【完結】狐と竜の怪異専門探偵事務所~千年前に構った竜の子に現世で再会、溺愛執着されています~

オジカヅキ・オボロ

文字の大きさ
53 / 68

52 解決編2

しおりを挟む
「あっずるいっすよ西山センパイ! せめておれが卒業するまでにしてください!」
「勝手なことを言うなっつーの」

 笑う真岡の顔は明るく、楽しげだ。

「で、真岡の実家が土御門だから……どうなんだ?」

 西山が本題に戻す。答えたのは梓玥だ。

「土御門の傍流が、水落鬼の移送に関わっていた」
「……あー……」
「なるほど……」
「あ、じゃあ一回話を持ち帰ったのは、そのことを家でなんかするためだったのか?」
「なんかって……おまえな……」

 苦笑するが、真岡の表情は暗くはない。肩を竦めると、軽い口調で返してくれた。

「まあ、なんかしたんだよ。それで傍流、つまり分家の分家の分家くらいの家の陰陽師が、頼まれて逆らえなくてやったってわかった」
「頼まれたって、誰に?」
「傍流といっても陰陽師家だろ? 獣人じゃないだろうって思うなら、もう神族しかないじゃん」

 西山の言葉に、「その通り」と真岡は頷く。

「けど、口止めされてるのか禁言術なのか、どの神族の誰とはどうしても言わなくてさ……」

 真岡は心の底から残念そうだが、ランク上の相手の術は解けないのだから仕方がない。

(無理に言わせようとすると口が裂けるとか、副作用が起こるっていうし、そこはどうしようもないよな……)

 けれど手がかりが途切れたと考えるにはまだ早い。

「だが、神族が陰陽師に命じてことを為した、という事実は重要なポイントとなる。以前皆が調べてくれた証言なども踏まえれば、神族がこの件に絡んでいるのは間違いない」

 梓玥が言うと、西山は腕を組んだ。

「と言っても、神族も色んな神族がいるし、対象が広いのは変わらないんじゃ?」
「そうでもない。かなり範囲を狭められた」
「えっ、ホントですか」

 前のめりになる嶋田はきらきらした目で梓玥を見ている。

(……子犬みたいだな……)

 そう思うと、ジップアップパーカーの紐はリードになるだろうか。こんな時に和んでしまった。

「というのも、結果から考えてみれば……という形になる。……一旦水落鬼の話は置いておく。……動画のほうだが」
「! そう、そっち気になってた」

 西山が前のめりに話題に食いつく。元々は彼のイトコからの依頼だということが、もちろんあるからだろう。真岡も落ち着いてはいるが、興味津々は表情に出ていた。もちろん嶋田も、瀧だって例外ではない。

「ほぼ黎さんに任せっきりになっちまったもんなあ」
「どんなことがわかったんだ?」

 瀧の問いに、梓玥が話を始める。

「まず、あの動画が何か――というところからだが」

 誰かがごくりと生唾を呑んだ。

「そもそも、あれはヒトを驚かせるためだけ、のものだった。再生した時、ランダムで西山や嶋田が観た動物の映像か、瀧や真岡が観た恐ろしい映像になる。それに何者かが『一定以上の能力があるヒトが見ると錯乱する』効果をつけた。加工した、と言い換えてもいい」

「なんでまた、そんな効果を……」
「推察だが、おそらくは最初に動画を加工した者は愉快犯だったのだろうと思う。……それをさらに利用したのは、別の者だが」
「利用? 別の者? って?」

 瀧の疑問に梓玥は眉を寄せた。他三人も似たり寄ったりの表情だ。
 全員の疑問は当然のことだと梓玥は頷く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?

monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。 そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。 主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。 ※今回の表紙はAI生成です ※小説家になろうにも公開してます

処理中です...