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EP01「女魔術師、奴隷を買う」
SCENE-011 >> もっとわかりやすい「サークル」もある
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「今日はお前が私の導き手よ。どこか良さそうなスポットに連れてって」
導きの石を握りしめて祈る代わりに、自分から私の元へとやってきた魔物に「お願い」すると。四つ足の魔物は飼い慣らされた犬のようわふんと鳴いて、私とラルに背を向けた。
ふさふさの尻尾をゆらゆらさせながら歩き出した魔物についていくと、森が徐々に開けていく。
「クラカ」
不意に腕を掴まれて、振り返ると。私に言われて得物を収めはしたものの、魔物への警戒は怠らず、呑気に構えている私のすぐ傍を歩いていたラルが、魔物が姿を見せた時よりもいっそ険しいのではないかというくらいの表情で、私のことを見下ろしていた。
「何か変だ」
魔物の接近に私よりも早く気が付いたことといい、ラルは良い勘をしている。
「フェアリーロードに入るのは初めて?」
こてん、と首を傾げたラルは、きっと「妖精の小径」がどういうものかさえ知らないのだろう。
その無知を笑う気にはならなかった。
世間一般に知られているような「常識」の範疇ならまだしも、ハンターだけが承知しているような専門的な知識に関して、「加護なし」のラルに知る機会があったとは思えない。
「導きの石を持たないで森に入ったり、エルフの案内もなく妖精郷を探そうとしたら、同じところをぐるぐる回ってどこにも辿り着けなかったり、森の中には半日もいなかったのにものすごく遠くまで移動してた……なんてことがあるのは知ってる?」
「……聞いたことがある」
「同じ事が、いま私たちの身に起きてるの。信心深いハンター風に言うと『精霊の導き』ってやつがね」
「……危険はない?」
「慣れてないと酔ったりするらしいけど、私は平気。気分が悪くなったりしたら教えて。乗り物酔いと同じで少し休憩すれば良くなるはずだから」
「……気分は悪くない」
「ならいいけど」
ちなみに。万が一の話、妖精の小径を通っている最中にラルが私とはぐれた場合、あまり面白いことにはならないだろうと、今更のよう思い至って。
ラルから一方的に掴まれていた腕で、私もラルの上着の裾を掴み返した。
導きの石を握りしめて祈る代わりに、自分から私の元へとやってきた魔物に「お願い」すると。四つ足の魔物は飼い慣らされた犬のようわふんと鳴いて、私とラルに背を向けた。
ふさふさの尻尾をゆらゆらさせながら歩き出した魔物についていくと、森が徐々に開けていく。
「クラカ」
不意に腕を掴まれて、振り返ると。私に言われて得物を収めはしたものの、魔物への警戒は怠らず、呑気に構えている私のすぐ傍を歩いていたラルが、魔物が姿を見せた時よりもいっそ険しいのではないかというくらいの表情で、私のことを見下ろしていた。
「何か変だ」
魔物の接近に私よりも早く気が付いたことといい、ラルは良い勘をしている。
「フェアリーロードに入るのは初めて?」
こてん、と首を傾げたラルは、きっと「妖精の小径」がどういうものかさえ知らないのだろう。
その無知を笑う気にはならなかった。
世間一般に知られているような「常識」の範疇ならまだしも、ハンターだけが承知しているような専門的な知識に関して、「加護なし」のラルに知る機会があったとは思えない。
「導きの石を持たないで森に入ったり、エルフの案内もなく妖精郷を探そうとしたら、同じところをぐるぐる回ってどこにも辿り着けなかったり、森の中には半日もいなかったのにものすごく遠くまで移動してた……なんてことがあるのは知ってる?」
「……聞いたことがある」
「同じ事が、いま私たちの身に起きてるの。信心深いハンター風に言うと『精霊の導き』ってやつがね」
「……危険はない?」
「慣れてないと酔ったりするらしいけど、私は平気。気分が悪くなったりしたら教えて。乗り物酔いと同じで少し休憩すれば良くなるはずだから」
「……気分は悪くない」
「ならいいけど」
ちなみに。万が一の話、妖精の小径を通っている最中にラルが私とはぐれた場合、あまり面白いことにはならないだろうと、今更のよう思い至って。
ラルから一方的に掴まれていた腕で、私もラルの上着の裾を掴み返した。
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