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番外編 2(END後)
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「そういえば黎センパイ、怪異に好かれやすいタイプとかあるんですか?」
食堂のいつもの場所、仲良く昼食を食べていたオカ研メンバーの最年少、嶋田が純粋な問いを投げかける。
「ある」
「あるんですか!?」
「……憑かれやすい人、みたいな感じですか?」
中華丼を食べている真岡の問いかけに「半分当たり」と頷く梓玥が食べているのは四川風麻婆丼だ。溶き卵のスープは飲みきっている。
「霊と怪異は似て非なるもの。だが、傾向は似ている。怪異は、比較的好奇心旺盛な者、応える者、気付いた者、取り込みやすいと感じた者に惹かれる」
「…………」
「…………」
「…………」
「なんでおれを見るんだよそこで」
「他に誰を見ろっていうんですか」
瀧が真顔で返せば、嶋田が何度も頷く。
「タキちゃんセンパイの言う通りです。他にいないじゃないですか」
「シマもわりと好奇心は旺盛だけど、見境はあるもんな」
「勿論っす」
「そんな、まるでおれが見境ないみたいに……」
「あることありました?」
「そりゃ……なくは……ない、はず……」
「自信がない時点でダメだな」
真岡が笑う。西山は憮然とした顔で味噌とんこつラーメンを啜った。嶋田は天津飯に餃子つきで、瀧は味噌ラーメンの炒飯セットを食べているから、今日は中華コーナーが人気だ。
「で、やっぱりオカ研の中では西山センパイが怪異に人気とかあるんですか?」
「残念ながら、ある」
ちらりと西山を見た梓玥は、心なしか気の毒そうな表情に見えた。気のせいではないだろう。
「あるんだ……」
「黎さんとの出会いの時からしてアレだもんな……」
「一日にあんなに怪異に当たるとは思いませんでしたよ」
「あ、やっぱりアレが普通のフィールドワークじゃなかったんですね」
嶋田に「当たり前だろ」と真岡が苦笑する。
「毎回あれだけ遭遇してたら、いくら命があっても足りないだろ。去年だって怪異には遭遇したけど、あんなにタチ悪そうなのはアレが初めてだ」
「一昨年も怪異はあったけど、去年や今年ほどってわけじゃなかったしなあ」
「増えたのはおれのせいじゃなくない!?」
「怪異の間でおまえのことが噂になったんじゃないか」
「ああー、良さそうな人間がいるよって?」
「モテモテじゃないすか、西山さん」
「怪異にモテても……嬉しくないとは言わないけど、そうじゃないんだよ……!」
西山は悔しげにテーブルを叩く真似をする。
「次に行くのは山陽・山陰のほうだから、そっちではおまえが噂になってないといいな」
「タキちゃんセンパイは黎センパイに守ってもらえるからいいとして、おれたちは柯サンと敖サンに守ってもらえるわけでしょ? さすがに前回みたいな目には……遭わないはずっす」
「前回並の怪異に遭遇すること前提なんだな?」
「オカ研なんで……」
へへ、と笑う嶋田を、隣の西山が小突く。
「あちらのほうにも気を付けたほうがいい場所はある」
「え」
「え……」
「ええー……」
「あるんだ……」
「場所は言わないでおく」
「え」
「え……」
「ええー……」
「言わないんだ……」
「言えば君たちの楽しみを奪うだろう?」
「それはそう……」
「黎さんにわかられている……」
「いいのか悪いのかわかんないな」
「悪くはないんじゃないっすかね……」
メンバー全員、複雑な気持ちになるが悪い気持ちではない。もしかしたら、この反応を含めて梓玥に楽しまれているのかもしれないし、それなら彼・彼らに返せるものがほぼないただの人間として、全力でフィールドワークを楽しむしかない。
「そういえば、新車は何にするか決めたんですか?」
瀧の問いかけは真岡に対してだ。
真岡の車は以前のフィールドワークで爆発炎上した。その代わりを柯静峨・敖栢葯が用意してくれるらしいが、結局どうしたのかまでは聞いていなかった。
西山と嶋田の視線も真岡へ向かう。
「それがなー……決めかねてて」
「えっ、なんでまた」
「どうせ卒業までしかオカ研用としては使わないだろ? まぁ次に免許取るだろう嶋田に譲ってもいいんだけど」
「えっ……おれ絶対免許取れない自信しかないんですけど」
「そこは勉強しろよ。で、譲るか譲らないかで車のタイプが変わるわけ」
もともと小型にする気はないにしても、と中華丼を食べきって蓮華を置いた真岡は水を飲む。
「なあ、それならデカいのにしよう」
「デカい? バンとかか?」
「それもいいけど、ジープみたいな」
「おまえな……」
「図々しい?」
「それもだけど、運転しきれるかわからん。……嶋田は頑張ってもらうとして」
「おれが免許取るの確定なんですかね?!」
「だってほら、タキと梓玥さんは他で色々働いてもらってるし」
「……う……おまえだけ何もしてないだろ的発言に、言い返せるだけの材料もなくて……おれは……」
「そういうわけだから」
「同好会に必要なことであれば、あのふたりも協力は惜しませない」
惜しまない、じゃないんだ……と四人とも思ったことだが、発言できるほど剛の者はいなかった。
この後、柯静峨は七人乗りのランドクルーザーを買ったし、敖栢葯は嶋田につきっきりで免許合宿モドキを行い、一発で免許を取らせることに成功。
O県までの道中は運転手ふたり、交代しながらになり、真岡の負担は減った。
