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102:家族
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倒れるセサミナを抱きとめ、寝椅子に寝かせた。
「なにをしたんだ?」
「ん?気圧を変えたんだよ。スポット的に。
こう、空気が薄くなると息苦しくなるでしょ?そんな感じ。
殺気ではないわな。」
「まがまがしさを感じたぞ?」
「え?ほんと?このクソガキ、どうしてくれようか?って思ったから?」
「クソガキね。セサミナは私と10しか違わない。」
「お、ギリギリ年下だね。良きかな良きかな。」
「・・・私は疑わなければならないのか?」
「ん?そうだよ?鵜呑みはダメだよ?弟君の話、思いっきり信じてたでしょ?」
「あれがそのままのことだとは思わない。」
「そうだね、まだなんかあるよね。それを知る必要はないけどね。
わたしのことは?え?それまじで?って思わなかった?」
「ん?愛しい人のことか?
まがまがしさはあるもののあれだけ嬉々としてやっていることに、なにを疑う?」
「ふふふ、なかなかの名演技だったでしょ?」
「ああ、セサミナが半泣きだった。昔、トカゲを初めて見て泣きそうになりながら
私をかばってくれたことを思い出したよ。」
「やん、かわいいね。さて、あの2人は当分寝てるよ。
弟君を起こそうか?月が沈むまでどれくらいの時間?」
「ああ、10時間ぐらいか? 」
「じゃ、もうすこししたら起こして、せっかく用意してくれた軽食をいただこうか?」
「用意?」
「マティスさんや、これは兄さんの為ですよ。」
「そうなのか。」
「うん、どうやら弟君は兄さん大好きっ子だね。」
「セサミナ、起きろ。」
セサミナの肩をゆする。
「ん、、、は、兄さん!無事?え?嫁?」
セサミナは私と彼女の間に入り込み、しげしげと彼女を見つめている。
彼女は赤い服を着たままだが、フードを外している。
口元の布はそのままだ。それが妙に色っぽい。
見るな、減る。
「あらためて、初めまして若き領主殿。マティスの妻です。」
妻、よい響きだ。
「兄さん?なにニヤニヤしてるんですか?さっきの赤い塊は?
男、しかもかなりの年配者だった。化けているのか?」
セサミナがさらに私を背にかばう。
「いや、あちらが化けているほうだ。」
「しかし、わたしにはわからなかった。」
『領主の力とやらを過信するなよ?若造よ?』
「!!」
「やめてやれ。怯えている。大丈夫だ、セサミナ。
お前を確かめただけだ。空想でもなんでもない私の嫁だ。」
「・・・兄さん。でも。」
「大丈夫だ。」
「あらら、怯えられるのは不本意だね。ごめんよ、若き領主殿。」
「・・・若きは余計だ。そちらは何と呼べばよいのか?」
「ん?赤い塊と。」
「とにかく、座ろう。これらの軽食は私のために用意してくれたのか?」
「ええ、兄さんがこちらに来たのは気配で分かったので。
どうぞ、食べながら話しましょう。赤い塊殿もよろしければ。」
セサミナは完全に彼女を敵対視している。
彼女もそれをニヤニヤと受けている。
「あの2人は大丈夫なのですか?」
部屋の隅に横たわってる2人を見ながら、彼女ではなく私に聞く。
横に座った彼女を見ると、セサミナが用意、正確にはゼムだが、
それらを口を覆う布をつけたまま器用に食べながら答えた。
「ん、大丈夫。寝てるだけ。ちょっと疲れがたまってるんじゃないの?
起きたら元気になってるよ?
働かせすぎだね。あんたんとこブラックなんじゃないの?」
「ぶらっく?寝ているだけならいい。疲れがたまってるのは、仕方がない。
ここ連日ろくに寝ていない。わたしもだ。」
「ふーん、なんで?」
「貴様に話す必要はない!」
「あらら、そうですか。」
「セサミナ?」
「兄さん!なんなんですか!こいつは!!本当に奥方なんですか!?」
「彼女は私の妻で、私は彼女の夫だ。そして、隠せないから言うが」
「?」
「俺の嫁は世界一なんだ。ああ、本当だ。これを言うと力が湧くな。」
「でしょ?でも、マティスのほうが世界一嫁選手権の優勝者だよ?」
「「ふふふ」」
「なんなんだ!!二人とも!!」
セサミナが怒っている、珍しい。
「ああ、すまない。誰かに言ってみたかったんだ。」
「・・・もう、いいです。兄さんのその顔をみれば安心しましたから。
それに、目が緑ですね?大丈夫なのですか?」
「ああ、対象は彼女だ。なにも問題はない。」
「・・・そうですか。ならば、なにも言いません。
赤い塊殿、どうか、兄が失望しないようにだけ、お願いします。
緑の目の対象物が失われるとその緑の目のものは生きていけない。」
「そうなの?すごい執着だね。だったら死ねばいい。」
「!なにを!!」
「ん?生きていけないんでしょ?気でも狂うの?だったら死ねばいい。
それで勤めを終わらせればいい。わたしも同じだ。マティスがいるから勤めている。
いなければ終わらせる。人にはその権利がある。あ、自殺を推奨してるわけではないよ?
