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踊り子 ベリンダ
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酔っ払いや薬物中毒者なら構わないに限るけれど、うずくまる体はまだ少年の細さがあり、寒さでブルブルと震えていた。
「ねえ、大丈夫?」
「放っといてくれ」
思わず声をかけると、意外とすぐに反応があった。掠れた声ながら、口調は理性的でしっかりしている。危険がなさそうだったので、彼を好奇心でもってよく観察した。
褐色の肌に黒い髪の少年の顔は殴られて腫れ上がり、ひどい有様だった。元は白かっただろう薄汚れたシャツと、黒いトラウザーズ。靴は誰かに奪われたのか、裸足だった。それでも貴族が好むようなフリルシャツの仕立てからして、ある程度裕福な層の人間と判断できた。
あのときの私は多分、調子に乗っていた。飼われていた貴族の屋敷から金目の物を盗んで逃げ出し、家を借りて、自立した人間になれた気がしていた。彼を救ってあげられると勘違いしたのだ。
「行くとこないなら、うちに来なよ」
「……いいから、俺に構うな」
少年らしいプライドを見せてくるところも、扱いやすそうで好印象だった。私は雨に濡れそぼる彼の尻尾を掴んで引っ張り上げた。
「いたっ……?!」
「あんた、もう取られるものなんか何もないって思ってるんでしょ?危ないよ」
「尻尾が?」
「違う違う。このテウネン通りには、若い男の尻を狙う男だっているんだから」
「は? 尻……?!」
意味がわかった彼が嫌悪を表し、少し口を開く。歯は白くて健康そうだった。腫れ上がった目蓋の下から、煌々とした金色の瞳が覗く。若い女である私を頼るべきか迷っている目つきで、あと一押しだと感じた。
「あんた、私の死んじゃった弟に似てるんだよね……」
嘘だった。私に弟なんかいない。もしかすると姿をくらませた母親が産んだかもしれないが、褐色肌の獣人と似てるはずもなかった。ただ、相手の気を引くためには、可哀想なふりをするのが最良と知っているだけだった。
「弟が死んだのか?」
思惑通り、彼の狼の耳がピクンと動き、興味ありげに体を起き上がらせる。
「うん、暴漢に殴られて死んじゃった。だからあんたのこと見過ごせないの。手当してあげるからうちに来なよ」
彼はしばらく迷いを見せたけれど、結局私に付いて来た。道すがら彼からファルクという、本当かどうかわからない名前を聞いた。訳ありなので嘘をついている可能性もあると思った。
「ファルクはきょうだいがいるの?」
私自身の親はろくでもなかったし、周囲もそんな人ばかりだけれど、きょうだいで支え合う人は多かった。決して裏切らない存在を持つ人が羨ましくて、他人にきょうだいの有無を尋ねるのが癖になっていた。
「姉がひとり、いた」
ただでさえ腫れ上がったファルクの顔が、くしゃりと歪む。
「ああそっか、悲しかったね」
いきなり詳しく聞いては警戒されるかもしれない。私はそれ以上の深掘りは避けて、優しく頭を撫でた。ファルクは黙って、必死に涙を堪えているようだった。
やがて古いながらもそれなりに大きな私の家に着くと、ファルクの泥だらけの足を洗い、傷の手当をした。
傷がひどくならないうちに消毒をして、高い治療費を払わずに済ませるのが庶民の知恵だ。踊りの練習で足を痛めることもあったので、私は怪我の手当に慣れていた。
包帯などを巻き終えた頃、帰ってすぐに温め始めたスープが湯気を立てていた。夜食のスープは作り置きがしてあり、時間をかけた分エキスが染み出ている。
私の唯一の財産とも言える健康を保てるよう、肉や野菜がたっぷり入っているものだ。ファルクが風邪を引かないよう、彼にも当然ながら出した。
「信じられないくらいにおいしい」
ひと口食べたファルクは、目を潤ませてスープの味を称賛した。
「あらそう?寒いときに温かいものを食べてそう感じてるだけじゃない?」
「それだけじゃないと思う。ベリンダは料理上手なんだな……」
褒められて顔が熱くなるのを感じた。ファルクの純粋な反応が嬉しかったし、いいことをしたという自画自賛の気持ちもあった。
弱りきっていたファルクに対し、勝手に自分の少女時代を重ねていたのだろう。
下心なしで優しく保護してくれる大人は私にはいなかったけれど、自分がそうなれたことが誇らしい。つらかった思い出を消化できそうだった。
