5 / 10
第1章 Experimental Body
#4 瞳を綴じた青年
しおりを挟む
扉の前には、部屋にいる少年少女達とは違う洋服___東洋の国にある着物を着ている青年が立っており、彼は目蓋を綴じていた。
「____009。」
ルシエは扉の前に立っている青年の番号を呼び、"009" と呼ばれた彼は声が聞こえた方を向くと柔らかな笑みを浮かべた。
その際、青年の頭の上では髪の色と同じ銀の狐の様な耳が揺れ、着物から見える耳と同じ色の大きな尻尾はゆらりと揺れる。
まるで青空の様な蒼の着物を着ている青年の名は、実験番号009。
コードネームはヴォルペであり、彼は滅多な事がない限り、普段は瞳を綴じているのであった。
『また喧嘩をしていたんだろう。そんなにしていると、また博士に怒られてしまうよ。』
自身に近付き手を差し伸べてくるドゥンケルハイトの手を取りながら、彼はユウとブランカが居るであろう方向に顔を向け、そう声をかけた。
彼は2人が喧嘩をしている際には、この部屋に居なかったはずなのに、だ。
それについての疑問は無いのか、その言葉で2人は罰が悪そうな顔をし、ヴォルペはルシエの近くまで歩き、壁に寄りかかる様にして座り込むと、優しげな笑みをドゥンケルハイトに向ける。
『……本当、その場に居ないのに良く分かるよなぁ…』
『この耳のお陰で、遠くからでも聞こえるからね。ドゥンケルハイト、手を貸してくれてありがとう。何時も助かるよ。』
『別に礼はいらないよ、私の好きでやってるんだからさ。』
ドゥンケルハイトは彼の手をそっと離すと、先程の言葉を思い出し呟いたのだが、ヴォルペはそれが聞こえたらしく自分の頭にある大きな狐の耳を指差しながら述べる。
___先程の2人の喧嘩の声を、その狐の耳が捉えたのだろう。
改めてドゥンケルハイトは心の中で感嘆し、礼を言ってきたヴォルペにそう返すと元の位置に戻っていったのだった。
『___人が集まってきたね。』
段々と部屋に人が集まりだし、各々違う事をし、賑やかになっていく声を聞きながら、彼は近くにいるルシエにそう声を掛ける。
「えぇ、そうですね。」
ルシエも各々違う事をしている彼女達を見つめながら、ヴォルペの声掛けにそう答える。
『相も変わらず、ルシエは淡々としているね。…それより、着替えなくていいのかい?血の匂いがする。君が任務で怪我なんてした事は滅多に無いから、大方相手の返り血だろう?』
「…あぁ。忘れていました。」
『君が忘れるなんて珍しい事だね。今回の相手は大変だったのかい?聞かせておくれよ。』
「あ、それ私も聞きたいにゃあ!アリスも行こうにゃあ!」「う、うん…!」
淡々と答えるルシエに、僅かに微笑みを浮かべながら、彼は先程からルシエが纏っている血の匂いから判断すると首を傾げる。
ルシエは自身の真っ白なドレスに視線を落とし、新しいドレスに着替えていない事に気付くと機械の様に淡々と答えた。
普段は忘れていないというのに、今回は着替えるのを忘れてたと述べるルシエを少し驚いた顔で見つめたのだが、任務が手強かったのかと推測し、今回の任務の話を聞こうとする。
だが、ルシエが話す前に2人の会話が聞こえていたらしくブランカが目を輝かせ、アリスの手を引き、2人の近くまで近寄るとその場に座り込む。
ブランカは早く聞きたいのか尻尾を動かし、目を輝かせ、半ば強引に連れて来られたアリスも満更ではないのかスカートから見える大きな灰色の尻尾を僅かに揺らしルシエが話しだすのを待っていた。
早く話し出した方が良いだろうと感じたルシエは、口を開き話し出そうとするのだが______
「ただいまー!!」