それで、終わらすのも有りだって話。それをできるだけ無くす努力はするよ?」
「・・・奥方の考え方は変わっていますね。」
「ああ、でも、また憂いが一つ消えたよ、愛しい人。」
「あ、まだ気にしてるの?なんぎなやっちゃなー。」
そうか、彼女がいなくなった後の事のことなぞ憂いても仕方がないのだ。
彼女は私の頭を撫でまくっている。セサミナの前で恥ずかしいが、ちょっとうれしい。
「・・・それで?結局どこにいたんですか?」
「サボテンの森だ。」
「え?よくご無事で。」
「ああ、それはいろいろと。草原を抜けて北に行く。
その前に街で仕入れたいものがあったんだ。巻き込まれなくてよかったよ。」
「・・北ですか?ジットカーフ?なぜと聞いても?」
「深い意味はない。海の幸が食べたいそうだ、世界一の嫁が。」
「・・・そうですか。海を有するジットカーフは海峡石の本産地です。気を付けてください。」
「おお、やっぱり親玉があるのかな?楽しみだね。」
セサミナがあきれ顔で彼女を見る。
その気持ちはわからないでもない。
「王都と辺境のことは私は関われないし、関わりたくもない。
だが、お前の兄の一人だ。お前の味方だと思っていてくれ。」
「その言葉だけで充分です、ありがとう、マティ兄さん。」
「それでな、こんな時に何だが、ハゲチャビンのことはいいとして、
街の人々に結婚の祝いをもらたんだ。
祝いをもらったらお返しをするのが”妻”の国の風習だそうで、
いろいろ用意したんだ。悪いが、ちょっと見てくれるか?問題なければお前から渡してくれ。」
「妻を強調しなくてもいいですよ?直接渡したほうが喜ばれますよ?
みな心配しています。」
「そうなんだがな、やはり先に見てくれるか?
ああ、ちょっと、背を向けていてくれるか?
なんだ?お前、肩がパンパンだぞ?ちょっと横になれ。
そのあいだ、荷を用意するから。」
彼女に荷物を出すようにたのみ、
小袋から出すところを見られないように寝椅子に横になるように促す。
「え?兄さん?なに?・・・あっ・・・ん・・・」
彼女で鍛えたこのまっさあじの腕をとことん披露した。
セサミナはすぐに寝息を立てて寝てしまった。余程疲れているか。
「お?寝ちゃったね。でさ、なんか、すごい敵対心むき出しなんだけど?なんで?」
「お前が脅すからだろう。それにこいつに若いは禁句だ。
辺境領主のなかでも一番若いからな。引き継いだ時は今よりもっと若かったから
なかなかうまくいかなかったと聞いた。かわいそうに、苦労をしたんだ。」
「いや、そりゃ、ほんとは兄ちゃんたちがするべきことを、末っ子に押し付けたからでしょ?
その押し付けた本人がいうことじゃないよね?」
「・・・そうだな。」
「あ、ごめん、ごめん。責めてるんじゃないよ?
頑張ってるんだからさ、かわいそうとか言わずに、応援すればいいだけだよ?ね?」
彼女がセサミナのそばに立ち
耳元でささやいた。
『体の不調は目覚めれば無くなっている。』
「そうだな。ああ、愛しい人、愛している。」
「え?何で今?いや、わたしもだよ?それより、もう一回起こして?
お店広げたから。」
店?なるほど、床に露天商のように広げている。
「セサミナ、起きろ。よだれが出てるぞ?」
彼女のよだれ姿はかわいいが、さすがにこれはかわいくない。
よかった、彼女限定で。
「う、な?え?ああ、寝てしまった?あ、肩が軽い!すごい!兄さん!!」
あ、これはかわいい。
「マティス、ニヤついてるよ?わかるけど?
わたしから説明するね、内祝い、あー、お返しね、うちの方であるもんなんだけど、
こっちにはなさそうなんだ、なんかまずいもんだったら教えてほしいんだ。」
セサミナは、よだれを拭きながら領主の顔に戻り、品々を見ていく。
表情はどれも厳しい顔だ。
「まずね、ゴム。ゴムの木ってあるのね。その樹液にクエン酸を混ぜて、
硫黄と熱で、まーいろいろやって、こう伸び縮みするの。
いろいろ用途はあるけど、パンツのゴムとかね。あと、靴底とか?
次は鉛筆と消しゴム。紙はあるけど、書くのって付けペンでしょ?
これは黒鉛と粘土を混ぜて木で挟んでるの。ナイフで削ってつかうのね。
消すときはさっきのゴムにオイルを混ぜたもの。これでこすると消える。
炭で地面に落書きするみたいな感じね。
これは、色ガラスを銅でつなげて、この中に光るものをいれて、
上にお皿に水と好きな香のオイルを数滴入れて熱で蒸発とともに、ほら、おしゃれーみたいな?