彼にソファで寝られるよう毛布を貸し、私は自分の寝室のドアにつっかえ棒をして眠った。取られるようなものは特にないし、勝手に出ていくならそれでいいと思っていた。
昼過ぎに起きた私は、居間で所在なさげに佇むファルクの顔を見て、複数の意味で驚いた。
「あんたまだいたの……かわいい顔してたんだね。その顔なら本気でお尻が危なかったわ。ていうか腫れが引くの早すぎない?」
「獣人だから」
照れくさそうに答えにならない答えを返し、ファルクは俯いた。睫毛が長く、鼻筋がスッと通った美少年はキュルル、とお腹を鳴らした。
「お腹空いたの?まあ昨日のあれだけじゃ足りないよね」
「……」
「待ってて、今朝ごはん作るよ」
「ごめん、俺、お金持ってなくて」
「そんなのいいよ」
少年ひとりに数回ご飯を食べさせるくらいの余裕は私にもあった。折角だから、と贅沢なパンケーキの用意を始めた。
「食べたら出ていってね」
私の宣告に、ファルクは悲しそうに耳を伏せた。
「でも俺、ベリンダに恩返しがしたい」
「家に帰ればいいじゃない。両親が心配してるよ」
少年を諭すことも大人の務めだと思っていた。それに、下心はなかったものの家に帰ってお礼を持ってきてくれるのなら、それはそれでありがたい話だ。
「……俺は帰れないんだ」
「よくわかんないけど、こんなところにいてもファルクのお姉さんは喜ばないと思うよ」
「そんなことない。ここなら安全だから。実は俺、ヴァントデンから逃げてきたんだ」
「は?厄介ごとに私を巻き込まないでよ」
隣国から逃げてきたと言われ、私は泡だて器を持ったまま身構えた。ファルクはダッと私の前に駆け寄り、上目遣いで見つめてきた。その頃の彼はまだ私より、ほんの少し身長が低かった。
「お願いします。ここでしばらく匿ってください」
「ちょっとやめて……私は危険なことに関わりたくないの」
「それは大丈夫。俺がこの国にいる限り、危険はない」
「どういうこと?」
「聞かないほうがいい。だけど絶対に、ベリンダに迷惑をかけることはないと誓うから」
ファルクの曇りなき眼が、嘘はないと真っすぐに私を射抜く。葛藤があった。助けを求める少年を放り出し、自分の身の安全を最優先にするべきか、自分の良心に従うべきか。
結局、私はファルクを助けることにした。
私はまともな良い人間になろうとあがいていたから、ファルクを放り出せはしなかった。
「ねえ、大丈夫?」
「放っといてくれ」
思わず声をかけると、意外とすぐに反応があった。掠れた声ながら、口調は理性的でしっかりしている。危険がなさそうだったので、彼を好奇心でもってよく観察した。
褐色の肌に黒い髪の少年の顔は殴られて腫れ上がり、ひどい有様だった。元は白かっただろう薄汚れたシャツと、黒いトラウザーズ。靴は誰かに奪われたのか、裸足だった。それでも貴族が好むようなフリルシャツの仕立てからして、ある程度裕福な層の人間と判断できた。
あのときの私は多分、調子に乗っていた。飼われていた貴族の屋敷から金目の物を盗んで逃げ出し、家を借りて、自立した人間になれた気がしていた。彼を救ってあげられると勘違いしたのだ。
「行くとこないなら、うちに来なよ」
「……いいから、俺に構うな」
少年らしいプライドを見せてくるところも、扱いやすそうで好印象だった。私は雨に濡れそぼる彼の尻尾を掴んで引っ張り上げた。
「いたっ……?!」
「あんた、もう取られるものなんか何もないって思ってるんでしょ?危ないよ」
「尻尾が?」
「違う違う。このテウネン通りには、若い男の尻を狙う男だっているんだから」
「は? 尻……?!」
意味がわかった彼が嫌悪を表し、少し口を開く。歯は白くて健康そうだった。腫れ上がった目蓋の下から、煌々とした金色の瞳が覗く。若い女である私を頼るべきか迷っている目つきで、あと一押しだと感じた。
「あんた、私の死んじゃった弟に似てるんだよね……」
嘘だった。私に弟なんかいない。もしかすると姿をくらませた母親が産んだかもしれないが、褐色肌の獣人と似てるはずもなかった。ただ、相手の気を引くためには、可哀想なふりをするのが最良と知っているだけだった。
「弟が死んだのか?」
思惑通り、彼の狼の耳がピクンと動き、興味ありげに体を起き上がらせる。
「うん、暴漢に殴られて死んじゃった。だからあんたのこと見過ごせないの。手当してあげるからうちに来なよ」
