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魔法の剣
模擬戦
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マースドント冒険学校では、年に二度、夏と冬に模擬戦を行う事になっている。
模擬戦は、実技の習得状況を評価するために行われるが、学生たちからは交流試合として絶大な人気を誇るイベントと見なされている。
実技の要のひとつは、冒険者にとってはやはり戦闘だ。他にも、薬草の鑑定や魔物飼育、あるいは生存術など、さまざまな実技があるが、戦闘実技は実技全体の約4分の1を占める。
つまり、戦闘実技が実技の大部分を担っているのだ。
長剣、短剣、槍、斧、弓、槌といった様々な武器の扱いを、実技では一通り教わる。冒険者になって一から学べるほど、武器の扱いは単純でないところがあるためだ。また、特定の魔物と戦えない事態を避けるなどの理由で、サブ武器とも言える第二の得意武器を持つ事が、冒険者会からは推奨されている。
テックは長剣も短剣もそれなりに扱えるが、弓だけはどうにも苦手だ。ただ、近距離武器である剣や斧などと違い、狙いを付けるという技術が必須の弓は、一夜漬けで得意になれるものでは当然ないのでやむを得ない。
さて、模擬戦ではギルドからの推奨もあり、2つまで使用武器を指定して参加を申し込む。
2つまでなので1つでも、もちろん構わない。また、得意武器であり戦闘倫理に抵触しなければ、実技で扱わない杖や格闘グローブなども、その使用が認められている。
夏の模擬戦の開催を知ったテックは早速、参加申請した。使用武器は短剣のみにした。
長剣は戒律を特訓してかなり練り上げた動きになってきたので、出来すぎて怪しまれてしまう恐れがあったからだ。
使用武器とは言っても、どの武器も学校側が用意する安全版だ。いわゆる痛いだけで傷付きはしないモノが支給される。
あくまで戦闘実技なので、痛いのは自己責任なのだ。
そして、テックの初めての模擬戦が幕を開けた。
模擬戦は4年生まで、学年ごとに別々の日に開催される。
1年生模擬戦の参加者は、全部で212名。冒険学校の一年生が集ったのだ。
模擬戦はリーグ戦形式、いわゆる総当たり戦だ。これは、模擬戦の特性上、試合が少ない者をなるべく出さないようにするという学校側の配慮である。
ただし、参加者全員が総当たりしていてはあまりに時間がない。よって、原則として5つのブロックに組分けし、それぞれの優勝者だけが決戦としてトーナメント方式、いわゆる勝ち抜きで戦っていく。
参加者数によって試合数が足りないブロックが出る場合は、同じブロック内でランダムに何回か追加試合を設けるなど細かなルールこそあるものの、大まかには以上の流れで執り行われる。
ブロックは、公正を期してくじ引きで決められる。
テックは「C」と書かれたボールを引いた。つまりCブロックでの試合だ。
Cブロックには、42人が割り当てられた。
試合数は自分を除くため、41戦もする事になる。公正とは言いながら、そんな連戦で体力は持たないのだが、そこはそれ。
交流試合としての和やかな雰囲気は、そうしためちゃくちゃな所もある結果として発せられるのかもしれない。
アナとは違うブロックになったが、ショーンもCブロックだったようだ。人懐こい笑顔でテックに手を、いや、得意武器の槍を振っていた。
テックは、そこは冷静になりこっそりと小さめに手を振り返すのだった。
ショーンとの戦いは、21戦目、ちょうど折り返しの試合だった。
試合の勝敗は、ノックダウン1回、もしくは場外3カウントオーバーだ。
無駄にくるくる槍を回してくるが、はっきり言ってショーンは弱い。
スポーツがテック以上の苦手で、戦闘の才能もからきしなのだ。
「えいやー。えいえいえい」
チワワのように無力な連続突きは、ひとつもテックに当たらない。テックは動いてないが、つまりそれがショーンなのだ。
ショーンへの同情も込めて、これでもかと情け容赦ない急所攻めを繰り広げていき、決着は試合開始から20秒ほどでテックのノックダウン勝利だった。
テックは短剣でも優勝争いに持ち込める自信があった。実際、テックはあと一歩でブロック優勝を勝ち取れたのだ。
接戦でCブロック優勝者となったのは、弓使いのスクという女だ。
総当たり戦なのでテックもスクと戦ったわけだが、負けてしまった。遠距離攻撃の経験がないために仕方ないのはある。
しかしスクの弓の腕前もまた確かなものだ。距離を取らせまいと近づかれる前に、相手は足などを狙い転ばされてしまう。
上手くすれば、コート際なら場外勝ちも有り得る良い作戦だ。
テックは転びはしなかったが、目などに当たらないように気を付けて戦わねばならなかった事を覚えている。
もし本当の戦いで弓使いと戦う練習としては、的確な射撃が出来るスクは実際、この上ない相手だったわけだ。
ではテックの敗因は何だったか。それは、しかし場外負けだった。弓使いは、それだけで距離の取り方が難しい。
