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第4章 ルピア公国 攻防戦
第4話 スポイツアへ 1
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異世界召喚 61日目
カローイ達が、明日昼スポイツアに向けて出発すると決まった夕刻…
ダペス邸に、白いローブを着た3人の者が、博影を訪ねてやってきた。
ダペス邸、1階客間にて博影、カローイ、ベレッタにて対応する。
「大司教様…」
ベレッタが驚くのも無理はない。
王都イシューレ教会で、教皇につぐ実力者、大司教がいくら公爵家とはいえ、いち貴族の館を訪ねてきた。
それも、いち治癒師?の…博影をである。
「大司教、今日はどのようなご用件で参られたのでしょうか?」
カローイも、幾分緊張した趣で対応している。
「ダペス公爵には、常日頃イシュ国をイシューレ教会を、大切にしていただき感謝しています。
本日、参ったのは、明日、出発するダペス家も加わるスポイツア守備隊に、イシューレ教会もなにかしら協力いたしたいと考えています。
そこで、教会は現在治癒師をスポイツアに派遣したいと集めているのです。
博影殿の治癒師としての力は、最近多くの者が知るところとなっています。
ぜひ、協力していただけないでしょうか?」
言葉、物腰は非常に柔らかく丁寧だが、目は…目は…
まるで、値踏みするかのような、若干さげすんだ目だった。
「いや、それは…」
と言いかけ、カローイは黙った。
各大都市で、治癒所を開いている教会の力は絶大、その意見や依頼は簡単には無視できないのだ。
ふぅぅ……一息吐き…
「わかりました、大司教様に来ていただきどうして断ることが出来ましょう。私、喜んでスポイツアに行かせて頂きます」
博影は、すっと立ち深々と一礼した。大司教の口元が一瞬緩み…
「それは、ありがたい。博影殿、よろしくお願いします。博影殿に、神のご加護があらんことを」
大司教と、従者2人はダペス邸を後にした。
客間にて…
「博影よかったの?」
ベレッタが、心配そうに博影の顔を覗き込む。ベレッタは、博影が、ギュラー砦戦のストレスが、まだ癒えていないと考えていた。
「大丈夫、今回はカローイと後方支援だろう。戦は、ブルガ公爵。自分は、後方で治癒師のお仕事
何も問題はないさ。
それに、今自分と沙耶が身を寄せているのは、ここイシュ王国だ。イシュ王国の立場が危うくなれば、当然自分たちの立場も危うくなる。協力するのは、当然のことだ」
博影は、うそは言っていない本心だった。
イシュ王国が、滅亡すれば自分たちは路頭に迷う…迷うほど、生きていられればよいが…
そのためにも、イシュ王国は滅亡してもらってはこまる。自分たちが生きていくために…
食堂へ行く。皆は先に食事を始めていた。
「どんな話だったの?」
沙耶が、聞く。
「もしかして、スカウト?治療所で働かないかって! でも、本部の治療所だからおじさんばかりかなぁ~」
沙耶は、クスクスと楽しんでいる。
ちょっと、こういう雰囲気では言いづらいが…
「沙耶、ごめん。叉、カローイの手伝いに行って来る。だが、今回は砦とかじゃなく、駐屯地の都市での仕事だから、相手も、ちょっと弱いと言う話だし、都市が巻き込まれることはないよ」
苦笑いしながら話したが、沙耶の顔が、みるみる崩れてくる。
カローイは、慌てて説明する…
「沙耶、今回は大丈夫だ。戦場は、南方に広がるブスタ大平原で行われる予定だし、大平原にモスコーフ帝国軍の報告はない。スポイツアでの博影の仕事は、治癒師としての仕事は安全だよ」
沙耶も、今更止めることは出来ないとわかっている。
先ほど来た人は、ダペス邸の屋敷の人たちが、慌て緊張するほどの方、その依頼を承諾後、断れるはずはない。
「ん、わかってる。お父さん、無茶だけはしないでね。必ず無事に帰ってきてね」
沙耶は、涙がこぼれるのを必死に我慢し、博影に笑いながらお願いした。
「すると、博影の護衛を兼ねて、だれがついていくかだが…今回は、護衛が主任務だと思えばダペス家の騎士がよいが…」
ダペス家は、先の戦でかなり兵を減らし、負傷兵も多く出しいまだ、王都のダペス邸へ騎士を送れないでいる。
「私が行こう」
システィナが、さも当然だと発言する。
「シスは、最近ティアナに治癒術を教えてもらっているでしょう。まだ今後も戦は続く、そちらを優先したほうがいいわよ。カローイ、今回も私が行きます」
「いや、ベレッタ君はだめだ。ギュラー砦は、大きな戦果を得ることが出来、ベレッタの助祭の剥奪は不問にされたが、今回も、教会の意向を無視していけば、かならず、助祭を剥奪されるだろう。
それでは、ダペス家とイシューレ教会の溝が出来てしまう。だから、今回はだめだ!」
でも…と言いかけるベレッタを、カローイが目で制する。
「では、私でよいですね。まだ、下級騎士ではありますが、都市内での護衛であれば、特に問題ないでしょう」
ルーナが、強く進言した。
「そうだね、じゃあ今回はルーナにお願いしようかな?」
えっ…最近、お父さんの事を、博影様と呼んでいる。ルーナがいくの?…
と、ルーナが護衛でついていくことに、一抹の不安を感じる沙耶だったが、一番の優先は、博影の安全…
沙耶は、だまってその案を了承した。
いつにもまして、寝る前の多くのキスを沙耶から貰った翌日の昼…
