告白を全部ドッキリだと思って振ったら、三人のアイドルが壊れかけたので彼氏役をすることになりました

海野(サブ)

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 18時、湖丘公園で。俺は指定された場所で照真が来るのを待っていた。
 というか本当になんで3人共今日この場所を指定してきたのだろうか。話があるのならば個室のある店とかの方が良いと思う。というか今更だがマネージャーとしてそうしたほうが良かったのかもしれない。
 なんて若干後悔していると、トントンと後ろから肩を叩かれた。照真が来たのだと思い、振り返るとそこに居たのは変装した光留だった。

「え?ひ、光留くん!?な、なんで!?」

「ちょっと待ちきれなくて早く着いちゃった。灯也さんも早く来てくれたんだね。」

 ニコッと笑みを浮かべる光留を前にして、俺は焦っていた。これから照真が来るのだ。2人には内緒話ってことだから確実にやばい。この時点で自分の甘さに後悔していた。

「…は?なんで光留が居るんだよ…?」

 するといつのまにか背後に現れた、俺達2人が居ることに動揺している輝が立っていた。

「あ、輝くん!?18時半待ち合わせだったよね?!!」

「早めに待ち合わせ場所に着くもんだろ。もしかして…先客って光留のことだったのか。」

「……なるほど。輝もオレと同じことしようとしてた訳ってことか。となると…」

 動揺する輝とは反対に、光留は表情を変えず冷静な態度をとっていた。
 そして光留の予想通りに…

「ええっ!?な、なんで2人共いるのさ!?僕2人には内緒にしたいって言った筈なんだけど!?」

 案の定、照真が大きな声を出してこちらにやってきた。

「ご、ごめん…3人とも真剣な表情してたし…今日がいいって言ってたから時間ずらせばいけると思って…ちゃんと伝えればよかったね…」

 俺は3人に深々と頭を下げて謝罪した。
 
「はぁ……光留と照真がいるんじゃ言える訳ないだろ…」

「あー失敗…今日は諦めるしかないかぁ。」

「ほ、本当にごめんっ…」

 2人はぼそっと言葉をこぼした。俺は申し訳なさで頭がいっぱいだった。

「……なら、オレは今伝えるよ。」

 唯一最初から落ち着いている光留が2人の前を通り過ぎ、俺の前に立った。

「灯也さん、好きです。付き合ってください。」

「…………えっ?」

 真剣に、そしてまっすぐな瞳で光留は俺に告白してきた。
 って、え?光留が俺に告白……????

「なっ、光留おまっ!?おれらが居る前で堂々と告白するヤツがいるかよ!?」

「そ、そうだよ!!大胆すぎない?!」

「お前はお前で大胆な行動をするだろ!?!」

 2人も動揺しているようで、光留に問いかけていた。

「本当はもうちょっとロマンティックな場所で2人っきりのタイミングでしたかったけどね。けど輝も照真も同じ気持ちだったみたいだし。今しかないと思ったんだよね。と、いうわけで返事を聞かせて欲しいな?」

「ま、まてっ!!」

 輝が横から入り込んできた。そして…

「お、おれだって、灯也が好きだ!!」

「ええっ!!」

 沸騰してしまいそうなほど真っ赤な顔をして、輝もまっすぐと俺に告白をしてきた。

「あーもう!!本当は2人っきりの時にしたかったのに!この流れなら僕もしないといけないじゃん!!」

 そう言って照真は俺の手を取って握りしめながらまっすぐな瞳で俺を見た。

「僕も灯也クンのこと好き!僕と付き合って欲しい!!」

「えええっーー!????」

 俺は思わず思いっきり大声で叫んでしまった。だって大人気アイドル3人同時に告白とか少女漫画ですらありえない展開ではなかろうか。
 というか何故俺なんだ!?マネージャーとはいえ男だし、何より3人に比べたら冴えないと思うのに…

「灯也さん。誰を選ぶの?」

 某トモゲームの告白シーンみたいに光留は聞いてきた。輝も照真も何も言わず、ただ俺の返事を待っていた。

「い、いやその…えーと…」

 その時、俺の脳内でぴーんと気づいた。
 ドッキリだこれ。大半はヘイロー・プリズムがドッキリを受けるのだが、時折ヘイロー・プリズムがドッキリを仕掛ける時がある。大抵は芸能人相手が多いが、一般人にもする。
 つまり俺は今、『もし今大人気アイドル3人に同時に告白されたらどう返事するのか?』的なドッキリを仕掛けられているに違いない。
 それに気づいた俺は、すっかりテレビ脳になってしまった。何故かというと、番組で求められているのは全員振られてしまうということ。誰かを選んでも、確実に俺が炎上する。マネージャーが炎上するってのもおかしな話ではあるが…なら笑いに出来やすいその方法が最善である。

「さ、3人とも…ごめんなさい!」

 俺は頭を深々と下げた。しばらく重い空気と沈黙が続く。

「…そう、わかった。」

 俺はそっと顔を上げると、輝と照真はショックを受けた顔をしており、光留は笑みを浮かべてはいたが、いつもより眉が下がっていた。
 さすがにドッキリとはいえ大人気アイドルである自分が振られると思っていなかったのだろうか?

「あ、あのさ……その…これ、ドッキリだよね?」

 俺は辺りを見回しながらそう聞いた。きっと裏にカメラマンがいる筈だ。

「はぁっ!?んなわけないだろ!!お、おれはど、どんだけ、き、緊張しながら告白したと思ってるんだ!?」

 しかし輝はそれを否定した。それどころか声を荒げてきた。

「まぁ落ち着いて、輝。そう思われても仕方ないとは思うよ。」

「そ、そうだよ…こ、こんな偶然重なるなんて…こ、こんなことになるなら早く告白すれば良かった…」

「遅かれ早かれこうなってたのは間違いないよ。灯也さん。ただこれだけは言わせて欲しい。ドッキリでもなんでもない、俺達は本気だよ。」

 ここまで台本で言わせるほど番組は鬼ではないはずだ。ということは3人は俺のこと意識してたってこと!?いつの間に!?つか何で俺!?全然気づかなかった!!!
 ただ、これだけははっきりしている。

「そ、それでも…俺は3人と付き合う気はない…」

 この中で誰かを選ぶなんてことは出来ない。それに仮に2人っきりの時に告白されても、こんな俺なんて釣り合わないと思い断っていただろう。

「……」

「……」

「……そうだよね。うん。」

 またしても重い空気が流れてきた。なんか、ものすごく申し訳ない。

「こ、この後みんなでご、ご飯食べない?」

 俺はとにかくこの空気を変えようと、あえて空気読まずに提案した。

「いや、俺は今日は遠慮させてもらうよ。」

「おれも、今日はもうそんな気分じゃねぇ…」

「僕も……帰って寝たい。」

「わ、わかった…じゃ、じゃあ気をつけてね…」

 トボトボと暗い影を背中に宿しながら、3人が帰るのを見送った俺であった。
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