23 / 68
22 水落鬼1
しおりを挟む
「香山もオレたちも、怪異が何かっていうのもだけど、怪異を起こす理由も知りたいと思ってるから、できればいきなり消滅させるのはナシでお願いしたいんですけど……」
たぶん梓玥にとっては怪異を発見次第で消すほうが楽だろう。けれど、一般人である瀧たちにとっては、理由がわからないまま事件が解決するのはモヤモヤしてしまうではないか!
それにプール自体に何か問題があるなら、それが改装などでなんとかできることなら、類似の事件が起こらないように解決できるのが一番だ。
「……わかった」
何か言いたいような雰囲気も感じたが、結局は頷いてくれたからホッとする。彼が嫌だと言えば、当然この話はなかったことになるからだ。
(オカ研入る時に保証してくれたから、大丈夫だろうとは思ったけど……よかった)
彼の豪邸に世話になった夜の出来事といい、そもそも出会った時のことといい、梓玥の言葉が自信過剰だとは思わない。オカ研の全員がそうだろうと思う。だから梓玥の保証がある限りは身の安全は保証されるだろう。
+++++
授業をすべて終えた後、オカ研メンバーは香山に連れられ、ハーフパンツスタイルの水着に着替えてプールサイドにいた。梓玥だけは着替えずにいたが、誰が意見を言い、咎められただろうか。
「香山、プールのどのあたりで起こるのが多いっていうのはあるのか?」
「いや、今のところは特にないな……ああ、でもプールの縁ってことはないかな。あと飛び込み用のほうでは何も起きてない」
「なるほど? じゃあとりあえず、準備体操してから入ろうか。香山、頼むよ」
「オッケー。じゃあいくぞ」
はーい、と三人が元気な返事をして、水泳部がいつもしているという準備体操を始める。それだけでなかなかハードだと思ったが、怪異関係なく脚を攣らせてしまうほうが問題があるため、全員が真面目に準備体操をした。
その間に梓玥はプールのほうを眺めているように見えた。何もしていないということは、少なくとも今のところは何もないと思っていいのだろうか。
「っわ、嶋田! おまえ飛び込みめちゃくちゃヘタクソじゃねえか!」
腹打ちして派手な水しぶきを上げた嶋田に、西山が顔へ盛大にかかった水をしかめっ面で払う。真岡はその横を綺麗なフォームのクロールで泳ぎ去っていった。
瀧はといえば、借りた浮き具を付けてのんびり背泳ぎをしていた。浮き具をつけていれば沈むこともないだろうという考えだが、さて正解だろうか。
久々のプール、しかも温水プールではしゃいでいたのは最初の三十分ほど。
違和感には、瀧が気付いた。浮き具で浮いたままプールの半ばほどに来た時だ。
浮いているはずなのに、徐々に体が重くなっている。気のせいかと思ったが、少しずつ脚は下がるし鉛のような重さでだんだんと水に沈んでいっている気がするのは、きっと気のせいではない。
ぞわ、と全身が総毛立ち、どくどくと脈打つ鼓動が深く強く、速くなる。目の前がチカチカしてハレーションを起こし、体は軽くなっているのに沈んでいる。
「瀧!」
ばしゃん、と大雨が降ったような水音がして、瀧は意識を引き戻す。誰が呼んでくれたのだろう。
プールサイドに立っていることに気付いたのは、どれくらい経ってからなのか。
「今の……なんだったんだ……?」
はぁ、と息を吐くと、体になんだか違和感がある。けれどそれが何かを探るより先に、真岡、西山、嶋田、香山になんとも言えない顔で見つめられていることに気付いた。
たぶん梓玥にとっては怪異を発見次第で消すほうが楽だろう。けれど、一般人である瀧たちにとっては、理由がわからないまま事件が解決するのはモヤモヤしてしまうではないか!
それにプール自体に何か問題があるなら、それが改装などでなんとかできることなら、類似の事件が起こらないように解決できるのが一番だ。
「……わかった」
何か言いたいような雰囲気も感じたが、結局は頷いてくれたからホッとする。彼が嫌だと言えば、当然この話はなかったことになるからだ。
(オカ研入る時に保証してくれたから、大丈夫だろうとは思ったけど……よかった)
彼の豪邸に世話になった夜の出来事といい、そもそも出会った時のことといい、梓玥の言葉が自信過剰だとは思わない。オカ研の全員がそうだろうと思う。だから梓玥の保証がある限りは身の安全は保証されるだろう。
+++++
授業をすべて終えた後、オカ研メンバーは香山に連れられ、ハーフパンツスタイルの水着に着替えてプールサイドにいた。梓玥だけは着替えずにいたが、誰が意見を言い、咎められただろうか。
「香山、プールのどのあたりで起こるのが多いっていうのはあるのか?」
「いや、今のところは特にないな……ああ、でもプールの縁ってことはないかな。あと飛び込み用のほうでは何も起きてない」
「なるほど? じゃあとりあえず、準備体操してから入ろうか。香山、頼むよ」
「オッケー。じゃあいくぞ」
はーい、と三人が元気な返事をして、水泳部がいつもしているという準備体操を始める。それだけでなかなかハードだと思ったが、怪異関係なく脚を攣らせてしまうほうが問題があるため、全員が真面目に準備体操をした。
その間に梓玥はプールのほうを眺めているように見えた。何もしていないということは、少なくとも今のところは何もないと思っていいのだろうか。
「っわ、嶋田! おまえ飛び込みめちゃくちゃヘタクソじゃねえか!」
腹打ちして派手な水しぶきを上げた嶋田に、西山が顔へ盛大にかかった水をしかめっ面で払う。真岡はその横を綺麗なフォームのクロールで泳ぎ去っていった。
瀧はといえば、借りた浮き具を付けてのんびり背泳ぎをしていた。浮き具をつけていれば沈むこともないだろうという考えだが、さて正解だろうか。
久々のプール、しかも温水プールではしゃいでいたのは最初の三十分ほど。
違和感には、瀧が気付いた。浮き具で浮いたままプールの半ばほどに来た時だ。
浮いているはずなのに、徐々に体が重くなっている。気のせいかと思ったが、少しずつ脚は下がるし鉛のような重さでだんだんと水に沈んでいっている気がするのは、きっと気のせいではない。
ぞわ、と全身が総毛立ち、どくどくと脈打つ鼓動が深く強く、速くなる。目の前がチカチカしてハレーションを起こし、体は軽くなっているのに沈んでいる。
「瀧!」
ばしゃん、と大雨が降ったような水音がして、瀧は意識を引き戻す。誰が呼んでくれたのだろう。
プールサイドに立っていることに気付いたのは、どれくらい経ってからなのか。
「今の……なんだったんだ……?」
はぁ、と息を吐くと、体になんだか違和感がある。けれどそれが何かを探るより先に、真岡、西山、嶋田、香山になんとも言えない顔で見つめられていることに気付いた。
1
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる