『万物異転、猫が世界の史を紡ぐ【出会い編】 ~出会ってすぐにモフられる~』

メイン君

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第11話 蠱毒の洞穴

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『…………』

 目が覚めたら洞窟の中に居て、一瞬戸惑った。

 そうだった、昨日、俺とリルは夕方から降り出した雨を避けるために、リルの縄張り?内にあるこの洞窟に移動して、昨夜はそのままここで寝ることにしたのだった。
 洞窟の大きさは奥行き十メートルくらい、幅は五メートルってところで、日中は奥まで光が届き、俺としては丁度落ち着く大きさの洞窟だ。

 異世界で洞窟と聞くと浮かぶのは『ダンジョン』だが、この世界には『ダンジョン』と呼ばれるものがあることを昨夜リルに教わった。異世界でダンジョンと聞いて、内心テンションが上がった。実際この世界のダンジョンが俺の思ってるのと違う可能性もあるけど……
 ちなみに、『ダンジョン』は洞窟の形状に限らず様々なものがあるらしい。

 そしてなんと、ここからそう遠くない所に洞窟状のダンジョンがあるらしい。今日はそのダンジョンに行ってみようということになっている。

 そんなリルはというと……
 『リルなら俺の上で寝てるよ……』じゃなくて、今日も今日とて枕にされる俺。まあ、今日は我慢できそうだからいいんだけどさ……何をかは聞かないでね。

 いろいろ思考を巡らせたり、リルの寝顔が可愛いなあとか思いながら時間を過ごしていたら、リルのお目覚めの時間になったようだ。目を薄っすらと開けたけど、まだ眠そうで視点が定まらずポヤーっとしている。普段しっかりしているけど、こういうところを見るとまだまだやっぱり子供なんだなあと和んだ気持ちになる。



◇◇◇



 ニ時間程歩いて、俺達はダンジョンの入口についた。さっきまで居た洞窟と入口の大きさは同じくらいなのだが、雰囲気がまるで違う。例えて言うなら、夜の森は静かでありながら、何かが闇に潜んでそうな不安を感じさせるけど、それを数倍煮詰めて濃くしたような気配がこのダンジョンからは漂っている。

「ここは『蠱毒こどくの洞穴』って言うらしいよ」

 何その禍々しい名前の洞窟……
 毒虫だらけの予感しかしないんだけど……
 ねえ……リルさんよ……そう思ってリルの方を見ると。

「今日はシュンに見せたかっただけだから、中に入らないよ」

 少しほっとしてしまった。強くなりたい気持ちは本当だけど、できれば徐々にお願いしたい。まあこの洞穴が名前程酷いものではないのかもしれないけど……

「前に一度、どうなってるか見てみようと思って、気軽な気持ちで入って結構大変な目にあったんだよね……そんなに進めなくて、浅い所だけだったのにさ……」

 その時のことを思い出してるのか、リルの目が死んだ魚の目になってる。リルにとって大変ということは、俺が単身で入ったら確実に死ぬ気がする。

 いつかはここを踏破できるようになるのだろうか。最奥にはやっぱりボスが居るのだろうか。

 昨夜、リルが語ってくれたのだが、この世界は十五歳前後で成人として扱われるようになるらしい。なので、リルはもうニ、三年したら、どこかの街に行き冒険者として身を立てていきたいと思ってるとのことだ。この山での生活は魔物相手に戦う力をつけていくのに適しているから、もう暫くはここで生活していくつもりらしい。
 なんとなく山篭りという言葉が浮かんだ。

 リルはどう思ってるか分からないけど、俺はリルの傍に居られるように、リルを世間の理不尽から守れるように、強さと力を手に入れたい。リルの話を聞いてるだけでも、俺の記憶にある世界とは比べられない程、危険が身近にあるのが分かる。もっと言うなら、この世界は命の危険が身近すぎる……
 いざという時に、力及ばずでは許されない。なんとしてでも強くなっておく必要があるのだ。
 
 あと、どうしても手に入れたい力がある。魔法がある世界だから、何か方法があるんじゃないかと思ってるのだが、言葉を喋れるようになりたい。

 喋ることができるようになったら、まずリルに感謝の気持ちを言葉で伝えたい。『命を助けてくれてありがとう』 『傍に居てくれてありがとう』 伝えたいことは数え切れない程ある。
 リルが語って聞かせてくれるように、俺も記憶にある物語とかを話してあげたい。
 人生の記憶は無いけど、知識としての記憶である有名な歴史や小説とかの話はできる。異世界転生や異世界転移の物語もいいかもしれない。それなら、ラノベの記憶もあるからさ。

 俺は、そんな未来の為に頑張っていこうと決意をあらたにした。

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