思っていたのに。全て自分のためだったとは。私のことを考えていたのではないなんて。裏切られ絶望した。
「⋯⋯先生。どうでした?」
「なんだ」
「私が落ちこぼれて困りました?」
「は?まぁ、そりゃそうだろ」
「魔力が戻って安心しました?」
「何言ってんだお前」
「自分のキャリアに傷がつかないで安心しました?」
「おい、何言って」
「私のこと、普通の生徒として見てくれていたと、思ったのに⋯⋯」
頬に何かが伝う。驚くヴァイス先生を見ているはずなのに視界が歪む。涙だと気がついた時にはすでに大量のフェロモンを放出していた。
「ユナイデルなにを⋯⋯?」
「私、悪女なんです」
「なんだこれ、」
「みんな疑わないんですって私の不正を」
「お前は努力している。不正なんか疑ってない」
「思っても、いないくせに」
私を慰めようと必死に取り繕う。フェロモンですでに欲はかなりギリギリだろう。ゆっくりソファに近づいた。
目からとめどなく溢れる液体。頬を濡らしポタポタと落ちていく。自分では大丈夫と言い聞かせていたけどもうすでに限界だったのだ。人々にあることないこと噂され魔物の血によりまともな生活が送れなくなった。後輩を虐めたと非難されるのにその後輩は性懲りも無く近寄り私を追い詰める。触られ傷つきあげく教師には不正を疑われた。もう心はボロボロだった。
今まで他者からの好意を受け取ったことはなかった。唯一の両親とは今では気まずく話せない。他者からの好意を受け取れないことに傷ついていた。気にしないでいると自分に言い聞かせ誤魔化してきた。
私は好かれないのにあの女はたくさんの愛を受け取っていた。私とは比にならないくらいに。信じていた教師の裏切り。その教師もあの女へ好意を抱く。
──私の、存在って、なんなんだろう。
力の入らないヴァイス先生を押し倒す。ソファに沈む先生の肢体。くたびれた服の上からでも分かる硬い筋肉。今だけは私を見つめるその瞳。熱が籠り頬が上気し逸物が硬く勃ち上がる。偽りの性欲に悲しくも嬉しい気持ちが湧き上がる。
「ユナイデル、何を」
「先生。あの女、1年のあの女とはどこへ行ったんですか?」
「は?」
「可愛くて守りたくなるあの女に私は負けたんですか」
「おい、ユナイデル」
「先生。今だけ、お願い」
ゆっくりと顔を近づけた。唇が触れるその瞬間2人の間に手が差し込まれた。唇は触れることなくヴァイス先生の冷たい手に阻まれた。
「私は、なんで、ダメなの⋯⋯」
明らかな拒否。存在の否定のように感じてしまう。なぜこんなに感情が揺れ動き落ち着かないのか分からない。なのに思考はどんどん悪い方へと進む。
「お願い、キスして、先生」
なぜ教師相手にこんなことを言っているのか。あの女への対抗心なのか。思考の異常を感じる。なんて馬鹿なことをしているのか。
──やめよう。こんなこと。
催眠をかけ帰ろう。口を開いた私から溢れたのは催眠の言葉でなくくぐもった嬌声だった。
自分でソコに触れてみても意味がない。ゆっくり呼吸をしひたすらに耐えた。結局眠ることができないまま朝を迎えてしまう。寝不足のまま朝食を食べ家を出る。今日も母とは上手く話せないままだった。
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学園に着き1時限目が始まる。魔法実技だったが疼きに囚われ成績は振るわず生徒たちの嘲笑が聞こえてくる。そんなことにも気が付かずひたすら下腹部の違和感に耐えるばかりだった。
「ユナイデル」
2時限目、予定していた教師が急遽休み自習となったため各々好きな科目をこなしていた時。突然声をかけられた。ヴァイス先生からの呼び出しだ。
今の状態で近づくのに抵抗はあるが教師の呼び出しを拒否する権利などない。渋々後をついていき以前の準備室に向かった。
相変わらずの室内。ソファに座るよう促された。ヴァイス先生は少し気まずそうにした後ゆっくり口を開いた。
「⋯⋯あー、その。大丈夫か」
「何がですか」
