悪女で悪魔

黒澤尚輝

文字の大きさ
49 / 69

42

しおりを挟む
※2話投稿です。

腰の鈍痛で目が覚めた。見慣れない天井に飛び起きる。隣には首席が気持ちよさそうに眠っていた。私の身体は綺麗になっており首席が後処理をしてくれたのだろう。服も着ておりさっぱりしていた。
首席も服を着ているが腰の痛みと喉の痛みが昨夜の情事を思い出させた。今までの快感が大したことのないように思えるほど気持ちが良かった行為。古の淫魔たちがなぜ人間を襲っていたのか少しだけ理解してしまっていた。

淫魔の血が入っているため中に精液を出されても妊娠はしない。ある程度の量を蓄積しないといけないと記述されていた。そのため淫魔はフェロモンと催眠で人間の限界まで行為を行い精液を搾り取り子孫を残すそうだ。
人間の血が混じってからは同じ相手と繰り返し行うことで蓄積され妊娠に至るらしい。しかし繰り返しと言っても何十回と行わないといけないため妊娠の心配はしなくていいだろう。

口腔内射精の何倍もの魔力補充が可能なこの行為、快感も得られるなんて素晴らしいものなのだろう。さらに行為中はあの女を忘れ私を求めていた。他の男たちに施したらどうなるのか気になり始めていた。
とりあえず今この状況をなんとかするため首席に催眠をかけた。証拠を残さないよう清掃魔法をかけ消臭魔法もかける。そのまま自宅へ戻りお風呂に入った。
足はガクガクで歩くのにも一苦労だが今日は学校の日だ。休むわけにはいかない。身体強化の魔法を施し学園へと赴いた。気持ちは晴々としており魔力もある。他の人の視線もあの女の襲撃も何も気にならなかった。
今はただ次の相手を探すことだけを考え過ごしていた。首席に会ったが向こうはこちらを睨みつけるだけで何も言ってこない。催眠は成功しているのだろう。しかしいつも以上に強い視線を感じたのには少し違和感がある。高頻度で同一人物との行為を行うのにはリスクがあるだろう。しばらく首席はお預けだ。

昨晩のことを思い出せばまた下腹部が疼いた。一度行ってしまえばもう外聞なんて関係ない。今更何を言われようと痛くも痒くもない。噂が事実になるだけ。否定しようと意味がないのなら本当にしてしまえばいいだけだ。

外から声が聞こえてくる。煩わしい声。窓から覗けばピンク色の髪を靡かせ男と歩くあの女がいた。高い声で笑い男の腕に巻きつき楽しそうにする女。隣の男は2番目。今日もチャラついているのにあの女に対しては大層大切に扱い手も出していないとか。

口腔内に唾液が溢れる。あの男のモノも良かった。あれがナカに入ったら⋯⋯。
膣内が締まった。想像ですでに濡れ始めてしまう。あの男をどうにかしたらあの女はどうするだろうか。催眠をかけるから忘れてしまうけど行為中には確かにあの女の存在を消すことができる。

散々苦しめられてきたのだ。このくらいの仕返しをしたって責められやしないだろう。本当は催眠をかけずにいたいが殺されそうだしやめておく。今夜はあの男にしよう。
2番目の顔が歪む姿を想像してみる。乱れ私に興奮し昨日の首席のようになる姿を。
気分が良くなりクラスへと戻った。今の私はきっと本物のなんだろう。でももう戻れるはずないのだ。悪魔にだって悪女にだってなれる。私にはもうその道を生きるしかないのだから。

私は知らなかった。首席が私をどう思い睨みつけていたのかを。そして私の瞳孔が蛇のように縦に長く細く変化してしまったことを。

────────

×××年××月××日

とある一体の魔物と交戦した。
その魔物は知性を持ち合わせていた。我々と同じ言葉を話し我々と同じ見た目をしていた。魔物は仲間の1人に執拗に話しかけ続けた。攻撃などせずひたすら何かを耳元で語っていた。攻撃の合間にその仲間の元へ行き何かを言うのだ。

最初は抵抗していたはずの彼はしばらくすると剣を地面に落とし崩れ落ちた。他の奴が駆け寄ると彼は憔悴しきっておりただひたすらに物騒なことを言い続けていた。
内容は主に付き合っている彼女への恨みつらみ。最後には殺意まで出す始末。魔物は高笑いをしていた。不気味だった。俺たちに攻撃を向けることなくひたすら話しただけなのに仲間1人をおかしくさせた。

なんとか逃げ切ったが仲間の男は精神を病みパーティから外れてしまった。何を言っていたのか今ではもう分からないがあの知性を持つ魔物は何かがおかしい。気をつけなければ。

××××年××月××日

また知性を持つ魔物の情報だ。とある街にいた少女が魔物だったというのだ。あの魔物は人間界へ潜り込むことができるほどの知性を持っているということだ。

やはりその魔物は何人かとよく会話をしていたそうでその少女と話した奴らはみな精神をおかしくしていったそうだ。全員恋人への愛情の異常化が症状。一体何をしたいのだろうか。

街の人たちから聞いた話から1つの憶測が浮かんだ。
知性のある魔物はを持っているらしい。たしかに俺たちが交戦した魔物も同じ見た目だった。
これは偶然なのか?まだ手掛かりは掴めない。

××××年××月××日

緊急事項として全ての魔導士たちに連絡をした。知性のある魔物はあまりに危険だ。あいつらは人の精神を狂わせる。そしてそれを見て笑うのだ。さらに知性があるため他の魔物を纏め上げ襲いかかる。俺は奴らを上級種と考える。

奴らは危険だ。発見次第必ず殺すように。また目が特徴なため当てはまる人間は怪しい。みんな捕まえるべきだ。知性があるため他の魔物の情報を持っている可能性がある。人間に紛れた魔物は徹底的に拷問し吐かせる。

この世から魔物は一体残らず抹殺する。まずは知性を持つ魔物たちからだ。必ず殺すんだ。これは後世にも語り継がなければいけない。日記として残す。俺の子孫たちよどうか受け継いでいってほしい。未来のために。魔物のいない幸せな世界のために。

いいか、もう一度言う。血のような瞳と蛇眼を持つものは1人残らず殺すんだ。


──魔物研究者バイカル・ラシアードの手記より
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた

いに。
恋愛
"佐久良 麗" これが私の名前。 名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。 両親は他界 好きなものも特にない 将来の夢なんてない 好きな人なんてもっといない 本当になにも持っていない。 0(れい)な人間。 これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。 そんな人生だったはずだ。 「ここ、、どこ?」 瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。 _______________.... 「レイ、何をしている早くいくぞ」 「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」 「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」 「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」 えっと……? なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう? ※ただ主人公が愛でられる物語です ※シリアスたまにあり ※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です ※ど素人作品です、温かい目で見てください どうぞよろしくお願いします。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜

文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。 花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。 堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。 帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは? 異世界婚活ファンタジー、開幕。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

転生先は男女比50:1の世界!?

4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。 「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」 デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・ どうなる!?学園生活!!

処理中です...