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グランド・アーク
突入、氷の宮殿
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スフィアたちは、ジュコの長牢獄を出てスプリガンの住みかに向かっていた。
シュットはゼロの靴砲を一発もろに食らった事で、戦意を失った。身動きが取れないほど全身が麻痺していたはずなので、当分は何も出来ないだろう。
「そういえば、ダラン。俺たちを雇う金、まだあんのか?全然、働いてねえ気がするけど」
「賞金首が貧乏など、誰かが決めたかね」
「ダラン、金持ち。町でもモテる」
「そーゆうトコだけは、頂けないのプ」
「助けてもらってですが、同感です」
「姫がそうなら、ボクも」
「やけに背水の陣になってしまった」
ダランは行く先々で、賞金首を黙認してもらえるほど世渡りが上手い。よって、使った以上に働いて稼げるのだが、夜遊びも激しいのだ。
「上級冒険者なのに無名なのが、俺ですら納得の酷さだぞ」
「ま、まあ。それには深い事情が」
「ないよね」
「絶対、嘘っプリプリ」
「いい加減にしてください」
「ボクもやめてほしいです」
ついさっきまで死闘の中にいたとは思えない会話だが、極度の緊張の後には緩和、これにより人は心を保っているのも事実なのだ。
「グランド・アークを探しましょう」
スフィアが切り出した。王女を待つはずの、悪の魔法人形。いつまでも待たせていて、はい、そうですかと、いてくれるかどうかは分からないのだ。
「そうです、姫様。そして必ずや、あの禍禍しい魔法人形を皆で倒すのです」
ダランが賛同すると、口々にグランド・アークを目指す声で満場一致したのだった。
「グランド・アークを知ってるのプリ」
スプスーは、一匹のスプリガンから情報を得た。
広大なスイビー氷陸の最北端、スプリガンの住みかからなら丁度まっすぐ北上していったところに、それはあるという。
「なるプリ。グランド・アークはスプリガンの先祖が作ったモノで、ここが目印になるように住みかを作ったプリか」
スプスーは「知らなかったプリ」と茶目っ気を出したが、先祖の行いを知らなかった恥ずかしさを誤魔化したと見え、うっすらと涙を滲ませていた。
「じゃあ、早速ですが出発しましょう」
スフィアの一声で、一向は北に向かっての旅を始めたのだった。
【む。ヤツら、やはり運命に導かれやって来るか】
ゾーンは魔法で、氷の宮殿と、氷の魔物たちを瞬時に作り出した。
【我、もはやワレスに並ぶ力を得たり。氷魔神ゾーンとして生まれ変わった我が力、心して味わうが良いわ】
そしてゾーンは笑い声を上げる代わりに、ほどけきった封印の糸をはたはたと、たなびかせるのだった。
「なんか、見えてきたぜ。あれは・・・氷の建物だ」
「氷の宮殿、という表現がしっくり来るな」
「あの中から、強大な魔力を感じプリ」
「魔力、恐ろしく冷たい魔力」
「皆さん、行きましょう。私たちは負けません」
「ええ、そうです。ボクたちは勝ちに来たのですから」
すると、氷の宮殿の入り口、その上側にある目玉が光った。
「うわっ、何かの攻撃か?みんな、気を付けるんだ」
「みんな、みんな。あれ、どうしたんだ?」
ダランが目を開けると、そこはどうやら氷の宮殿の内部らしき氷の部屋だ。しかし、氷で出来た扉は壁と一体となり、掴む所すらなさそうだ。
「シャシャシャ。氷地獄にようこそ」
「な、なんだ。一体、いつの間にいた?」
「ボックンは氷の馬。強いから気を付けて。シャシャ」
氷の馬が地面を蹴り上げると、床の氷が砕け、物凄い勢いで飛んできた。
「うわあ、竜閃」
なぎ払いで、どうにかダランは氷の直撃を逃れた。まさに間一髪、少しでも遅れていたら、ダランは大きな氷の塊で何ヵ所か骨折していたに違いない。
「痛そうだなあ、氷はおじさんにはツラいよ」
「シャ?氷の馬だから、氷で戦うに決まっているだろう」
そして、氷の馬は自慢のボディで体当たりしてきた。今度は即座に回避して当たらなかったが、いわば馬の大きさの氷が、時速60kmで至近距離から走ってくるのだ。
これを避けるのは、やはり戦いの達人にしか出来ない。
「私はダラン=リーグイースト。翼竜槍の名人だ」
「分かった。全力でボックンは、これから頑張るから」
なんと、今度は氷の馬が、狭い部屋の中をランダムに跳ね返るという行動に打って出た。これは縦横無尽を時速60kmで跳ね回る、巨大なレンガに等しい力をエネルギーとして常に持っているに等しい。
「くう。大量飛竜」
まるで一まとまりの槍の束のごとき、とんでもない連打力で繰り出す翼竜槍の隠し玉だ。
「なんだと、なんて熱い攻撃だ。ちょっと溶けたぞ」
見ると確かに、氷の馬の左足が少し溶けていた。
「ちっ、かすっただけかい」
「こっから更に本気を出していくからよ」
そして氷の馬は、氷武装した。蹴り上げて削り出した氷を更に削り、自分にぴったりのハイパー・アーマーにしたのだ。
「うおー」
どっと体当たりしてきたが、その速さは武装前の比ではない。時速100km。
空前絶後のスピードだ。
シュットはゼロの靴砲を一発もろに食らった事で、戦意を失った。身動きが取れないほど全身が麻痺していたはずなので、当分は何も出来ないだろう。
「そういえば、ダラン。俺たちを雇う金、まだあんのか?全然、働いてねえ気がするけど」
「賞金首が貧乏など、誰かが決めたかね」
「ダラン、金持ち。町でもモテる」
「そーゆうトコだけは、頂けないのプ」
「助けてもらってですが、同感です」
「姫がそうなら、ボクも」
「やけに背水の陣になってしまった」
ダランは行く先々で、賞金首を黙認してもらえるほど世渡りが上手い。よって、使った以上に働いて稼げるのだが、夜遊びも激しいのだ。
「上級冒険者なのに無名なのが、俺ですら納得の酷さだぞ」
「ま、まあ。それには深い事情が」
「ないよね」
「絶対、嘘っプリプリ」
「いい加減にしてください」
「ボクもやめてほしいです」
ついさっきまで死闘の中にいたとは思えない会話だが、極度の緊張の後には緩和、これにより人は心を保っているのも事実なのだ。
「グランド・アークを探しましょう」
スフィアが切り出した。王女を待つはずの、悪の魔法人形。いつまでも待たせていて、はい、そうですかと、いてくれるかどうかは分からないのだ。
「そうです、姫様。そして必ずや、あの禍禍しい魔法人形を皆で倒すのです」
ダランが賛同すると、口々にグランド・アークを目指す声で満場一致したのだった。
「グランド・アークを知ってるのプリ」
スプスーは、一匹のスプリガンから情報を得た。
広大なスイビー氷陸の最北端、スプリガンの住みかからなら丁度まっすぐ北上していったところに、それはあるという。
「なるプリ。グランド・アークはスプリガンの先祖が作ったモノで、ここが目印になるように住みかを作ったプリか」
スプスーは「知らなかったプリ」と茶目っ気を出したが、先祖の行いを知らなかった恥ずかしさを誤魔化したと見え、うっすらと涙を滲ませていた。
「じゃあ、早速ですが出発しましょう」
スフィアの一声で、一向は北に向かっての旅を始めたのだった。
【む。ヤツら、やはり運命に導かれやって来るか】
ゾーンは魔法で、氷の宮殿と、氷の魔物たちを瞬時に作り出した。
【我、もはやワレスに並ぶ力を得たり。氷魔神ゾーンとして生まれ変わった我が力、心して味わうが良いわ】
そしてゾーンは笑い声を上げる代わりに、ほどけきった封印の糸をはたはたと、たなびかせるのだった。
「なんか、見えてきたぜ。あれは・・・氷の建物だ」
「氷の宮殿、という表現がしっくり来るな」
「あの中から、強大な魔力を感じプリ」
「魔力、恐ろしく冷たい魔力」
「皆さん、行きましょう。私たちは負けません」
「ええ、そうです。ボクたちは勝ちに来たのですから」
すると、氷の宮殿の入り口、その上側にある目玉が光った。
「うわっ、何かの攻撃か?みんな、気を付けるんだ」
「みんな、みんな。あれ、どうしたんだ?」
ダランが目を開けると、そこはどうやら氷の宮殿の内部らしき氷の部屋だ。しかし、氷で出来た扉は壁と一体となり、掴む所すらなさそうだ。
「シャシャシャ。氷地獄にようこそ」
「な、なんだ。一体、いつの間にいた?」
「ボックンは氷の馬。強いから気を付けて。シャシャ」
氷の馬が地面を蹴り上げると、床の氷が砕け、物凄い勢いで飛んできた。
「うわあ、竜閃」
なぎ払いで、どうにかダランは氷の直撃を逃れた。まさに間一髪、少しでも遅れていたら、ダランは大きな氷の塊で何ヵ所か骨折していたに違いない。
「痛そうだなあ、氷はおじさんにはツラいよ」
「シャ?氷の馬だから、氷で戦うに決まっているだろう」
そして、氷の馬は自慢のボディで体当たりしてきた。今度は即座に回避して当たらなかったが、いわば馬の大きさの氷が、時速60kmで至近距離から走ってくるのだ。
これを避けるのは、やはり戦いの達人にしか出来ない。
「私はダラン=リーグイースト。翼竜槍の名人だ」
「分かった。全力でボックンは、これから頑張るから」
なんと、今度は氷の馬が、狭い部屋の中をランダムに跳ね返るという行動に打って出た。これは縦横無尽を時速60kmで跳ね回る、巨大なレンガに等しい力をエネルギーとして常に持っているに等しい。
「くう。大量飛竜」
まるで一まとまりの槍の束のごとき、とんでもない連打力で繰り出す翼竜槍の隠し玉だ。
「なんだと、なんて熱い攻撃だ。ちょっと溶けたぞ」
見ると確かに、氷の馬の左足が少し溶けていた。
「ちっ、かすっただけかい」
「こっから更に本気を出していくからよ」
そして氷の馬は、氷武装した。蹴り上げて削り出した氷を更に削り、自分にぴったりのハイパー・アーマーにしたのだ。
「うおー」
どっと体当たりしてきたが、その速さは武装前の比ではない。時速100km。
空前絶後のスピードだ。
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