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19:実食、砂トカゲ
しおりを挟むきれいに片付いたテーブルには、きちんとランチョンマットが置いた有り、
おいおい女子力たけーなーと思わず言いそうになった。
暦とカレンダーはテーブルの正面にある壁に不思議石で作っただ有ろう飾り棚に
きちんと飾ってあった。
さすがお貴族様は品がよろしいようで。
「手伝うことはない?」
と、聞いた。手伝いを必要としてるようには見えないがこれは礼儀である。
「いや、もうない。座ってくれ。
火を使ってないから、保存食を混ぜたり挟んだものばかりだが、味はいいはずだ。
この前、ゼムが置いていった酒もある。飲めるか?」
「あ、飲む飲む♪」
これはうれしい。お酒は好きなほうだ。
白い皿にはオードブルのように
いろいろなものがセンス良く盛り付けられていた。
おしゃれなグラスも置いてある。
「石でな、グラスを作ってみたんだ。
昔、家にあった奴を思い出して。なかなかうまく再現できた。
これだけの石があれば、井戸の水をくまなくても湯あみができる。
あまりにも贅沢だが、思わずな、作ってしまった。
タロスの服はどうだ?大きさは大丈夫だと思ったが、男物だろ?
渡してからあまりに無粋だったかと思ったが、
うまく作り直したんだな。よく似合う。」
おお、その、立て板に水のように褒めないでいただきたい。
お前はイタリア男なのか?
「・・・ありがとう。サイズはぴったりだったよ。
手触りがいいね。大事していたのがよくわかる。
ありがとうね。上に出たら、タロスさんにのお礼を言わなきゃね。
ガラスのグラスもあるのね。ガラスって一般的にあるの。」
「そうだな、ひと昔は前は貴族の財産目録に載るほどだったが、
今はぼちぼち街でも手に入るようになった。
まだまだ一般的ではないがな。」
「なるほど、窓に嵌めたりもしないの?鏡とか?」
「それはまだ王都ぐらいでしか見ないな」
「ふーん、どんどん産業は発達してるって感じだね。
すてきなグラスだね。ありがとう。夕食の用意もね、ありがとう。」
「いや、こちらこそ、ありがとう。なにもかもだ。
さぁ、食べよう。
この肉が砂漠トカゲで、これはサボテンの酢漬けだ。
あとは・・・」
「おいしいね。ありがとう。」
そういうと、嬉しそうに微笑んでくれた。
砂トカゲは意外に柔らかく、ジャーキーとローストビーフの間ぐらいだ。
それをビスケットのようなパンのような、丸いものに品よく乗せてあり、
サボテンのピクルスのみじん切りが乗っている。
うーん、リッツパーティー。
全体に味は濃いめだが、久しぶりの食事。体も動き出したのか、
食べながらでもおなかが鳴りそうだった。
お酒もうまい。しかし、アルコール度数はかなり高いのか、これでは後でお風呂に入れない。
水割りで飲むことにした。
「お風呂もね、うまくできたと思うよ。
それで、海峡石?あの青いのは水を出せる。温度の調整もできた。」
まだある青い石を取り出して、半分残っているお酒に冷たい水を注いだ。
「あんまり飲むと酔っぱらっちゃうからね。薄めて飲ましてもらうね。
マティスもお風呂入るんでしょ?酔うと入れないよ?
これで飲んでみる?」
石を差し出して薄めるように勧めてみた。
「あ、とんがってるところを人差し指と親指ではさんんで、そう、
冷たい水がでるように軽く思えばでる、と、思う。」
言われたようにグラスの上にもち凝視しながら水を注いだ。
「すごいな。」
「ふふ、うん、すごいね。」
薄めた酒もお気に召したようだ。
ただ、冷たい分飲みやすいのか、ガバガバ飲んでる。
「お風呂はいっといでよ。説明するから、行こう。
あ、石鹸ってある?」
水割りを3杯目あたりから無口になり、
これはなんだ?と質問にのみ答えていたが、それもなくなってきたので
風呂に入るように勧める。
「・・・石鹸。ある。あれは大事なんだ。」
「そうか、そうか。大事なものでよかったよ。えっと、使う?」
「使う!泉のような風呂なんだろ?使う!」
「いや、そこまで大きくないけど、手足は十分伸ばせるよ。
んじゃ、着替えと、タオル?体を拭く布と石鹸持っておいで?」
「はいっ」
酔って幼くなったマティスは少しおぼつかない足取りで
ベットのほうに向かった。
んー、風呂は危険か?しかし、楽しみにしてるし、まぁ、大丈夫だろう。
「風呂に行こう!」
「はいはい、風呂に行こう」
「ではでは、説明するよ。
入り口は、便所と一緒ね。勝手に開くから。
ここが脱衣。服脱いでね。この棚に置くと。あ、今は脱がなくていいから。
んで、この扉。これは自動じゃないから、手で押して。
こっちの空間がシャワー室。石鹸と、タオルはここに置いて。
このボタンを押すと上についてる海峡石からお湯が出る。
温度調整は念じてください。勢いもね。
んで、軽く体を洗ったら、こっちの湯舟ね。
結構広いでしょ。中に段を作ってるから、のぼせそうになったら
座ったりしてね。
で、この壁についてるのがやっぱり海峡石で、
水が出たりお湯が出たり。追い炊きはできないから、熱いお湯で温度調整ね。
あふれたお湯は床にしみてどこかに行くから安心して。
でだ、この縁にあるのがジャグジー、押すでしょ?」
またしてもおもしろ顔をさらしながら、黙ってみていたマティスだが、
ジャグジー機能を披露するとやっとお約束の
「・・・すごい。」
と、行ってくれた。
透明な海峡石は風を生むようだ。
それを押すことによって発生するようにした。制御は不思議石大先生だ。
「酔いも覚めたみたいね。えーと、常識だけど、ここでおしっこしちゃだめよ?
結構水分取ってるからトイレに行ってから、お風呂ね。」
「・・・ああ、わかった。」
あら、可愛げがなくなったわ。
「お湯の温度はちょっとぬるいかな?そこらへんは好みで。
そこにある栓は抜かないでね。みんな排水するから。
わたしは片付けと、台所作るから。
あ、海峡石の水はお酒で割るにはいいけど、直接飲むには味はないから、
そこの砂漠石から出せばいいからね。」
と、埋め込んだ棚に置いてあるコップとシュガーポットもどきに丸く成型した石をいれたものを指さした。
お風呂に入りながら水を飲んだりアイスを食べるのが好きなので、棚を作っておいたのだ。
いそいそとトイレに行って、お風呂の扉の前でなぜか気合をいれて入っていった。
さ、片付けと、台所を作ろうかな。
台所は、あんまりこだわりがないのよね、料理を作んないから。
実家の台所の再現でいいかな・・・
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