27 / 72
踊り子 ベリンダ
27
しおりを挟む
「シュナイダー卿は私を嫌っているかと思っていたのに、このくらいの密着で淫らな気持ちになっているのですか?」
「そもそも、嫌ってなどいません」
「淫らな気持ちにはなっているのですか?」
「それはともかく、私はアルミナ様を以前から敬愛しています。だから聖女の護衛役に志願したのです」
「そうでしたか」
後でアルミナに教えてあげようと私は今の発言を胸に刻む。薄々思っていたけれど、口うるさいのは愛情の表れだったのだろう。
「この小さな身体に課せられた重責のほんの一部でも、肩代わりしたかったのです。ですが、記憶を奪われてからのアルミナ様は……」
「だめですか?」
記憶を奪われてからのアルミナとは、私に入れ替わってからのことだ。シュナイダー卿はやけに渋い反応が多かったので、やっぱり私は好みじゃないのかと胸がざわめく。
「悲しげに遠くを見ていることが多くなりましたね。以前はあなたに対して腹が立つことのほうが多かったのに、今はとても胸が痛くなります。かと思えば私の話を目を輝かせて聞くので、名状し難い気持ちになります」
私のほうが好きと言われているようで、微かな期待をして、私はシュナイダー卿の瞳を覗いてしまった。他人の愛情に一喜一憂するのはやめたいのに、この飢餓感はいつまでも癒えない。
私を案じる優しい眼差しは、すぐ近くにあった。透き通った薄青の瞳には、汚れのない愛情が滲んでいた。吐息がかかるほどに近く、その熱を逃したくなくて彼の顎下に寄りかかった。
「あなたの苦しみを全て、私のものとしたいのです。今、ちゃんと温かいですか?」
シュナイダー卿は、自分が言っていることがわかっているのだろうか。こんなに熱い愛の言葉を私は知らない。誰かに期待なんてしないと誓ったのに、私にまともな恋愛感情なんてもうないと思っていたのに、乾ききった砂地に水が落ちたようだった。
「温かいけど……手が冷たいです。手を繋いでください」
「ええ」
私の頭にチュッと口づけを落とし、シュナイダー卿は外套の中にある私の手を探り当て、包み込んだ。信じられないくらいに、彼の行動ひとつひとつが私にとって重要だった。熱い彼の指が私の指と絡むと、強張りが解けていくような、柔らかい快楽があった。
「あの……シュナイダー卿の名前を忘れてしまって」
名前を呼びたくなってから、私は彼の家名しか知らない事実に気がついた。フフッとシュナイダー卿が笑う。
「エミルですよ」
「エミル」
何の変哲もないありふれた名前なのに、愛らしく感じた。この先一生、エミルという名前を聞くたびに反応するだろう。
「この状態で名前を呼ばれると照れますね」
今、この瞬間に死んでしまいたくなって、私はまた彼の胸に顔を埋めた。彼が好きなのは、私ではなくアルミナだ。清らかで、汚れのないアルミナだから、純粋な彼がこうして抱き合ってくれるのだろう。
エミル。その名前を心の中で何十回も繰り返し、私は口を閉ざした。
「アルミナ様、足は冷たくないですか?」
沈黙を破り、シュナイダー卿が問いかけた。
「少し……感覚がなくなってきたような……」
「それはいけません」
シュナイダー卿は繋いでいた手を解き、私のブーツの結び目の紐を引っ張った。何をするつもりかと、私は羞恥心からささやかな抵抗をする。
「放っといてください」
「凍傷になりますよ」
「そうなったら神聖力で治せますから」
「だめです。私は、アルミナ様に痛い思いをしてもらいたくないのです」
そう言うシュナイダー卿のほうが悲痛なので、結局されるがままとなってしまう。だけどこれが献身なのか、欲情の表れなのかは判別できなかった。
ただ彼の綺麗な指が紐をほどき、靴を脱がせていく光景には淫靡さを感じてしまった。侯爵家の令息であるシュナイダー卿が、女性の靴を脱がせる行為の意味を知らないはずがない。
重ね履きした靴下を取り去ると、血の気を失って真っ白になった小さな足が露出した。
「こんなに冷え切って……」
小柄な身体に相応しく、アルミナの足は小さかった。シュナイダー卿の手で簡単に覆えてしまい、私は包まれる心地よさにうっとりとする。
「アルミナ様、体勢を変えられますか?この足を直接私の腹に押し当てて下さい」
「えっ?」
油断していた私は、彼の言う意味が理解できなかった。
「ああ、ご存じないですか。冷えた足は、他人の腹で温めるのが雪山の常識です」
「嘘でしょう」
「私が嘘をつくと思いますか?」
エミル・シュナイダーは目を細め、絶大な自信に満ちあふれる真面目な顔つきになる。左右対称に整ったスッキリとした眉下の瞳には、一切の翳りがない。
「さあ、早く入れて下さい」
これが、エミル・シュナイダーなのだ。彼の欲望の矛先は少し変わっていて、容易に私の想像の斜め上に進んでくれる。
「わかりました……」
2人で着た少し窮屈な外套の中で、どうにか姿勢を変える。膝を抱えるようにして斜めに座り直し、彼が自ら捲り上げ、中へと導く素肌に足を侵入させる。
「……っう……はぁ……っ」
「つ、冷たいですか?」
「冷たいなんてものではないです……刃物で切られるよう、ですよ……っ」
苦悶の表情を浮かべるシュナイダー卿に遠慮して、私は隙間を空けようとしてしまう。すると彼は、私の足首を掴んだ。力が入ってゴツゴツと硬くなった腹筋に強引に密着させる。
