いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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13:理解した

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中腰に手のひらを縦にふりつつ、階段の向こうに小走りで向かっていった。
といれといったか?便所だよな?
なぜそんな小難しい説明がいるのだろうか?
地下の空間なので汚物の処理のことだろうか?あの説明ではいまいちわからなかったが、
あのままだとそばで手取り足取り教えようとするだろう。
私のなかで何かが壊れる気がしたので一人で体験させてもらうことにした。

階段の上の扉君?のところにいるのか?
昔、屋敷にいた年配の召使はものに名前こそ付けていないが、箒さんとかテーブル君とか
そういう風に呼んでいた。年寄独特のものだと思っていたが、そういうものなのだろうか?


便所に行くのに気合を入れるのもおかしいが、息を吐き、扉の前に立ってみた。
スーと勝手に扉が開く、中に入ると、やわらかい光が奥から灯りだした。

「・・・すごい」
さっきのぞき込んだ時には気づかなかったが、
扉の横に小さな飾り棚があり、大小さまざまの球体の砂漠石をどう積み上げたのか置いてある。
その上から光がさしている。宮殿の宝物のようだ。
・・・便所の中なのに。

反対側には緩く曲面をなした壁、同じようにゆるく曲線を描いた台。すこし傾斜になっている。
その上に突起のように付きだたものがある。
触れようと手を近づけると、そこから水があふれ出てきた。
慌てて手をひっこめると、水も止まる。
突き出しては、水をだし、引っ込めては水をとめた。
落ちた水は台の傾斜で壁際にあつまりそして消えていった。
「すごい」
この言葉しか出ない。こんな仕掛けは王都でもないだろう。
・・・便所の中なのに。

その奥に、腰掛けのような不思議な形のものがあった。
前に立つとそのフタが持ち上がり、どこからともなく水の流れる音がしてきた。
びくっと一歩下がったのは内緒だ。
しゃがむのではなく、この上に座るというのか?
なかを覗けば、すこし水が入っていた。
ここの便所は土中に空間を作りそこに大きめの桶を置く。
木枠を組んでフタをして、用を足すときにはフタをずらして桶の中にする。
終わったあとは、匂い消しの草で、しりをふき、それも桶の中にすてる。
砂漠石のほんのちいさな石をいれるので匂いが上がってくることはない。

ここには匂い消しの草は置いていない。なにで拭くんだ?
よこにある丸いこれを押せばでてくるのか?
これも砂漠石なのか?多角でカットしてあるのか、キラキラと光を反射している。
もう、なにも言うまい。

とにかく、腰巻と下着を外し、座ってみることにした。
ずっと水の音はしている。
・・・便所の中なのに。

腰を下ろしたところはじわっと暖かかった。
立上りそうになったが、がまんした。
なんといか、ここちよい。座るところも、固いと思ったが若干やわらかい。
なんの材質でできているのだろう?
ずっと座っていたい。
・・・便所の中なのに。

不思議なもので、下半身丸出しだと条件反射か、出るものだ。
終わったら、これを押すんだな。丸出しのままで。

「!!!!!」

思わず叫び声が出そうになった。
腰も若干上がる。あたたかなお湯が尻を洗い流している。シュワシュワとする。
私の中で叫び声とは違う何かが出てきそうだった。
それを何とか押しとどめると、風がしりを、乾かしているのか?
やめてくれ・・・

我慢できずに立ち上がり振り返ると、シューっという音ともに出した汚物は消えてなくなった。
ただ、茫然とした、下半身丸出しで。

なんとか気を持ち直し、身なりを整え、水を出し、手を洗う。
この水も少し暖かく、シュワシュワしている。
なんなんだ。

奴はここの世界の人間ではない。
私はやっと理解できた。

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