【完結】狐と竜の怪異専門探偵事務所~千年前に構った竜の子に現世で再会、溺愛執着されています~

オジカヅキ・オボロ

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15 夜の出来事3

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 急に彼に手を取られた。

「……来て」

 答えはイエスしか許されないから、頷いて手を引かれるままついていく。心臓はばくばくと鳴りっぱなしだ。
 庭をぐるりと周り、廊下に上がっていくらか歩いて角を何度か曲がって着いた先は、どうやらこの青年の私室のようだった。ふかふかのソファを勧められ、おそるおそると腰掛ける。

(お尻が埋まりそう……)

 こんな上等なソファがあるのか、と思うほどふかふかだ。そんなことを思うのも現実逃避だと自分でわかっていた。

「……おかしなことをいくつか訊くが、答えてくれたら嬉しい」
「は、はい」
「君は本当に陰陽師ではない?」
「はい。小さい頃に素養を調べてもらって、さっぱりないって結果が出ましたから」

 あの時、両親は怒りも哀しみもしなかった。淡々と受け入れていたように思う。

「ただ、式神を呼び出すことだけはできたので、まったくゼロではないかもしれませんが……それだけです」
「式神……あの狐か
「はい」
「ふむ……」

 思案げに人差し指でくちびるを撫でる仕草から、目を離せない。それから、ふと何かに気付いたように顔を上げた。

「先ほどの話に出たような夢を、今までに見たことは?」
「ええと……あります。同じような夢を、場面を変えて小さい頃から何度も。たまにしか見ないんですが……最近は結構見るかも。ああ、昨晩も見ました」
「どのような?」
「泣いている子どもの竜に、何かをあげる……渡す? 夢でした」

 言うと、彼は瀧から視線を逸らし、俯く。

「……君は、その時、どう思った?」
「え?」
「その、竜の子どもに。何か思わなかったか?」

 言われて、少し考え、思い出す。あの夢の中の感覚をなぞるように。
 彼は急かさず、待ってくれていた。

「……子どもが綺麗な顔をしているから、泣かないでほしい、っていうのと……わかってたからいいんだよ、と」

 夢の中の自分はその結末になることがわかっていたようだった。自分で決めてそうしたのだから、竜の子には自分を責めないでほしいと思っていたし、そう言っていた、ようだった。

「あとは、渡したものをずっと持っていてくれると嬉しいな、みたいな……そんな気持ちだったと思います」
「……そう」

 目を伏せた彼は、小さく頷く。

「ありがとう。部屋に温かい飲み物を用意しておくから、飲んで休むといい」

 上位種族からお礼を言われて心底から驚いたが、瀧のほうも「ありがとうございます」とお礼を返し、部屋を辞した。
 かえって眠れなくなるのではと危惧したが、部屋に用意されていたスープを飲んでベッドに横になれば、知らない間にすっかり眠りについていた。



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