護衛騎士をやめたら軟禁されました。

海野(サブ)

文字の大きさ
4 / 12

4

しおりを挟む
「す、好き…自分を、ですか…?」

 アーロ様の口から予想していなかった言葉に動揺し、そして信じることが出来なかった。
 確かに俺には心を開いてくれているとは思ったが、まさか好意を抱かれていたとは思わなかった。

「あぁ、ずっとお前を手に入れたかった…その髪も、瞳も、心も、だ。」

 そう言ってアーロ様の指先は俺の腹筋に軽く触れてくる。くすぐったい感覚が身体をビクッとさせた。

「お前が隣に居てくれるだけでも良かった…なのに、お前は僕から消えようとした。嫌だった。だから僕はどんな手段を使ってもお前を手に入れようとした。」

「アーロさま…」

「わかってる、人として誤った事をしていると自覚はある。けれども、嫌われても構わない。ただお前が欲しかった。それに。」

 するとアーロ様は俺のモノを握り始めた。突然急所を掴まれて俺は変な声を出してしまった。

「んんっ!」

 そしてそのままゆっくりと上下に手を動き始める。既に熱を集めていたソレに強い刺激が与えられて頭が白くなる。

「僕が触れてから感じまくってたな?」

「ち、ちがいまっ!あぁ!」

 否定したいのにアーロ様の手付きが早くなって喘ぎ声しか出せなくなる。先走り汁のせいなのか滑りが良くなって快楽が増していく。
 やばい、このままじゃ達してしまう。堪えているとアーロ様は顔を近づけてきた。

「イきたいんだろ?ならイけばいい。」

 まるで悪魔のように耳元で囁かれた後、更に動きが激しくなる。
 
「だめっ、ですっ!あぁぁぁ!!」

 我慢出来ずにとうとう達してしまった。

「はぁ、はぁ…はぁ。」

 アーロ様は手に付いた精液を眺めている。恥ずかしいからそんなまじまじと見ないで欲しいのだが。
 いや、それよりも今すぐこんなことはやめさせないと。

「あ、アーロ様、こんな自分をそんな思ってくださっていたのは嬉しいです…」

「ルドルフ…」

「で、ですが…自分はその想いには応えられません…!貴方はオルレアン家の次期後継者、こんなことをしてしまったら家に傷が付きますよ!」

 なんとか説得しようと試みるが、それを聞いたアーロ様の表情は怒りに満ちていた。怖気つく前に俺は必死に説得を続ける。
 
「こんな自分よりももっと相応しい女性はおります!だからどうか鎖を外して頂けますでしょうか、この事は金輪際誰にも話しません!どうか!」

「黙れ!!」

 するとまたしてもキスをしてきた。今度は乱暴に舌を入れられると支配するかのように舌を絡めて、口内を舐めまわされる。
 息ができない。乱暴なのに何故だか心地よさをも感じてしまう。
 一度唇が離れると、アーロ様の顔は涙目になっていた。

「僕はずっと、欲しいものを我慢してきた。ずっとずっと我慢してきた!だから一番欲しかったものぐらい手に入れたっていい筈だ!」

 そしてアーロ様の青紫色の瞳から涙が流れてきた。こんなアーロ様は初めてみた。それほどまでに俺を求めていたのだろうか。
 正直心の底から嬉しかった。だってアーロ様も俺と同じ想いをしていたということだから。
 でも。
 
「駄目です…それは手に入れてはいけないものです…オルレアン子爵には相応しくないものですから…」

 どんなに両思いでも、世間はそれを許さない。
 美しく偉大なオルレアン伯爵にこんな俺には相応しくない。この国は同性愛は認められていないし、何よりもアーロ様はいずれ跡継ぎとして妻を娶らなくてはいけなくなる。
 そんなの俺には耐えられない。
 だからアーロ様には諦めてもらうしかない。

「…そうか…」

 アーロ様はそのまま顔を伏せた。わかってくれたのだろうか。

「………もうお前の言葉も聞くつもりはない。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。

叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。 幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。 大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。 幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。 他サイト様にも投稿しております。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

神父様に捧げるセレナーデ

石月煤子
BL
「ところで、そろそろ厳重に閉じられたその足を開いてくれるか」 「足を開くのですか?」 「股開かないと始められないだろうが」 「そ、そうですね、その通りです」 「魔物狩りの報酬はお前自身、そうだろう?」 「…………」 ■俺様最強旅人×健気美人♂神父■

処理中です...