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第6話

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学園での生活において大切なことがある。

「ミハイ殿下、学園では私の従者のように振る舞ってもらえますか?」

屈辱的な扱いをミハイ殿下に求めることだ。

「そんな!俺が従者のように振る舞うなんて、王族として到底許せるものではない!」
「嫌なら別に構いませんよ。国王陛下にミハイ殿下との婚約を無かったことにしてもらうだけですから」
「くっ、卑怯な」

やはり喉元過ぎれば熱さを忘れるというものだ。
ミハイ殿下の発言はその場を凌ぐ言い逃れのようなものだった。
信用していなかったけど、まさかこんなにも早く本性を現すとはね。

「では国王陛下に報告するとします」
「…待ってくれ。従者のように振る舞えばいいんだな?」
「はい、そうです」
「……いいだろう」

無駄な抵抗をするのは見苦しいだけだし、応じるなら最初からそうすればいいのに。
こんな態度だと信用を回復することなんて不可能。
…もうずっと昔から信用していなかったけど。

こうしてミハイ殿下は学園では私の従者のように振る舞うことになったのだった。

* * * * * * * * * *

「良かったですね。ミハイ殿下の評判も回復してきましたよ」
「くっ……」

見せしめのつもりだったけど、ミハイ殿下の振る舞いが改善したと評価され、ミハイ殿下の評価も上昇中。
嫌々ながら従っていることは明らかだけど、私のおかげでミハイ殿下の評価も上がっているのだから文句はないはず。
こういった行為を通じて従者の苦労を少しでも理解できるようになるといいけど。

「でも困ったこともあります。私がミハイ殿下を操って実権を握るのではないかという噂があります。どう思いますか?」
「…そう見えるのであればそうなのだろう」
「言葉遣いがなっていませんよ」
「くそっ、だが実際にそうだろう」
「ではどう対処してくれるのですか?」
「それは…」

言葉遣いについてはもう諦めているからどうでもいいけど、文句を言うくらいなら対処方法を考えてくれればいいのに。
従者のように振る舞ってもミハイ殿下は王太子殿下なのだ。
自分の権力を行使して噂の出どころを突き止めるくらいはしてほしい。

これはミハイ殿下の教育でもあるので私が教えてあげる。

「王太子殿下の身分は飾りですか?使える権力を行使して犯人を探しなさい」
「…はい」

私の指示に従うだけまだ良かった。

* * * * * * * * * *

そして明らかになった噂を流した犯人。

「まさかウルーナだったなんて…」

ウルーナのことだから私を貶めてミハイ殿下の覚えを良くしたいのだと思う。
でもこの関係はミハイ殿下が受け入れたものだし、国王陛下も何も言わないから黙認しているのだろう。
ウルーナが何か言ったところで、この関係は解消されないのに。

「そういえばミハイ殿下はウルーナのことが好きだと言いましたよね?今でもまだ好きなのですか?」
「あれはあの時に思いついた冗談だった。ウルーナ嬢のことは好きでもなんでもない」
「そうですか。それなら――」

私はミハイ殿下に選択を突き付けた。
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