6人歌い手が頂点を目指す物語

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サクラの秘密

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家族みたいな大切な存在。でも僕は。

そんな人達に嘘をついている。

単刀直入に言うと、僕は「女」だ。
もともと声が低くて、男の子とよく間違えられてきた。
最初は、もっと女の子らしく生きたかったから、自分の声が大嫌いだった。スカートを履いても、髪型を可愛らしくしても、喋ってみれば、なんか違くて。自分の声をコンプレックスとしてから、初対面の人と喋る事が嫌になって、歌うこともままならなかった。高い音は出なしい、声だけ聴いたら、本当に男の子みたいで。
マスクをしていて顔の半分が見えない時、人は相手の顔を自分の理想と重ねて勝手に想像する。いざ見てみたらなんか違うなということが多々あるのと同じように、声にもその現象が起きると僕は考えている。今、僕の声を聞いてこの人はどう思っているだろうか。想像と違った、とがっかりさせていないだろうか。毎日そんなことばかり考えていた。
男の子ですか? と聞かれる度に、本当に男の子だったら良かった、と何度も思った。僕の声は友達にも、家族にも否定されたんだ。
正直辛かった。学校にも行きたくなかったし、女の子の可愛い声を聞くと、どうして僕はこんな声なんだろう、と何度も考えた。声帯の手術も本気で検討してみたはものの、僕にそんなことにかけられるお金はなくて。歌が好きで憧れていた、「歌い手」という夢を諦めかけていた。

そんなとき、あるネッ友に出会った。ゆ君という名前で歌い手として個人活動をしているいわゆる過疎歌い手の人。僕の初めてのネッ友だった。
僕の声を聞いて、いい声だね、と褒めてくれた人。男の子みたいと言わなかった人。ゆ君だけ、僕を認めてくれたんだ。
そこから僕はゆ君に依存するようになった。顔も知らない。本名も知らない。どこの誰かも分からない。そんな救世主に、僕は縋っていた。一方ゆ君も学校のこと、家庭のこと、活動のこと、たくさん話をしてくれて、お互い幹にしがみつくようにして関係を保っていたんだ。
そしてあるとき、僕は男の子として生きていくことを決意した。髪型も、服装も、仕草も全て、男の子になりきる努力をした。初めて会う人に男の子ですか? と聞かれることもなくなった。自分の男としての声にも自信が出てきて、「今ならできる」そう思った僕は半ばノリで個人としての歌い手活動を始めた。それと同時に、ゆ君は突然アカウントを消して連絡が取れなくなってしまった。

個人活動である程度数字が着いてきた時、壮馬に声をかけられた。
『俺らと一緒に頂点目指さないか』
『男6人で伝説を作ろう』
そう言ってくれた。
嬉しかった。僕を必要としてくれてる気がして。この人となら大きくなれる、そんな気がした。夢を叶えるチャンスだった。有名になって、ゆ君に成長した僕を見て欲しい、声を届けたい、そう思っていた。
でも、僕は女だ。男として入って本当にいいのだろうか。もし男として入ったとして、リスナーさんにバレた時どうなる? 第1、メンバーもリスナーも騙してまで僕は男として活動していきたいのか。女である僕が男の人たちと歌い手をしてもいいのか。
外をどれだけ上手く男に化けたとしても、中身が女だという事実は揺るがない。
入るか、入らないか。僕はひとりで考え続けた。 
もしそこで女だということをカミングアウトしても、壮馬は気にしないでいいと言い、僕のことを快くグループに入れてくれただろう。でも、女ということだけで壁ができることは考えなくても分かる。

じゃあ僕はーーーー。
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