【完結】狐と竜の怪異専門探偵事務所~千年前に構った竜の子に現世で再会、溺愛執着されています~

オジカヅキ・オボロ

文字の大きさ
66 / 68

番外編 3(情事1)*

しおりを挟む
 はぁ、と瀧が熱の篭もった息を吐く。
 目許や目尻のあたりにほんのりと朱が乗ったように見え、くちびるを薄く開いているのは、梓玥には煽情的な表情だ。惹かれるようにそっと顔を寄せると、見上げてきた瀧と目が合う。

「……なに?」
「……、……触れてもいい?」

 訊く時にはどうしても躊躇ってしまう。
 瀧に拒否されたことはないが、もしかしたら単に断り切れないだけか、無理を強いているのではないかと、いつも不安になってしまうからだ。
 瀧が、彼に覆い被さっている梓玥に手を伸ばして頬を撫でて微笑んでくれる。

「いいよ」

 そんな風に言って微笑んでくれるのは、あの頃、梓玥の我侭を「仕方ない子竜ちゃんだなぁ」と許してくれた時のよう。

(……もしかして、まだ子供扱いなのか)

 湧いた懸念に、眉が寄る。

「どうした? そんな顔して」

 頬を撫でてくれた指が、眉間をつついてくる。

「別に……なんでも……」
「子竜ちゃんは嘘が下手だな」

 苦笑すると、瀧はもう片方の手も伸ばして梓玥の首に絡め、体を引き寄せる。引き寄せられるまま、梓玥もなるべく体重をかけすぎないように瀧を抱きしめた。

「何か考えすぎてるんだろうけど……梓玥とのことで、オレがいいって言ったらいいんだよ。なんでかわかる?」

 正直に首を横に振ると、頭をぽんぽんと撫でられた。あやされていると思ったが、抵抗はできない。

「梓玥は、オレを好きだから触りたいんだろう?」

 問いに、こくりと頷く。

「オレは。……梓玥を好きだから、触られたいんだよ」

 好きだから、触られたい。

「……!」

 意味を頭が理解すると、ハッと顔を上げた。瀧が照れたように笑っている。いや、実際照れているのだろう。

「瀧」
「これ以上は訊くなよ。訊いたら今日はずっと子竜ちゃん扱いするからな」

 それは頂けない。
 黙った梓玥のくちびるに、瀧が口付けをくれる。触れただけで離れようとするそれを追いかけてくちびるを触れ合わせると、薄く開いていた歯の間から舌を入れ、口中を余すことなく舐めていく。

「ん……んぅ……」

 シャツをはだけさせ、晒した胸や腹にひとつふたつと口付けを落とす。途中で肌を舐めたり歯を立てるのは、舌や歯でも瀧を感じたいと思うから。あるいは凶暴な欲が漏れて出ているのかもしれない。
 瀧の服をすっかり脱がせてしまうと、うっとりと体のあちらこちらを撫で、触れる。

「あんまり触るとくすぐったいだろ……それから」

 両頬を包まれ、じっと見つめられる。

「……梓月も脱いで」

 いつも言ってるだろ、と言われると、言われるたびにそんなことが頭から抜け落ちていたことに気付く。
 素直にシャツを脱ぎ、下着ごとズボンを脱ぐ。隠すところがない裸で抱きしめ合うのは、少しばかり気恥ずかしい。
 瀧が背中を撫でてくれて、お返しのように口付けた。肌を撫でていく手は、どうしても色を帯びる。座っている自分の上に瀧を跨がらせるのは、そうやって抱きつかれていたほうが密着する面積が多くて好きだからだ。

 できることなら、このまま閉じ込めてしまいたい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

沈黙のΩ、冷血宰相に拾われて溺愛されました

ホワイトヴァイス
BL
声を奪われ、競売にかけられたΩ《オメガ》――ノア。 落札したのは、冷血と呼ばれる宰相アルマン・ヴァルナティス。 “番契約”を偽装した取引から始まったふたりの関係は、 やがて国を揺るがす“真実”へとつながっていく。 喋れぬΩと、血を信じない宰相。 ただの契約だったはずの絆が、 互いの傷と孤独を少しずつ融かしていく。 だが、王都の夜に潜む副宰相ルシアンの影が、 彼らの「嘘」を暴こうとしていた――。 沈黙が祈りに変わるとき、 血の支配が終わりを告げ、 “番”の意味が書き換えられる。 冷血宰相×沈黙のΩ、 偽りの契約から始まる救済と革命の物語。

仮面の王子と優雅な従者

emanon
BL
国土は小さいながらも豊かな国、ライデン王国。 平和なこの国の第一王子は、人前に出る時は必ず仮面を付けている。 おまけに病弱で無能、醜男と専らの噂だ。 しかしそれは世を忍ぶ仮の姿だった──。 これは仮面の王子とその従者が暗躍する物語。

糸目推しは転生先でも推し活をしたい

翠雲花
BL
 糸目イケメン。  それは糸目男性にのみ許された、目を開けた時とのギャップから生まれるイケメンであり、糸那柚鶴は糸目男性に憧れていたが、恋愛対象ではなかった。  いわゆる糸目推しというものだ。  そんな彼は容姿に恵まれ、ストーキングする者が増えていくなか、ある日突然、死んだ記憶がない状態で人型神獣に転生しており、ユルという名で生を受けることになる。  血の繋がりのない父親はユルを可愛がり、屋敷の者にも大切にされていたユルは、成人を迎えた頃、父親にある事を告げられる── ※さらっと書いています。 (重複投稿)

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

冷徹勇猛な竜将アルファは純粋無垢な王子オメガに甘えたいのだ! ~だけど殿下は僕に、癒ししか求めてくれないのかな……~

大波小波
BL
 フェリックス・エディン・ラヴィゲールは、ネイトステフ王国の第三王子だ。  端正だが、どこか猛禽類の鋭さを思わせる面立ち。  鋭い長剣を振るう、引き締まった体。  第二性がアルファだからというだけではない、自らを鍛え抜いた武人だった。  彼は『竜将』と呼ばれる称号と共に、内戦に苦しむ隣国へと派遣されていた。  軍閥のクーデターにより内戦の起きた、テミスアーリン王国。  そこでは、国王の第二夫人が亡命の準備を急いでいた。  王は戦闘で命を落とし、彼の正妻である王妃は早々と我が子を連れて逃げている。  仮王として指揮をとる第二夫人の長男は、近隣諸国へ支援を求めて欲しいと、彼女に亡命を勧めた。  仮王の弟である、アルネ・エドゥアルド・クラルは、兄の力になれない歯がゆさを感じていた。  瑞々しい、均整の取れた体。  絹のような栗色の髪に、白い肌。  美しい面立ちだが、茶目っ気も覗くつぶらな瞳。  第二性はオメガだが、彼は利発で優しい少年だった。  そんなアルネは兄から聞いた、隣国の支援部隊を指揮する『竜将』の名を呟く。 「フェリックス・エディン・ラヴィゲール殿下……」  不思議と、勇気が湧いてくる。 「長い、お名前。まるで、呪文みたい」  その名が、恋の呪文となる日が近いことを、アルネはまだ知らなかった。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

処理中です...