年下の夫は自分のことが嫌いらしい。

海野(サブ)

文字の大きさ
15 / 15

15

しおりを挟む
「ろ、ロバートくん…今日はどうだった…?」

 彼に対する誤解が解けたあの時からしばらく経った。私達はいつも通り夕飯を共にしていた。
 そして私は少し緊張しながら彼に今日の出来事について尋ねた。

「いつもと変わらず普通でした。」

「そ、そっか…」

「…すいません、本当にいつもと変わりない1日だったので、他に良い言い方が思い付かなくて…アルロ様のこともいつもと変わらず想い続けていましたし…」

「そこは真面目に仕事しなさいな!?」

 でも前と比べて随分と親しく会話するようになった。ロバートくんも相変わらず私に対して緊張しているようではある。けど少しずつ砕けた感じになってきている。
 
「もうロバートくんは…」

「あはは、そうだアルロ様。前ご紹介したカフェ新作が出たんです。良かったら今度の休みご一緒にいきませんか。」

「うん良いよ、もう一回あのカフェには行きたかったんだ。」

  気付けば休みの日は一緒に過ごすことが多くなった。どこかに遊びに出かけたり家でゆっくり過ごしたり。
 そして変化は夕飯時だけではない。

「ではアルロ様、おやすみなさい。」

 いつのまにか一緒に寝るようになっていた。そしてロバートくんは寝る前に私の頬にキスされた。
 あぁ、今日はシない日か。というのも口にキスを落とされた時は行為したい合図である。そうじゃなければ頬にする。
 ちょっぴり残念だと思いつつも、ロバートくんは私の身体を気を遣ってくれている。なんやかんやでロバートくんは紳士なのだ。

「うん、おやすみ。」

 私もロバートくんの頬にキスをする。
 しつこいようだけど、本当にこんな日が来るとは思わなかった。

 今、私は幸せだ。愛する人と共にこうして過ごせることを。けど油断はならない。これから先もしかしたら私が何かやらかして嫌われる可能性だってあるのだ。
 嫌われたくないから、もうロバートくん無しでは生きていけないぐらいに。
 まぁ、流石に自分でも重すぎるとはわかっている。
 だからこそ、積極的に勝手に思い込まないように、相手を見ていくことが大切なのだ。
 
「愛してます。これからも。」

「私もだよ、ロバートくん。」
しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

律希
2025.07.27 律希

すれ違いが解消して良かった
これから本当の意味での夫夫生活が始まるね
末永くお幸せに♥️

解除
🌨
2024.04.02 🌨

アルロもロバートくんも初々しくて可愛い♡♡♡
すれ違いのドキドキがあって、最後の幸せそうな2人にこっちまで幸せになりました〜^^

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

俺の彼氏は真面目だから

西を向いたらね
BL
受けが攻めと恋人同士だと思って「俺の彼氏は真面目だからなぁ」って言ったら、攻めの様子が急におかしくなった話。

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

楽な片恋

藍川 東
BL
 蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。  ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。  それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……  早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。  ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。  平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。  高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。  優一朗のひとことさえなければ…………

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。