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第三章 アナスタシアの反撃
29 腹黒王子の計画
ヴォルフリートの計画は、最初から緻密で冷酷だった。
――エマを使って、アナスタシアを焚き付ける。
彼女がエマを徹底的にいじめるよう仕向け、その証拠を握る。
そして最後に「バラされたくなければレオナールを寄越せ」と突きつける。
その筋書きは単純だが、確実にルクレール家の誇りを人質にとるものだった。
学園へ転入するまでの数ヶ月の間、エマは王宮で貴族社会を学び礼儀作法を徹底的に叩き込まれていた。だがいざエマが学園へ転入するとヴォルフリートは『貴族のルールなんて知らないフリして』『私の恋人のフリをして』と口うるさく命じ、逃げ場を与えなかった。
同時に、アナスタシアに対しては思わせぶりな態度を続ける。
褒めて持ち上げ、期待させ、そして必ず突き落とす。
その繰り返しが、やがて彼女の嫉妬心を膨れ上がらせ、エマへの攻撃を加速させる。
――すべては舞台装置。
レオナールを手にするために必要な「証拠」を積み上げるためのものだ。
本来であれば昨日、アナスタシアが「事情聴取」という名のお茶会に誘われその席につくはずだった。
第二王子派の生徒会メンバーの前で、エマを膝に乗せて可愛がり――お茶会に誘われたと喜んでいた彼女に恥をかかせる。
それが当初の予定。
だが、計画は狂った。
ふと「レオナールの顔が見たい」と思いつきで足を運んだ一年棟。
偶然にも演習が行われており、気まぐれに覗いたその場で――ヴォルフリートはつい、魔が差した。
アナスタシアの前でエマを褒め、煽り、そして追い込んだ。
すると彼女は予想以上に脆く、ついにSub Dropに陥った。
テオバルトが冷静に処置したから事なきを得たが、一歩間違えれば命に関わる危険な状況だった。
――だが。
その時に見たレオナールの表情。
妹を案じ、必死に抑えきれない殺気と焦りを滲ませた横顔。
その姿が、ヴォルフリートにはあまりにも可愛くて。
――勃起しかけた。
危うく顔に出るところを、慌ててエマを連れて空き教室に逃げ込んだ。
溜まった熱を彼女にぶつけて、どうにかごまかす。
計画は狂いに狂い焦った。
だが結果的に、アナスタシアに「エマに恥をかかされた」という屈辱は与えられただろう上に、嫉妬心は炎に油を注がれた状態だ。
――これで、ますますエマへのいじめは激化するだろう。
あとは待つだけ。
証拠を揃え、弱みを握り、ルクレールの爆裂お嬢様を人質に。
そうすれば、必ず手に入る。
――レオナール。
その瞬間を夢想するたび、ヴォルフリートの血は熱を帯び、理性は甘美な期待に震えた。
早く、欲しくて仕方ない。
――エマを使って、アナスタシアを焚き付ける。
彼女がエマを徹底的にいじめるよう仕向け、その証拠を握る。
そして最後に「バラされたくなければレオナールを寄越せ」と突きつける。
その筋書きは単純だが、確実にルクレール家の誇りを人質にとるものだった。
学園へ転入するまでの数ヶ月の間、エマは王宮で貴族社会を学び礼儀作法を徹底的に叩き込まれていた。だがいざエマが学園へ転入するとヴォルフリートは『貴族のルールなんて知らないフリして』『私の恋人のフリをして』と口うるさく命じ、逃げ場を与えなかった。
同時に、アナスタシアに対しては思わせぶりな態度を続ける。
褒めて持ち上げ、期待させ、そして必ず突き落とす。
その繰り返しが、やがて彼女の嫉妬心を膨れ上がらせ、エマへの攻撃を加速させる。
――すべては舞台装置。
レオナールを手にするために必要な「証拠」を積み上げるためのものだ。
本来であれば昨日、アナスタシアが「事情聴取」という名のお茶会に誘われその席につくはずだった。
第二王子派の生徒会メンバーの前で、エマを膝に乗せて可愛がり――お茶会に誘われたと喜んでいた彼女に恥をかかせる。
それが当初の予定。
だが、計画は狂った。
ふと「レオナールの顔が見たい」と思いつきで足を運んだ一年棟。
偶然にも演習が行われており、気まぐれに覗いたその場で――ヴォルフリートはつい、魔が差した。
アナスタシアの前でエマを褒め、煽り、そして追い込んだ。
すると彼女は予想以上に脆く、ついにSub Dropに陥った。
テオバルトが冷静に処置したから事なきを得たが、一歩間違えれば命に関わる危険な状況だった。
――だが。
その時に見たレオナールの表情。
妹を案じ、必死に抑えきれない殺気と焦りを滲ませた横顔。
その姿が、ヴォルフリートにはあまりにも可愛くて。
――勃起しかけた。
危うく顔に出るところを、慌ててエマを連れて空き教室に逃げ込んだ。
溜まった熱を彼女にぶつけて、どうにかごまかす。
計画は狂いに狂い焦った。
だが結果的に、アナスタシアに「エマに恥をかかされた」という屈辱は与えられただろう上に、嫉妬心は炎に油を注がれた状態だ。
――これで、ますますエマへのいじめは激化するだろう。
あとは待つだけ。
証拠を揃え、弱みを握り、ルクレールの爆裂お嬢様を人質に。
そうすれば、必ず手に入る。
――レオナール。
その瞬間を夢想するたび、ヴォルフリートの血は熱を帯び、理性は甘美な期待に震えた。
早く、欲しくて仕方ない。
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