「最近授業休んだり身に入ってなさそうだが」
「大丈夫です」
心配するようなヴァイス先生。しかし思い出してしまうのはあの言葉。
──自分の教えるクラスで作りたくなかったんだろう落ちこぼれを。だからあいつはお前のクラス降格を先延ばしにし続けた。──
自らのキャリアを気にしている。そんな言葉に胸が軋む。そして休日あの女と出かけていたこの教師の姿。生徒だけではなく教師すらも虜にし私を追い詰めるあの女。そんな女に熱を上げる教師。
──誰にでも平等だと思っていたのに。
「この間⋯⋯」
「はい?」
「この間他の教師から、何か言われたか?」
「⋯⋯」
「気にするなよ」
「っ⋯⋯」
目の前が赤く染まった。何を言うのだ、この男は。自分の株を上げるためなのか?まるで私を気にするかのようなその言葉に怒りが込み上げた。
私の悩みを真摯に受け止め解決のため必死に行動してくれていたと思っていたのに。全て自分のためだったとは。私のことを考えていたのではないなんて。裏切られ絶望した。
「⋯⋯先生。どうでした?」
「なんだ」
「私が落ちこぼれて困りました?」
「は?まぁ、そりゃそうだろ」
「魔力が戻って安心しました?」
「何言ってんだお前」
「自分のキャリアに傷がつかないで安心しました?」
「おい、何言って」
「私のこと、普通の生徒として見てくれていたと、思ったのに⋯⋯」
頬に何かが伝う。驚くヴァイス先生を見ているはずなのに視界が歪む。涙だと気がついた時にはすでに大量のフェロモンを放出していた。
「ユナイデルなにを⋯⋯?」
「私、悪女なんです」
「なんだこれ、」
「みんな疑わないんですって私の不正を」
「お前は努力している。不正なんか疑ってない」
「思っても、いないくせに」
私を慰めようと必死に取り繕う。フェロモンですでに欲はかなりギリギリだろう。ゆっくりソファに近づいた。
目からとめどなく溢れる液体。頬を濡らしポタポタと落ちていく。自分では大丈夫と言い聞かせていたけどもうすでに限界だったのだ。人々にあることないこと噂され魔物の血によりまともな生活が送れなくなった。後輩を虐めたと非難されるのにその後輩は性懲りも無く近寄り私を追い詰める。触られ傷つきあげく教師には不正を疑われた。もう心はボロボロだった。
今まで他者からの好意を受け取ったことはなかった。唯一の両親とは今では気まずく話せない。他者からの好意を受け取れないことに傷ついていた。気にしないでいると自分に言い聞かせ誤魔化してきた。
私は好かれないのにあの女はたくさんの愛を受け取っていた。私とは比にならないくらいに。信じていた教師の裏切り。その教師もあの女へ好意を抱く。
──私の、存在って、なんなんだろう。
力の入らないヴァイス先生を押し倒す。ソファに沈む先生の肢体。くたびれた服の上からでも分かる硬い筋肉。今だけは私を見つめるその瞳。熱が籠り頬が上気し逸物が硬く勃ち上がる。偽りの性欲に悲しくも嬉しい気持ちが湧き上がる。
「ユナイデル、何を」
「先生。あの女、1年のあの女とはどこへ行ったんですか?」
「は?」
「可愛くて守りたくなるあの女に私は負けたんですか」
「おい、ユナイデル」
「先生。今だけ、お願い」
ゆっくりと顔を近づけた。唇が触れるその瞬間2人の間に手が差し込まれた。唇は触れることなくヴァイス先生の冷たい手に阻まれた。
「私は、なんで、ダメなの⋯⋯」
明らかな拒否。存在の否定のように感じてしまう。なぜこんなに感情が揺れ動き落ち着かないのか分からない。なのに思考はどんどん悪い方へと進む。
「お願い、キスして、先生」
なぜ教師相手にこんなことを言っているのか。あの女への対抗心なのか。思考の異常を感じる。なんて馬鹿なことをしているのか。
──やめよう。こんなこと。
催眠をかけ帰ろう。口を開いた私から溢れたのは催眠の言葉でなくくぐもった嬌声だった。
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