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グランド・アーク
見えない敵
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氷の宮殿は、全部で五層に分かれている。
ダランたちは入り口の謎の目によって、一層、つまり最下層にある3つの部屋にランダムに飛ばされていた。
そして2つの部屋での出来事が今まで語られてきたわけだ。残る部屋にはスフィア、マジル、そしてスプスーがいた。
これまでの部屋とは違い、やけに広い部屋だ。そして間取り図を見たら、間違いなくまん丸だろうと分かる。野球のドームのように、まあそこまで広くはないが、あれを十分の一ほどにして屋根を低くしたような部屋だ。
「誰もいないプリ」
「ええ、どうやらそのようです」
「出口が見当たらない。どうやって進めば良いんだ」
不思議とどのメンバーも、その場にいない仲間の心配はしない。それは無事を確かめる魔法、生命探知があるスフィアたちならまだしもだが、ダランたちは風の向くまま、という感じで深く考えていないという事らしい。
スフィアたちは、念のため寄り添いながら少しずつ室内を探索していく。円型部屋である事と、氷で作られた部屋である事以外には何の特徴もない部屋だ。
「何もありませんね」
「ただ単に、ここで餓死するのか」
「それは怖すぎプリ」
すると、突如として聞き慣れない声が聞こえてきた。
「ドようこそ、私が管理するド部屋にお越しのド皆さん」
やたらとドを単語の頭に付ける、癖の強い話しぶりだ。
「どこにいるんプリ」
「ドこちらですよ」
そしてスプスーは空中に浮かんだ後、壁に向かって飛び、激突した。
「な、何が起きたのでしょう」
「おそらく、敵の攻撃」
しかし、どこを見回しても敵の姿はない。
「私はド皆さんには見えない、ド透明な存在なんです」
見えない透明な存在だと言っている事を理解するのに、スフィアたちは少し時間を必要とした。ドが付く言い回しが、聞き取りづらいのだ。
「えっと、透明人間さんですか?」
「なっ。私という素晴らしい存在がど、どどど、ド人間なわけないでしょ」
スフィアは真面目に質問しただけなのに、逆上されてスプスーのように浮かされて飛ばされた。そして壁に激突した。
氷の壁はやはり硬く、そこに勢いよくぶつかるのはかなりのダメージだ。硬い壁は衝撃を吸収しない。衝撃は全て、ダメージになってしまうのだ。
「霊体ならば、私の体をやろうか」
マジルはもしかしたら、敵は実体でないために見えないのではないかと推理した。
それならば、攻撃すら見えないのも納得行くように思えた。そして、霊体ならば憑依させた上で仮死状態となり、三途の川に行って倒せば良い。
「ド娘さんは惜しい。だから攻撃はド勘弁してあげよう」
透明なだけでなく、マジルでさえ気配を察することが出来ない。それはマジルを戦慄させた。そんな敵には、いまだかつて出会った事がないからだ。
(どうすれば良い。兄様、こんな時、兄様ならどうする。―――)
ドムカ=カヤルーサ。マジルの兄は殺し屋であると知られずに十三傑となった、屈指の実力者だ。
(分からない。兄様はいつも、遠すぎた。私は兄様にはなれない)
マジルは太刀打ち出来ない相手には怯んでしまう癖があった。そして兄という強い存在を思い出し、思考を停止してしまう。
「なんだなんだ。ド勘弁してやってるんだから、早く楽しませてくれ。ド正体を知りたいんだろ?」
透明な敵は、余裕を見せている。まだ全く攻撃されてないのだから、それは、もっともな反応といえた。
「くっ。五十音順刀」
五十本の苦無が、四方八方に飛んで行く。下手な鉄砲も、数打ちゃ当たる。マジルはそれを、地で行こうと考えたのだ。
「んー、まあ痛くないって言えばド嘘にはなるけど」
透明者のその言葉が本当ならば、わずかながら攻撃は通った事になる。しかし、攻撃したという手応えはマジルにはない。苦無は一つとしてどこにも刺さる事なく、床に落ちていたのだ。
(こいつ、さっきから声がどこから聞こえて来るのかすら分からない。まるでどこからも聞こえてくるような、掴めない音だ)
マジルは先ほどから、冷静に敵の声の出所を探していた。だが結果は一切、それが分からないのである。
「マ、マジルさん。頑張ってください」
スフィアは記憶こそ取り戻したものの、魂の杖の解放は意識的には出来ない。鏡の搭では、追い詰められた先にあった、決死の力でしかなかったのだ。
「マーちん。生命探知では、この部屋にはボクちんたち以外には何の反応もないのプ」
生命探知は、その名の通り生命を探知する魔法だ。さらに、友好的か敵対的かまで分かる、名前以上に便利な効果である。
しかし、スプスーの生命探知では友好的な反応が3つ。つまり、スフィアとマジル、そしてスプスーしかいないのだ。
「だらしがない。ならばドスペシャルなヒントをドプレゼントしよう」
「スペシャルヒントをプレゼントするんだよね」