彼はしばらく迷いを見せたけれど、結局私に付いて来た。道すがら彼からファルクという、本当かどうかわからない名前を聞いた。訳ありなので嘘をついている可能性もあると思った。
「ファルクはきょうだいがいるの?」
私自身の親はろくでもなかったし、周囲もそんな人ばかりだけれど、きょうだいで支え合う人は多かった。決して裏切らない存在を持つ人が羨ましくて、他人にきょうだいの有無を尋ねるのが癖になっていた。
「姉がひとり、いた」
ただでさえ腫れ上がったファルクの顔が、くしゃりと歪む。
「ああそっか、悲しかったね」
いきなり詳しく聞いては警戒されるかもしれない。私はそれ以上の深掘りは避けて、優しく頭を撫でた。ファルクは黙って、必死に涙を堪えているようだった。
やがて古いながらもそれなりに大きな私の家に着くと、ファルクの泥だらけの足を洗い、傷の手当をした。
傷がひどくならないうちに消毒をして、高い治療費を払わずに済ませるのが庶民の知恵だ。踊りの練習で足を痛めることもあったので、私は怪我の手当に慣れていた。
包帯などを巻き終えた頃、帰ってすぐに温め始めたスープが湯気を立てていた。夜食のスープは作り置きがしてあり、時間をかけた分エキスが染み出ている。
私の唯一の財産とも言える健康を保てるよう、肉や野菜がたっぷり入っているものだ。ファルクが風邪を引かないよう、彼にも当然ながら出した。
「信じられないくらいにおいしい」
ひと口食べたファルクは、目を潤ませてスープの味を称賛した。
「あらそう?寒いときに温かいものを食べてそう感じてるだけじゃない?」
「それだけじゃないと思う。ベリンダは料理上手なんだな……」
褒められて顔が熱くなるのを感じた。ファルクの純粋な反応が嬉しかったし、いいことをしたという自画自賛の気持ちもあった。
弱りきっていたファルクに対し、勝手に自分の少女時代を重ねていたのだろう。
下心なしで優しく保護してくれる大人は私にはいなかったけれど、自分がそうなれたことが誇らしい。つらかった思い出を消化できそうだった。
彼にソファで寝られるよう毛布を貸し、私は自分の寝室のドアにつっかえ棒をして眠った。取られるようなものは特にないし、勝手に出ていくならそれでいいと思っていた。
昼過ぎに起きた私は、居間で所在なさげに佇むファルクの顔を見て、複数の意味で驚いた。
「あんたまだいたの……かわいい顔してたんだね。その顔なら本気でお尻が危なかったわ。ていうか腫れが引くの早すぎない?」
「獣人だから」
照れくさそうに答えにならない答えを返し、ファルクは俯いた。睫毛が長く、鼻筋がスッと通った美少年はキュルル、とお腹を鳴らした。
「お腹空いたの?まあ昨日のあれだけじゃ足りないよね」
「……」
「待ってて、今朝ごはん作るよ」
「ごめん、俺、お金持ってなくて」
「そんなのいいよ」
少年ひとりに数回ご飯を食べさせるくらいの余裕は私にもあった。折角だから、と贅沢なパンケーキの用意を始めた。
「食べたら出ていってね」
私の宣告に、ファルクは悲しそうに耳を伏せた。
「でも俺、ベリンダに恩返しがしたい」
「家に帰ればいいじゃない。両親が心配してるよ」
少年を諭すことも大人の務めだと思っていた。それに、下心はなかったものの家に帰ってお礼を持ってきてくれるのなら、それはそれでありがたい話だ。
「……俺は帰れないんだ」
「よくわかんないけど、こんなところにいてもファルクのお姉さんは喜ばないと思うよ」
「そんなことない。ここなら安全だから。実は俺、ヴァントデンから逃げてきたんだ」
「は?厄介ごとに私を巻き込まないでよ」
隣国から逃げてきたと言われ、私は泡だて器を持ったまま身構えた。ファルクはダッと私の前に駆け寄り、上目遣いで見つめてきた。その頃の彼はまだ私より、ほんの少し身長が低かった。
「お願いします。ここでしばらく匿ってください」
「ちょっとやめて……私は危険なことに関わりたくないの」
「それは大丈夫。俺がこの国にいる限り、危険はない」
「どういうこと?」
「聞かないほうがいい。だけど絶対に、ベリンダに迷惑をかけることはないと誓うから」
ファルクの曇りなき眼が、嘘はないと真っすぐに私を射抜く。葛藤があった。助けを求める少年を放り出し、自分の身の安全を最優先にするべきか、自分の良心に従うべきか。
結局、私はファルクを助けることにした。
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