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番外編 1(梓玥視点)
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またね、と眠気混じりに呟いた瀧が寝入っても、梓玥は彼の顔をじっと見下ろしていた。
(瀧耀……瀧)
瀧がどちらでも構わなかった。瀧が瀧耀である限り――瀧の魂が瀧耀である以上、些事だ。どちらも彼なのだから。
そう思っていたのに、瀧が瀧耀の記憶の蓋を開けたいと言ってくれた時、記憶が戻った時、震えるほど嬉しかった。自分のことを思い出してくれたから。
千年に及ぶ努力、鍛練の積み重ねが、とうとう実った。
「……ようやく……」
瀧を起こさないように、そっと抱きしめる。
初めて会ったあの日、あの時から惹かれていた。単調な日々にもたらされた、明るく眩しく輝くひかり。彼といる時だけは世界が色付いているように思えた。
彼がどういう存在なのかを知ったのは、出会いからしばらく経ってからのことだ。
けれどそれがどうした。
自分が魅了にかかっていたなら、とうに瀧耀が閉じ込められている結界を壊しただろう。――初めからずっと一緒にいたいと思っていたから。
そしてその願いは今、叶えられようとしている。
「…………」
邪魔するものは何であれ、排除する。そのために努力して昇仙し、研鑽して神の位も手に入れた。他者に何と言われようと、瀧を手放すつもりは毛頭ない。
「……瀧」
愛しさを滲ませた声音で、彼の名を口にする。深い眠りに落ちたようだから、それくらいでは起きない。何かを確認するように瀧の頬を撫でた。
そういえば、以前大学で瀧が男女を問わずモテるという話を聞いた。あれはおそらく瀧耀の、九尾の魅了が漏れているからだ。
けれどオカ研の者たちに効いている様子がないのは(真岡は納得できるにしても)不思議だ。親密度の違いによる効果の変化など、ありえるだろうか。
(……この件に関しては、考える余地があるか)
今まで接してきた限り、梓玥と同じような感情で瀧に接しているメンバーはいなさそうだが、様子は見ておこう。
瀧の髪、頭に触れ、そっと撫でる。ずっと触れてみたいと思っていた。子供の頃から、ずっと。それを失くしてしまったのは、愚かな子供だったせいなのだけれど。
一緒に暮らし始めたからといって、不用意に触れる真似はしなかった。一度触れてしまえば自分を抑えることができるか、わからなかったからだ。
(……怒るだろうか)
眠っている間に梓玥が何をしたかを知れば、もしかしたら怒るかもしれないし、呆れるかもしれない。……嫌われるかもしれない。
けれど、衝動は抑えられなかった。
間近で瀧の顔を覗き込み、それぞれの目蓋、目尻、頬へくちびるで触れ、それから思い切ってくちびるにも触れてみる。
少年や青年が初めてそうする時も、こんなに心臓がうるさいのだろうか。耳の奥がキィンと鳴り、シーツに置いた手はいつの間にかシーツを握りしめている。
天界や仙界の者たちに知られればどう思われるか――は、どうでもいい。誰がどう思おうと、今この時を邪魔させない。
「……瀧」
初めて口付けをした後、瀧を起こさないように抱きしめることしかできなかった。
(瀧耀……瀧)
瀧がどちらでも構わなかった。瀧が瀧耀である限り――瀧の魂が瀧耀である以上、些事だ。どちらも彼なのだから。
そう思っていたのに、瀧が瀧耀の記憶の蓋を開けたいと言ってくれた時、記憶が戻った時、震えるほど嬉しかった。自分のことを思い出してくれたから。
千年に及ぶ努力、鍛練の積み重ねが、とうとう実った。
「……ようやく……」
瀧を起こさないように、そっと抱きしめる。
初めて会ったあの日、あの時から惹かれていた。単調な日々にもたらされた、明るく眩しく輝くひかり。彼といる時だけは世界が色付いているように思えた。
彼がどういう存在なのかを知ったのは、出会いからしばらく経ってからのことだ。
けれどそれがどうした。
自分が魅了にかかっていたなら、とうに瀧耀が閉じ込められている結界を壊しただろう。――初めからずっと一緒にいたいと思っていたから。
そしてその願いは今、叶えられようとしている。
「…………」
邪魔するものは何であれ、排除する。そのために努力して昇仙し、研鑽して神の位も手に入れた。他者に何と言われようと、瀧を手放すつもりは毛頭ない。
「……瀧」
愛しさを滲ませた声音で、彼の名を口にする。深い眠りに落ちたようだから、それくらいでは起きない。何かを確認するように瀧の頬を撫でた。
そういえば、以前大学で瀧が男女を問わずモテるという話を聞いた。あれはおそらく瀧耀の、九尾の魅了が漏れているからだ。
けれどオカ研の者たちに効いている様子がないのは(真岡は納得できるにしても)不思議だ。親密度の違いによる効果の変化など、ありえるだろうか。
(……この件に関しては、考える余地があるか)
今まで接してきた限り、梓玥と同じような感情で瀧に接しているメンバーはいなさそうだが、様子は見ておこう。
瀧の髪、頭に触れ、そっと撫でる。ずっと触れてみたいと思っていた。子供の頃から、ずっと。それを失くしてしまったのは、愚かな子供だったせいなのだけれど。
一緒に暮らし始めたからといって、不用意に触れる真似はしなかった。一度触れてしまえば自分を抑えることができるか、わからなかったからだ。
(……怒るだろうか)
眠っている間に梓玥が何をしたかを知れば、もしかしたら怒るかもしれないし、呆れるかもしれない。……嫌われるかもしれない。
けれど、衝動は抑えられなかった。
間近で瀧の顔を覗き込み、それぞれの目蓋、目尻、頬へくちびるで触れ、それから思い切ってくちびるにも触れてみる。
少年や青年が初めてそうする時も、こんなに心臓がうるさいのだろうか。耳の奥がキィンと鳴り、シーツに置いた手はいつの間にかシーツを握りしめている。
天界や仙界の者たちに知られればどう思われるか――は、どうでもいい。誰がどう思おうと、今この時を邪魔させない。
「……瀧」
初めて口付けをした後、瀧を起こさないように抱きしめることしかできなかった。
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