加えて土俵際の戦いに巧みに誘導され、テックのみならず多くの近接戦士見習いが彼女に敗れたのだった。
模擬戦は、実技の習得状況を評価するために行われるが、学生たちからは交流試合として絶大な人気を誇るイベントと見なされている。
実技の要のひとつは、冒険者にとってはやはり戦闘だ。他にも、薬草の鑑定や魔物飼育、あるいは生存術など、さまざまな実技があるが、戦闘実技は実技全体の約4分の1を占める。
つまり、戦闘実技が実技の大部分を担っているのだ。
長剣、短剣、槍、斧、弓、槌といった様々な武器の扱いを、実技では一通り教わる。冒険者になって一から学べるほど、武器の扱いは単純でないところがあるためだ。また、特定の魔物と戦えない事態を避けるなどの理由で、サブ武器とも言える第二の得意武器を持つ事が、冒険者会からは推奨されている。
テックは長剣も短剣もそれなりに扱えるが、弓だけはどうにも苦手だ。ただ、近距離武器である剣や斧などと違い、狙いを付けるという技術が必須の弓は、一夜漬けで得意になれるものでは当然ないのでやむを得ない。
さて、模擬戦ではギルドからの推奨もあり、2つまで使用武器を指定して参加を申し込む。
2つまでなので1つでも、もちろん構わない。また、得意武器であり戦闘倫理に抵触しなければ、実技で扱わない杖や格闘グローブなども、その使用が認められている。
夏の模擬戦の開催を知ったテックは早速、参加申請した。使用武器は短剣のみにした。
長剣は戒律を特訓してかなり練り上げた動きになってきたので、出来すぎて怪しまれてしまう恐れがあったからだ。
使用武器とは言っても、どの武器も学校側が用意する安全版だ。いわゆる痛いだけで傷付きはしないモノが支給される。
あくまで戦闘実技なので、痛いのは自己責任なのだ。
そして、テックの初めての模擬戦が幕を開けた。
模擬戦は4年生まで、学年ごとに別々の日に開催される。
1年生模擬戦の参加者は、全部で212名。冒険学校の一年生が集ったのだ。
模擬戦はリーグ戦形式、いわゆる総当たり戦だ。これは、模擬戦の特性上、試合が少ない者をなるべく出さないようにするという学校側の配慮である。
ただし、参加者全員が総当たりしていてはあまりに時間がない。よって、原則として5つのブロックに組分けし、それぞれの優勝者だけが決戦としてトーナメント方式、いわゆる勝ち抜きで戦っていく。
参加者数によって試合数が足りないブロックが出る場合は、同じブロック内でランダムに何回か追加試合を設けるなど細かなルールこそあるものの、大まかには以上の流れで執り行われる。
ブロックは、公正を期してくじ引きで決められる。
テックは「C」と書かれたボールを引いた。つまりCブロックでの試合だ。
Cブロックには、42人が割り当てられた。
試合数は自分を除くため、41戦もする事になる。公正とは言いながら、そんな連戦で体力は持たないのだが、そこはそれ。
交流試合としての和やかな雰囲気は、そうしためちゃくちゃな所もある結果として発せられるのかもしれない。
アナとは違うブロックになったが、ショーンもCブロックだったようだ。人懐こい笑顔でテックに手を、いや、得意武器の槍を振っていた。
テックは、そこは冷静になりこっそりと小さめに手を振り返すのだった。
ショーンとの戦いは、21戦目、ちょうど折り返しの試合だった。
試合の勝敗は、ノックダウン1回、もしくは場外3カウントオーバーだ。
無駄にくるくる槍を回してくるが、はっきり言ってショーンは弱い。
スポーツがテック以上の苦手で、戦闘の才能もからきしなのだ。
「えいやー。えいえいえい」
チワワのように無力な連続突きは、ひとつもテックに当たらない。テックは動いてないが、つまりそれがショーンなのだ。
ショーンへの同情も込めて、これでもかと情け容赦ない急所攻めを繰り広げていき、決着は試合開始から20秒ほどでテックのノックダウン勝利だった。
テックは短剣でも優勝争いに持ち込める自信があった。実際、テックはあと一歩でブロック優勝を勝ち取れたのだ。
接戦でCブロック優勝者となったのは、弓使いのスクという女だ。
総当たり戦なのでテックもスクと戦ったわけだが、負けてしまった。遠距離攻撃の経験がないために仕方ないのはある。
しかしスクの弓の腕前もまた確かなものだ。距離を取らせまいと近づかれる前に、相手は足などを狙い転ばされてしまう。
上手くすれば、コート際なら場外勝ちも有り得る良い作戦だ。
テックは転びはしなかったが、目などに当たらないように気を付けて戦わねばならなかった事を覚えている。
もし本当の戦いで弓使いと戦う練習としては、的確な射撃が出来るスクは実際、この上ない相手だったわけだ。
ではテックの敗因は何だったか。それは、しかし場外負けだった。弓使いは、それだけで距離の取り方が難しい。
加えて土俵際の戦いに巧みに誘導され、テックのみならず多くの近接戦士見習いが彼女に敗れたのだった。
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