突如として耳に入った明るい声に、その声はかき消されてしまうのだった。
「____009。」
ルシエは扉の前に立っている青年の番号を呼び、"009" と呼ばれた彼は声が聞こえた方を向くと柔らかな笑みを浮かべた。
その際、青年の頭の上では髪の色と同じ銀の狐の様な耳が揺れ、着物から見える耳と同じ色の大きな尻尾はゆらりと揺れる。
まるで青空の様な蒼の着物を着ている青年の名は、実験番号009。
コードネームはヴォルペであり、彼は滅多な事がない限り、普段は瞳を綴じているのであった。
『また喧嘩をしていたんだろう。そんなにしていると、また博士に怒られてしまうよ。』
自身に近付き手を差し伸べてくるドゥンケルハイトの手を取りながら、彼はユウとブランカが居るであろう方向に顔を向け、そう声をかけた。
彼は2人が喧嘩をしている際には、この部屋に居なかったはずなのに、だ。
それについての疑問は無いのか、その言葉で2人は罰が悪そうな顔をし、ヴォルペはルシエの近くまで歩き、壁に寄りかかる様にして座り込むと、優しげな笑みをドゥンケルハイトに向ける。
『……本当、その場に居ないのに良く分かるよなぁ…』
『この耳のお陰で、遠くからでも聞こえるからね。ドゥンケルハイト、手を貸してくれてありがとう。何時も助かるよ。』
『別に礼はいらないよ、私の好きでやってるんだからさ。』
ドゥンケルハイトは彼の手をそっと離すと、先程の言葉を思い出し呟いたのだが、ヴォルペはそれが聞こえたらしく自分の頭にある大きな狐の耳を指差しながら述べる。
___先程の2人の喧嘩の声を、その狐の耳が捉えたのだろう。
改めてドゥンケルハイトは心の中で感嘆し、礼を言ってきたヴォルペにそう返すと元の位置に戻っていったのだった。
『___人が集まってきたね。』
段々と部屋に人が集まりだし、各々違う事をし、賑やかになっていく声を聞きながら、彼は近くにいるルシエにそう声を掛ける。
「えぇ、そうですね。」
ルシエも各々違う事をしている彼女達を見つめながら、ヴォルペの声掛けにそう答える。
『相も変わらず、ルシエは淡々としているね。…それより、着替えなくていいのかい?血の匂いがする。君が任務で怪我なんてした事は滅多に無いから、大方相手の返り血だろう?』
「…あぁ。忘れていました。」
『君が忘れるなんて珍しい事だね。今回の相手は大変だったのかい?聞かせておくれよ。』
「あ、それ私も聞きたいにゃあ!アリスも行こうにゃあ!」「う、うん…!」
淡々と答えるルシエに、僅かに微笑みを浮かべながら、彼は先程からルシエが纏っている血の匂いから判断すると首を傾げる。
ルシエは自身の真っ白なドレスに視線を落とし、新しいドレスに着替えていない事に気付くと機械の様に淡々と答えた。
普段は忘れていないというのに、今回は着替えるのを忘れてたと述べるルシエを少し驚いた顔で見つめたのだが、任務が手強かったのかと推測し、今回の任務の話を聞こうとする。
だが、ルシエが話す前に2人の会話が聞こえていたらしくブランカが目を輝かせ、アリスの手を引き、2人の近くまで近寄るとその場に座り込む。
ブランカは早く聞きたいのか尻尾を動かし、目を輝かせ、半ば強引に連れて来られたアリスも満更ではないのかスカートから見える大きな灰色の尻尾を僅かに揺らしルシエが話しだすのを待っていた。
早く話し出した方が良いだろうと感じたルシエは、口を開き話し出そうとするのだが______
「ただいまー!!」
突如として耳に入った明るい声に、その声はかき消されてしまうのだった。
0
あなたにおすすめの小説
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる