年下の夫は自分のことが嫌いらしい。

海野(サブ)

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「……ふう………」

 ようやく筆を下ろし、私はキャンパスを見た。
 うん、自分で言うのもあれだが最高な作品が出来たと思う。なんなら今まで描いてきた絵よりも、だ。
 私はふと後ろを振り向いた。そこには座って俯いて寝ているロバートくんが居た。時計を見るととっくに真夜中になっていた。
 ……え、つまりあれからずっとそこに居た感じなの?!

「ろ、ロバートくん…?!」

 私は起こすのか起こさないのかよくわからないどっちなんだと言うぐらい声を小さくしてロバートくんに声かけした。

「…アルロ、さま…?」

 私の呼びかけに反応したのか顔を見上げてきた。まだ寝ぼけているのかやや半目で口も半開きである、けどどこか色っぽかった。
 ドキッ
 こ、この顔は反則である。

「ご、ごめんねロバートくん、戻ってて良かったのに…」

 私が集中してて声をかけられなかったのだろうか、だとしても勝手に戻っても良かったのだが。

「すいません…寝るつもりはなかったのですが…絵は完成したのですか…?」

「あ、うん!良かったら見てくれるかな?是非意見を聞かせてほしいな。」

「!、も、もちろん。」

 ロバートくんは絵をまじまじと見る。その間何も語らない。 

 そのキャンパスには美しい青年の唇に神は祝福と言う名の欲を乗せて自身の唇を重ねているシーンが描かれている。神の瞳から一滴の涙を流しているのが特徴だ。

「……ど、どうかな…?」

 自分では最高傑作だとは思うのだが自信が持てなくなってしまう。

「………悲しい、ですね。」

 ロバートくんは切なそうな声でそう呟いた。

「でもとても美しい絵だと思います。流石アルロ様ですね。」

 私の方に顔を向けて少し微笑んだ。
 笑った…?!アデリーナ女装した自分ではなくアルロに?!
 
「あ、ありがとう…」

 お世辞だろうけど、とても嬉しかった。
 するとロバートは少しウトウトしあくびした。そりゃそうださっきまで寝ていたのだ。普段ならこの時間ならベッドで休んでいるはずだ。

「すいません…」

「あ、ごめん、眠いよね!もう完成したし部屋に戻っていいよ!」

「……ですが、アルロ様はまだお休みにはならないんですよね?なら先に自分が休まれるわけには…」

「まぁ確かに片付けとかはあるけど、気にしないで!」

「ですが…」

 真面目な彼は自分が先に寝るのは良くないと思っているのだろうか。
 気にしないでほしいのに。というか私達は夫婦なんだから上下とか関係ないのに。
 だったらちょっとロバートくんが嫌がるだろうな提案しといて部屋に戻って貰おう。

「じゃあ、私と一緒に寝る?」

 その後にあははと乾いた笑いで頭を掻きながら私は言った。ロバートくんはこれでもかというぐらい目を丸くして固まった。
 やばい?!さ、さすがに調子乗りすぎたか?!!
 私は顔を真っ青にしながら冗談だと先程の発言を取り消そうとした時だった。

「……わかりました。」

「……へ?」

 今、承諾したの?ロバートくんが?

「自分で言っといてアレだけど、本当にいいの?」

「はい。」

 ロバートくんは淡々とそう返事した。見た感じ露骨に嫌がっている訳では無さそうだが…それとも寝ぼけて適当に返事したのだろうか…?
 とはいえやっぱり無しでとは言えなかった。自分から誘って断るのは良くないだろうし…

「じゃ、じゃあ私の部屋でいいかな…?」

「はい。」
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