楽しい道中は、人数が増えてもやはり楽しいものになった。
*******
えろいのは次かその次にはアップできるようにします…遅筆……
食堂のいつもの場所、仲良く昼食を食べていたオカ研メンバーの最年少、嶋田が純粋な問いを投げかける。
「ある」
「あるんですか!?」
「……憑かれやすい人、みたいな感じですか?」
中華丼を食べている真岡の問いかけに「半分当たり」と頷く梓玥が食べているのは四川風麻婆丼だ。溶き卵のスープは飲みきっている。
「霊と怪異は似て非なるもの。だが、傾向は似ている。怪異は、比較的好奇心旺盛な者、応える者、気付いた者、取り込みやすいと感じた者に惹かれる」
「…………」
「…………」
「…………」
「なんでおれを見るんだよそこで」
「他に誰を見ろっていうんですか」
瀧が真顔で返せば、嶋田が何度も頷く。
「タキちゃんセンパイの言う通りです。他にいないじゃないですか」
「シマもわりと好奇心は旺盛だけど、見境はあるもんな」
「勿論っす」
「そんな、まるでおれが見境ないみたいに……」
「あることありました?」
「そりゃ……なくは……ない、はず……」
「自信がない時点でダメだな」
真岡が笑う。西山は憮然とした顔で味噌とんこつラーメンを啜った。嶋田は天津飯に餃子つきで、瀧は味噌ラーメンの炒飯セットを食べているから、今日は中華コーナーが人気だ。
「で、やっぱりオカ研の中では西山センパイが怪異に人気とかあるんですか?」
「残念ながら、ある」
ちらりと西山を見た梓玥は、心なしか気の毒そうな表情に見えた。気のせいではないだろう。
「あるんだ……」
「黎さんとの出会いの時からしてアレだもんな……」
「一日にあんなに怪異に当たるとは思いませんでしたよ」
「あ、やっぱりアレが普通のフィールドワークじゃなかったんですね」
嶋田に「当たり前だろ」と真岡が苦笑する。
「毎回あれだけ遭遇してたら、いくら命があっても足りないだろ。去年だって怪異には遭遇したけど、あんなにタチ悪そうなのはアレが初めてだ」
「一昨年も怪異はあったけど、去年や今年ほどってわけじゃなかったしなあ」
「増えたのはおれのせいじゃなくない!?」
「怪異の間でおまえのことが噂になったんじゃないか」
「ああー、良さそうな人間がいるよって?」
「モテモテじゃないすか、西山さん」
「怪異にモテても……嬉しくないとは言わないけど、そうじゃないんだよ……!」
西山は悔しげにテーブルを叩く真似をする。
「次に行くのは山陽・山陰のほうだから、そっちではおまえが噂になってないといいな」
「タキちゃんセンパイは黎センパイに守ってもらえるからいいとして、おれたちは柯サンと敖サンに守ってもらえるわけでしょ? さすがに前回みたいな目には……遭わないはずっす」
「前回並の怪異に遭遇すること前提なんだな?」
「オカ研なんで……」
へへ、と笑う嶋田を、隣の西山が小突く。
「あちらのほうにも気を付けたほうがいい場所はある」
「え」
「え……」
「ええー……」
「あるんだ……」
「場所は言わないでおく」
「え」
「え……」
「ええー……」
「言わないんだ……」
「言えば君たちの楽しみを奪うだろう?」
「それはそう……」
「黎さんにわかられている……」
「いいのか悪いのかわかんないな」
「悪くはないんじゃないっすかね……」
メンバー全員、複雑な気持ちになるが悪い気持ちではない。もしかしたら、この反応を含めて梓玥に楽しまれているのかもしれないし、それなら彼・彼らに返せるものがほぼないただの人間として、全力でフィールドワークを楽しむしかない。
「そういえば、新車は何にするか決めたんですか?」
瀧の問いかけは真岡に対してだ。
真岡の車は以前のフィールドワークで爆発炎上した。その代わりを柯静峨・敖栢葯が用意してくれるらしいが、結局どうしたのかまでは聞いていなかった。
西山と嶋田の視線も真岡へ向かう。
「それがなー……決めかねてて」
「えっ、なんでまた」
「どうせ卒業までしかオカ研用としては使わないだろ? まぁ次に免許取るだろう嶋田に譲ってもいいんだけど」
「えっ……おれ絶対免許取れない自信しかないんですけど」
「そこは勉強しろよ。で、譲るか譲らないかで車のタイプが変わるわけ」
もともと小型にする気はないにしても、と中華丼を食べきって蓮華を置いた真岡は水を飲む。
「なあ、それならデカいのにしよう」
「デカい? バンとかか?」
「それもいいけど、ジープみたいな」
「おまえな……」
「図々しい?」
「それもだけど、運転しきれるかわからん。……嶋田は頑張ってもらうとして」
「おれが免許取るの確定なんですかね?!」
「だってほら、タキと梓玥さんは他で色々働いてもらってるし」
「……う……おまえだけ何もしてないだろ的発言に、言い返せるだけの材料もなくて……おれは……」
「そういうわけだから」
「同好会に必要なことであれば、あのふたりも協力は惜しませない」
惜しまない、じゃないんだ……と四人とも思ったことだが、発言できるほど剛の者はいなかった。
この後、柯静峨は七人乗りのランドクルーザーを買ったし、敖栢葯は嶋田につきっきりで免許合宿モドキを行い、一発で免許を取らせることに成功。
O県までの道中は運転手ふたり、交代しながらになり、真岡の負担は減った。
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