貴族エリアで、出発の儀式を受け、スポイツアへ向け、カローイ以下騎兵200と、博影を含む、治癒師15人が出発した。
カローイ達が、明日昼スポイツアに向けて出発すると決まった夕刻…
ダペス邸に、白いローブを着た3人の者が、博影を訪ねてやってきた。
ダペス邸、1階客間にて博影、カローイ、ベレッタにて対応する。
「大司教様…」
ベレッタが驚くのも無理はない。
王都イシューレ教会で、教皇につぐ実力者、大司教がいくら公爵家とはいえ、いち貴族の館を訪ねてきた。
それも、いち治癒師?の…博影をである。
「大司教、今日はどのようなご用件で参られたのでしょうか?」
カローイも、幾分緊張した趣で対応している。
「ダペス公爵には、常日頃イシュ国をイシューレ教会を、大切にしていただき感謝しています。
本日、参ったのは、明日、出発するダペス家も加わるスポイツア守備隊に、イシューレ教会もなにかしら協力いたしたいと考えています。
そこで、教会は現在治癒師をスポイツアに派遣したいと集めているのです。
博影殿の治癒師としての力は、最近多くの者が知るところとなっています。
ぜひ、協力していただけないでしょうか?」
言葉、物腰は非常に柔らかく丁寧だが、目は…目は…
まるで、値踏みするかのような、若干さげすんだ目だった。
「いや、それは…」
と言いかけ、カローイは黙った。
各大都市で、治癒所を開いている教会の力は絶大、その意見や依頼は簡単には無視できないのだ。
ふぅぅ……一息吐き…
「わかりました、大司教様に来ていただきどうして断ることが出来ましょう。私、喜んでスポイツアに行かせて頂きます」
博影は、すっと立ち深々と一礼した。大司教の口元が一瞬緩み…
「それは、ありがたい。博影殿、よろしくお願いします。博影殿に、神のご加護があらんことを」
大司教と、従者2人はダペス邸を後にした。
客間にて…
「博影よかったの?」
ベレッタが、心配そうに博影の顔を覗き込む。ベレッタは、博影が、ギュラー砦戦のストレスが、まだ癒えていないと考えていた。
「大丈夫、今回はカローイと後方支援だろう。戦は、ブルガ公爵。自分は、後方で治癒師のお仕事
何も問題はないさ。
それに、今自分と沙耶が身を寄せているのは、ここイシュ王国だ。イシュ王国の立場が危うくなれば、当然自分たちの立場も危うくなる。協力するのは、当然のことだ」
博影は、うそは言っていない本心だった。
イシュ王国が、滅亡すれば自分たちは路頭に迷う…迷うほど、生きていられればよいが…
そのためにも、イシュ王国は滅亡してもらってはこまる。自分たちが生きていくために…
食堂へ行く。皆は先に食事を始めていた。
「どんな話だったの?」
沙耶が、聞く。
「もしかして、スカウト?治療所で働かないかって! でも、本部の治療所だからおじさんばかりかなぁ~」
沙耶は、クスクスと楽しんでいる。
ちょっと、こういう雰囲気では言いづらいが…
「沙耶、ごめん。叉、カローイの手伝いに行って来る。だが、今回は砦とかじゃなく、駐屯地の都市での仕事だから、相手も、ちょっと弱いと言う話だし、都市が巻き込まれることはないよ」
苦笑いしながら話したが、沙耶の顔が、みるみる崩れてくる。
カローイは、慌てて説明する…
「沙耶、今回は大丈夫だ。戦場は、南方に広がるブスタ大平原で行われる予定だし、大平原にモスコーフ帝国軍の報告はない。スポイツアでの博影の仕事は、治癒師としての仕事は安全だよ」
沙耶も、今更止めることは出来ないとわかっている。
先ほど来た人は、ダペス邸の屋敷の人たちが、慌て緊張するほどの方、その依頼を承諾後、断れるはずはない。
「ん、わかってる。お父さん、無茶だけはしないでね。必ず無事に帰ってきてね」
沙耶は、涙がこぼれるのを必死に我慢し、博影に笑いながらお願いした。
「すると、博影の護衛を兼ねて、だれがついていくかだが…今回は、護衛が主任務だと思えばダペス家の騎士がよいが…」
ダペス家は、先の戦でかなり兵を減らし、負傷兵も多く出しいまだ、王都のダペス邸へ騎士を送れないでいる。
「私が行こう」
システィナが、さも当然だと発言する。
「シスは、最近ティアナに治癒術を教えてもらっているでしょう。まだ今後も戦は続く、そちらを優先したほうがいいわよ。カローイ、今回も私が行きます」
「いや、ベレッタ君はだめだ。ギュラー砦は、大きな戦果を得ることが出来、ベレッタの助祭の剥奪は不問にされたが、今回も、教会の意向を無視していけば、かならず、助祭を剥奪されるだろう。
それでは、ダペス家とイシューレ教会の溝が出来てしまう。だから、今回はだめだ!」
でも…と言いかけるベレッタを、カローイが目で制する。
「では、私でよいですね。まだ、下級騎士ではありますが、都市内での護衛であれば、特に問題ないでしょう」
ルーナが、強く進言した。
「そうだね、じゃあ今回はルーナにお願いしようかな?」
えっ…最近、お父さんの事を、博影様と呼んでいる。ルーナがいくの?…
と、ルーナが護衛でついていくことに、一抹の不安を感じる沙耶だったが、一番の優先は、博影の安全…
沙耶は、だまってその案を了承した。
いつにもまして、寝る前の多くのキスを沙耶から貰った翌日の昼…
貴族エリアで、出発の儀式を受け、スポイツアへ向け、カローイ以下騎兵200と、博影を含む、治癒師15人が出発した。
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