「くうっ……は、ぁ……」
こんなにシュナイダー卿がつらそうなのに、私は足先がジンと痺れる気持ちよさに持って行かれそうになる。温かい。もっと、もっと欲しい。めちゃくちゃに動かして、シュナイダー卿がたっぷりと蓄えた熱を奪ってしまいたい。
「いいですよ、好きに動かして」
苦痛の波を越え、目を開けたシュナイダー卿は私が燻らせる欲望に気づいて微笑んだ。男性なのに、女神様のような慈愛の笑みだった。見返りも求めず、苦しみながらひたすらに尽くそうとする献身。こんな人はきっと、ほかにいない。
「できません、そんなこと……」
「大丈夫ですよ、私は頑丈にできていますから」
また私の足首を掴み、シュナイダー卿は左胸へと足を滑らせた。彼の滑らかな皮膚の感触がわかるくらい、私の足は冷えによる強張りが解けていた。柔らかな胸筋越しに、力強いシュナイダー卿の心臓の鼓動が伝わってくる。
「シュナイダー卿、私にこんな大事なところを踏ませないで」
「でもここが一番温かいでしょう?」
「わかりません」
「……どうして泣いているんですか?」
「温かいからです」
「やっぱり、足が冷えて痛かったのですね。気づくのが遅れてすみません」
否定の意味で首を振った。けれど、悲しくなった理由は上手く説明できなかった。この人がいない人生が寂しかったこと、この人がいなくなる未来が悲しくて仕方ないだなんてとても言えない。
シュナイダー卿は涙が凍らないよう、柔らかいセーターの袖口でしっかりと涙を拭ってくれた。
「そもそも、嫌ってなどいません」
「淫らな気持ちにはなっているのですか?」
「それはともかく、私はアルミナ様を以前から敬愛しています。だから聖女の護衛役に志願したのです」
「そうでしたか」
後でアルミナに教えてあげようと私は今の発言を胸に刻む。薄々思っていたけれど、口うるさいのは愛情の表れだったのだろう。
「この小さな身体に課せられた重責のほんの一部でも、肩代わりしたかったのです。ですが、記憶を奪われてからのアルミナ様は……」
「だめですか?」
記憶を奪われてからのアルミナとは、私に入れ替わってからのことだ。シュナイダー卿はやけに渋い反応が多かったので、やっぱり私は好みじゃないのかと胸がざわめく。
「悲しげに遠くを見ていることが多くなりましたね。以前はあなたに対して腹が立つことのほうが多かったのに、今はとても胸が痛くなります。かと思えば私の話を目を輝かせて聞くので、名状し難い気持ちになります」
私のほうが好きと言われているようで、微かな期待をして、私はシュナイダー卿の瞳を覗いてしまった。他人の愛情に一喜一憂するのはやめたいのに、この飢餓感はいつまでも癒えない。
私を案じる優しい眼差しは、すぐ近くにあった。透き通った薄青の瞳には、汚れのない愛情が滲んでいた。吐息がかかるほどに近く、その熱を逃したくなくて彼の顎下に寄りかかった。
「あなたの苦しみを全て、私のものとしたいのです。今、ちゃんと温かいですか?」
シュナイダー卿は、自分が言っていることがわかっているのだろうか。こんなに熱い愛の言葉を私は知らない。誰かに期待なんてしないと誓ったのに、私にまともな恋愛感情なんてもうないと思っていたのに、乾ききった砂地に水が落ちたようだった。
「温かいけど……手が冷たいです。手を繋いでください」
「ええ」
私の頭にチュッと口づけを落とし、シュナイダー卿は外套の中にある私の手を探り当て、包み込んだ。信じられないくらいに、彼の行動ひとつひとつが私にとって重要だった。熱い彼の指が私の指と絡むと、強張りが解けていくような、柔らかい快楽があった。
「あの……シュナイダー卿の名前を忘れてしまって」
名前を呼びたくなってから、私は彼の家名しか知らない事実に気がついた。フフッとシュナイダー卿が笑う。
「エミルですよ」
「エミル」
何の変哲もないありふれた名前なのに、愛らしく感じた。この先一生、エミルという名前を聞くたびに反応するだろう。
「この状態で名前を呼ばれると照れますね」
今、この瞬間に死んでしまいたくなって、私はまた彼の胸に顔を埋めた。彼が好きなのは、私ではなくアルミナだ。清らかで、汚れのないアルミナだから、純粋な彼がこうして抱き合ってくれるのだろう。
エミル。その名前を心の中で何十回も繰り返し、私は口を閉ざした。
「アルミナ様、足は冷たくないですか?」
沈黙を破り、シュナイダー卿が問いかけた。
「少し……感覚がなくなってきたような……」
「それはいけません」
シュナイダー卿は繋いでいた手を解き、私のブーツの結び目の紐を引っ張った。何をするつもりかと、私は羞恥心からささやかな抵抗をする。
「放っといてください」
「凍傷になりますよ」
「そうなったら神聖力で治せますから」
「だめです。私は、アルミナ様に痛い思いをしてもらいたくないのです」
そう言うシュナイダー卿のほうが悲痛なので、結局されるがままとなってしまう。だけどこれが献身なのか、欲情の表れなのかは判別できなかった。
ただ彼の綺麗な指が紐をほどき、靴を脱がせていく光景には淫靡さを感じてしまった。侯爵家の令息であるシュナイダー卿が、女性の靴を脱がせる行為の意味を知らないはずがない。
重ね履きした靴下を取り去ると、血の気を失って真っ白になった小さな足が露出した。
「こんなに冷え切って……」
小柄な身体に相応しく、アルミナの足は小さかった。シュナイダー卿の手で簡単に覆えてしまい、私は包まれる心地よさにうっとりとする。
「アルミナ様、体勢を変えられますか?この足を直接私の腹に押し当てて下さい」
「えっ?」
油断していた私は、彼の言う意味が理解できなかった。
「ああ、ご存じないですか。冷えた足は、他人の腹で温めるのが雪山の常識です」
「嘘でしょう」
「私が嘘をつくと思いますか?」
エミル・シュナイダーは目を細め、絶大な自信に満ちあふれる真面目な顔つきになる。左右対称に整ったスッキリとした眉下の瞳には、一切の翳りがない。
「さあ、早く入れて下さい」
これが、エミル・シュナイダーなのだ。彼の欲望の矛先は少し変わっていて、容易に私の想像の斜め上に進んでくれる。
「わかりました……」
2人で着た少し窮屈な外套の中で、どうにか姿勢を変える。膝を抱えるようにして斜めに座り直し、彼が自ら捲り上げ、中へと導く素肌に足を侵入させる。
「……っう……はぁ……っ」
「つ、冷たいですか?」
「冷たいなんてものではないです……刃物で切られるよう、ですよ……っ」
苦悶の表情を浮かべるシュナイダー卿に遠慮して、私は隙間を空けようとしてしまう。すると彼は、私の足首を掴んだ。力が入ってゴツゴツと硬くなった腹筋に強引に密着させる。
「くうっ……は、ぁ……」
こんなにシュナイダー卿がつらそうなのに、私は足先がジンと痺れる気持ちよさに持って行かれそうになる。温かい。もっと、もっと欲しい。めちゃくちゃに動かして、シュナイダー卿がたっぷりと蓄えた熱を奪ってしまいたい。
「いいですよ、好きに動かして」
苦痛の波を越え、目を開けたシュナイダー卿は私が燻らせる欲望に気づいて微笑んだ。男性なのに、女神様のような慈愛の笑みだった。見返りも求めず、苦しみながらひたすらに尽くそうとする献身。こんな人はきっと、ほかにいない。
「できません、そんなこと……」
「大丈夫ですよ、私は頑丈にできていますから」
また私の足首を掴み、シュナイダー卿は左胸へと足を滑らせた。彼の滑らかな皮膚の感触がわかるくらい、私の足は冷えによる強張りが解けていた。柔らかな胸筋越しに、力強いシュナイダー卿の心臓の鼓動が伝わってくる。
「シュナイダー卿、私にこんな大事なところを踏ませないで」
「でもここが一番温かいでしょう?」
「わかりません」
「……どうして泣いているんですか?」
「温かいからです」
「やっぱり、足が冷えて痛かったのですね。気づくのが遅れてすみません」
否定の意味で首を振った。けれど、悲しくなった理由は上手く説明できなかった。この人がいない人生が寂しかったこと、この人がいなくなる未来が悲しくて仕方ないだなんてとても言えない。
シュナイダー卿は涙が凍らないよう、柔らかいセーターの袖口でしっかりと涙を拭ってくれた。
1
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる
鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳――
それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。
公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。
だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、
王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。
政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。
紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが――
魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、
まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。
「……私が女王? 冗談じゃないわ」
回避策として動いたはずが、
誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。
しかも彼は、
幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた――
年を取らぬ姿のままで。
永遠に老いない少女と、
彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。
王妃になどなる気はない。
けれど、逃げ続けることももうできない。
これは、
歴史の影に生きてきた少女が、
はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。
ざまぁも陰謀も押し付けない。
それでも――
この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる