【完結】狐と竜の怪異専門探偵事務所~千年前に構った竜の子に現世で再会、溺愛執着されています~

オジカヅキ・オボロ

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51 解決編1

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 数日の間は全員がレポートに追われ忙しくしていたから、余裕がなかった。レポートに点数が付けられれば一喜一憂したが、それも落ち着いた昼過ぎの食堂。
 いつものメンバーが顔を揃えていた。落ち着かない、そわそわとした空気を裂いたのは梓玥だ。彼は今日、瀧と同じように長袖Tシャツの上に焦げ茶のロングカーディガンを羽織っていた。瀧は濃紺のロングカーディガンだ。

「前回、水落鬼の話の途中で終わっていた」
「真岡センパイが確証が取れたらって思わせぶりに言ってたやつっすね!」
「いや、別に思わせぶりってわけじゃ……」

 真岡は苦笑するが、西山が彼のほうへ身を乗り出す。

(オレも半端に聞いてたから気になってたんだよなぁ)

 おそらくすべてを知っている相手が傍にいるのは、いいのだが答え合わせが先にできるわけではないのでもどかしい。

「俺らにしてみれば、充分思わせぶりだよ。で、確証ってやつは取れたのか?」
「まあ……そう」
「珍しく歯切れが悪いですね、真岡さん」

 どこか緊張しているようにも見える。はぁ、と息を吐いた真岡は、気を取り直したように全員をぐるりと見た。ジャケットの襟を正すと、覚悟を決めた顔だ。

「実は……うちな、土御門の本家なんだわ」
「は?!」
「なにて?!」

 全員一斉に声を上げた。大声だったが、周囲の者たちがオカ研を気にする様子はない。きっといつも通り梓玥の結界が仕事をしているのだ。
 真岡の落とした爆弾は、それぞれに衝撃を与えた。

「土御門って……陰陽師の?」
「そう、その土御門。……あ、真岡っていうのは母方の祖母の実家の名字を借りてる。本名名乗るのは当主だけだから」
「はあー……」

 国内トップの陰陽師家。国政にも関わりがあり、国家鎮守を一手に担っている。壬司家よりずっと強大で、下手な獣人よりランクは上だ。

(昔、傍流って言ってたけど、本家だったのか!)

 さすがに本家と言いづらいのはわかるし、正体を言って回るのは危険だということもわかるから、嘘をつかれたと言っても常識の範囲内だ。
 西山が何か思いついた顔をする。

「あっ、だからフィールドワークが今まで安全だったのか? タキの狐くんのお陰だけじゃなくて」
「まあ……そう、かな。言っとくが、オレは四男で術の力は兄貴たちに格段に劣る。だからこう……陰陽師の大学じゃなく、普通の大学に来てるんだけど」

 その点は瀧と同じだ。真岡は四男で瀧は三男だが、兄たちが優秀で自分が術力で劣っているという点や陰陽師の才能という点では同じ。親近感がある。

「じゃあ動画の後で梓玥センパイが真岡センパイに大丈夫って言ってたのも、それがあったからっすか?」

 嶋田の問いに、梓玥は頷いた。

「そう。彼自身には護りの術がかかっていたし、真岡も基本の術はできるだけの力があるから、それで祓えるだろうと思った」
「思いがけない高評価……」

 真岡が驚いた表情で梓玥を見る。梓玥は表情も変えずに口を開く。

「正当な評価。兄たちとは得意分野が違うだけで、真岡も充分陰陽師としてやっていける。……鍛練を怠らなければ」
「うっ……」

 胸を押さえた真岡に、全員の視線が集中する。

「……怠ってるんだな」
「しっかりしてください」
「真岡センパイが立派な陰陽師になったら、オカ研は安泰じゃないっすか」

 好き勝手言うメンバーに、真岡はじとりとした視線を返す。

「おまえら、俺が春に卒業だってこと忘れるなよ」
「永遠に卒業しないでくれ、少なくともおれが卒業するまでは」

 途端に手のひらを返すのはオカ研らしいと言っていいのかどうか。

「おまえだって本来は一緒に卒業予定だっただろうが。留年したのはおまえのせいだ」
「うっ」

 今度は西山が赤いフーディーの胸を押さえる。痛いところを突かれたらしい。
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