透明者の言葉には翻訳が必要らしい。
「私はド空気です。さて、どう戦う?」
空気。それを聞いて一同は思った。
答えじゃん、それ、と。
「ボクちんはそれプリって言ってたプ」
ダランたちは入り口の謎の目によって、一層、つまり最下層にある3つの部屋にランダムに飛ばされていた。
そして2つの部屋での出来事が今まで語られてきたわけだ。残る部屋にはスフィア、マジル、そしてスプスーがいた。
これまでの部屋とは違い、やけに広い部屋だ。そして間取り図を見たら、間違いなくまん丸だろうと分かる。野球のドームのように、まあそこまで広くはないが、あれを十分の一ほどにして屋根を低くしたような部屋だ。
「誰もいないプリ」
「ええ、どうやらそのようです」
「出口が見当たらない。どうやって進めば良いんだ」
不思議とどのメンバーも、その場にいない仲間の心配はしない。それは無事を確かめる魔法、生命探知があるスフィアたちならまだしもだが、ダランたちは風の向くまま、という感じで深く考えていないという事らしい。
スフィアたちは、念のため寄り添いながら少しずつ室内を探索していく。円型部屋である事と、氷で作られた部屋である事以外には何の特徴もない部屋だ。
「何もありませんね」
「ただ単に、ここで餓死するのか」
「それは怖すぎプリ」
すると、突如として聞き慣れない声が聞こえてきた。
「ドようこそ、私が管理するド部屋にお越しのド皆さん」
やたらとドを単語の頭に付ける、癖の強い話しぶりだ。
「どこにいるんプリ」
「ドこちらですよ」
そしてスプスーは空中に浮かんだ後、壁に向かって飛び、激突した。
「な、何が起きたのでしょう」
「おそらく、敵の攻撃」
しかし、どこを見回しても敵の姿はない。
「私はド皆さんには見えない、ド透明な存在なんです」
見えない透明な存在だと言っている事を理解するのに、スフィアたちは少し時間を必要とした。ドが付く言い回しが、聞き取りづらいのだ。
「えっと、透明人間さんですか?」
「なっ。私という素晴らしい存在がど、どどど、ド人間なわけないでしょ」
スフィアは真面目に質問しただけなのに、逆上されてスプスーのように浮かされて飛ばされた。そして壁に激突した。
氷の壁はやはり硬く、そこに勢いよくぶつかるのはかなりのダメージだ。硬い壁は衝撃を吸収しない。衝撃は全て、ダメージになってしまうのだ。
「霊体ならば、私の体をやろうか」
マジルはもしかしたら、敵は実体でないために見えないのではないかと推理した。
それならば、攻撃すら見えないのも納得行くように思えた。そして、霊体ならば憑依させた上で仮死状態となり、三途の川に行って倒せば良い。
「ド娘さんは惜しい。だから攻撃はド勘弁してあげよう」
透明なだけでなく、マジルでさえ気配を察することが出来ない。それはマジルを戦慄させた。そんな敵には、いまだかつて出会った事がないからだ。
(どうすれば良い。兄様、こんな時、兄様ならどうする。―――)
ドムカ=カヤルーサ。マジルの兄は殺し屋であると知られずに十三傑となった、屈指の実力者だ。
(分からない。兄様はいつも、遠すぎた。私は兄様にはなれない)
マジルは太刀打ち出来ない相手には怯んでしまう癖があった。そして兄という強い存在を思い出し、思考を停止してしまう。
「なんだなんだ。ド勘弁してやってるんだから、早く楽しませてくれ。ド正体を知りたいんだろ?」
透明な敵は、余裕を見せている。まだ全く攻撃されてないのだから、それは、もっともな反応といえた。
「くっ。五十音順刀」
五十本の苦無が、四方八方に飛んで行く。下手な鉄砲も、数打ちゃ当たる。マジルはそれを、地で行こうと考えたのだ。
「んー、まあ痛くないって言えばド嘘にはなるけど」
透明者のその言葉が本当ならば、わずかながら攻撃は通った事になる。しかし、攻撃したという手応えはマジルにはない。苦無は一つとしてどこにも刺さる事なく、床に落ちていたのだ。
(こいつ、さっきから声がどこから聞こえて来るのかすら分からない。まるでどこからも聞こえてくるような、掴めない音だ)
マジルは先ほどから、冷静に敵の声の出所を探していた。だが結果は一切、それが分からないのである。
「マ、マジルさん。頑張ってください」
スフィアは記憶こそ取り戻したものの、魂の杖の解放は意識的には出来ない。鏡の搭では、追い詰められた先にあった、決死の力でしかなかったのだ。
「マーちん。生命探知では、この部屋にはボクちんたち以外には何の反応もないのプ」
生命探知は、その名の通り生命を探知する魔法だ。さらに、友好的か敵対的かまで分かる、名前以上に便利な効果である。
しかし、スプスーの生命探知では友好的な反応が3つ。つまり、スフィアとマジル、そしてスプスーしかいないのだ。
「だらしがない。ならばドスペシャルなヒントをドプレゼントしよう」
「スペシャルヒントをプレゼントするんだよね」
透明者の言葉には翻訳が必要らしい。
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