西方旅行

夏炉冬扇

文字の大きさ
4 / 5

未来旅行2

しおりを挟む
作り話をしよう。
フェイクな話、想像の中での話。
個人的主観に依る話。


遠い国、おそらくは行くこともない国の話。

陸続きの国々。
境界と言えるものはなく、
道があるところもあるが、膨大な針葉樹の森、
膨大な畑、もしくは荒野。
どの国出身?という会話も成り立たない。

おじいちゃん?
そのときは同じ国だったんじゃないの?

翌日だよ?別れたときの。
俺が生まれたとき、母さんのベットは、
上身はあっちの国で、
下半身は向こうの国に。
だから、向こうの国生まれだ、俺は。



おじいちゃんの定番のネタ。

そんな国。


資源が豊富だった。
地下資源、化石資源。

健康診断の結果を持ってきた医者が
数人の学者を連れてきた。
話を聞いてほしいと。

資源が、あなたの孫の代で枯渇します。
それは、この大陸全体に言える。
我が国はその含有量が一番大きい。
なので、枯渇するのもいちばん速い。
小さな埋蔵地は点在しますよ?
だけど、小さいんだ。
探し当てるのも時間がかかるし、金も要る。

それを運良く見つけても、すぐになくなり、
手に入れるために
流れる血の方が多いでしょうね。

どうすればいい?
真剣に、他の資源に移行するべきですね。
風力、海流、太陽、これね。
え?ああ、そうだった。
太陽もいつでもあると思うなと?
そうです。これはわたしの分野外だった。
灰でおおわれれば、意味をなさない。
それも踏まえないとね。
何十年前から言われていたことだ。
ただ、誰も、どの国も、我が国もですよ?
真剣に取り組んでいない。
人はね、

”人は、橋が古くなっても燃やさずに、崩壊して落ちるまで放置してしまう”

そういう生き物なんですよ?
我々もです。
それに気付いてその国の権力者に進言する。
ただそれだけだ。それしかできない。
あなたは?
この国の権力者だ、国をあげて開発しますか?

ええ、わかっていますよ。
それはできない。
国民の生活がかかっているから。
そんなことを声高に発表すれば、
残っている資源を求めて世界大戦だ。
守るべき国民を進んで殺すことになる。

それはだれも望んでいない。
そうそう、あなた、あと、そうですね、
もって数年だ。
ん?違いますよ!権力の座ではなく、ええ。

その結果をみればわかるでしょ?


なので、憂いなく始めてください。
これから流す血の量は、
これから先に生きる人々の糧になる。

あなたの名誉は地に落ち、回復するのは、
百年後だ。
必ず。
それは今までの歴史が証明していますから。


なぜって?
あなたの先が見えたからですよ?
前回の時点ではなしても、あなた聞かないでしょ?
まだ橋はかかっている。
まだ人は渡れる。
選べるんですよ。

ふふふふ。
ええ、わかっていますよ。
橋の上に陣取って、崩壊を待つのもかまいませんよ?
どうしてそのようなことをしたのか。
それこそ歴史が証明します。
ま、文明が後退しますが。
時間がかかりますが、
それを切っ掛けに文明が進むのは間違いありませんから。
じつはわたしはそれが楽しみなんですよ?
未来への妄想はたのしい。
それが文明の進化を加速させる。
未来旅行ですよ。
生きてはいませんがね。

もちろん、なにもしなくてもいい。
0になるのが速くなるだけだ。

何がとは言えません、ええ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

処理中です...