色ガラスは、んー鉱物と混ぜれば色がつく?詳しくは、ごめんわからんのよ。」
セサミナがゴムを伸ばし、鉛筆で落書きをし、消しゴムで消す。
色ガラスからこぼれる光と香りにうなずいていた。
「こうしてみると、ちょっと内祝い的には変なものばっかりだね。
パンツのゴムなんか渡してどうするんだって話。鉛筆も。ダメだな。
やっぱり、定番でタオルとかにしておく?
あ、タオルってこれね。木綿で、こう、輪っかをつくって編むみたいな?
吸水性がいいよ?」
タオルはカバンから出して見せていた。
「ね?マティスどうしよ?」
「いいと思たんだがな、実用的で。はんばあぐは?」
「あれは別にここでださなくてもいいでしょ?雑貨屋さんにはこっそり見に行くよ。
ほかの商品も見たいしね。ご主人は先見の明があるよ?」
「そうなのか?ん?セサミナ?どうした?」
「はんばあぐ!あるのですか!?」
「え?おなかすいてるの?軽食ってのはわたしがほとんど食べたからか?
あ?ラスク食べる?あのかごに入ってるから、マティス出してあげて?
コーヒーもポットのあるよ。そのあいだ、ハンバーグ出すよ。」
「セサミナ?こっちに。なに怖い顔しているんだ?
やはりまずいものだったか?
これは私が作ったんだ。
コーヒーといっしょに食べろ。甘いものは疲れをとる。
ここでいれるのとは違う入れ方だが、こちらのほうがうまい。
さあ、どうそ、召し上がれ。」
暖かいコーヒーを不格好だがティーカップにいれ、
ラスクを数枚さらに並べた。
コーヒーの良い香りがする。このぽっとはすぐれものだ。
「コーヒー?これが?いい香りです。
これは?パン?固い・・・甘い。あ、おいしい。乳酪?これを兄さんが?」
「うまいか?パンを乾燥させて乳酪を塗って砂糖をまぶしてまた焼くだけなんだが、
簡単でうまいだろ?コーヒーは、砕いて湯に入れるんではなく、布で濾すんだ。
入れ方にコツがいるが、これも誰でも入れられる。
不思議と人に入れてもらったコーヒーのほうがうまいと感じるんだ。」
「あ、あんまりおやつを食べすぎるとこれたべれんようになるよ?
はい、これね、ハンバーグ。チーズが入ってるやつ。熱いよ?」
焼き立てを収納していたのか、皿に今焼いたばかりの
はんばあぐを出してきた。どう言い訳するんだ?
「あ、なんで、湯気が出てるんだとかそういうの疑問におもわなくていいから。
工業国スパイルってのは石に頼らず発展してるんだね。
これはそこで作った道具でお肉を細かくしてまた丸めて焼いたものだよ。」
「街の雑貨屋がふしぎな肉を売り出している。
数に限りがあって人気なんだが、わたしでも1度だけ食べただけだ。
・・・これは、あの味よりさらにうまい。中に、チーズか?おいしい。」
セサミナが夢中で食べている。わかる。私も食べたい。
「え?雑貨屋の親父、そっちに行っちゃたのか?馬鹿だねぇ。」
彼女は心底がっかりしている。
「なぜだ?儲かるからだろ?」
「はっ!マティスもたいがいお間抜けだね?」
「なに!」
彼女は時々私を間抜け扱いする。
「あのね、こういう話があるのよ、よくお聞き?
昔ね、ある山に金が出たんだ。そりゃもう、猫も杓子も一獲千金を狙って山に入った。
でも、そんなに金なんてあるわけがない。あっても奪いあいだ。
本当に金を掘り当てて金持になった人間なんて、一人か2人。
もしかしたら、金目当てに殺されてるかもしれない。
そんな中で、唯一金持になった人間がいる。誰だと思う?」
「・・・それはやはり金を掘り当てて、奪われずにすんだ人間だろ?それとなにが関係ある?」
「ふふふ、違うよ。金を探しに来た人間にシャベルを売りつけた道具屋が一番儲けたんだよ。
あの飴の雑貨屋が売るのはハンバーグそのもじゃなくて、ミンサーを売るべきなんだよ?」
「・・・なるほど。」
「餅は餅屋。自分が何屋かを考えないとね。」
食べながら話を聞いていたセサミナは
口を拭うと、おもむろに彼女の前に跪いた。
「セサミナ?」
腹でも痛いのか?
「今までの無礼をお許しください。赤い塊殿、いえ、賢者殿。
その大いなる英知をお授けください。」
そうなるのか?
彼女は笑っていた。
『ははは、その呼び名は気に食わんな?若き領主殿?
さきにいくつか質問に答えてくれるか?』
また男の声で答える。気に入ったのか?
しかも言霊を使って聞いている。
「なんなりと。」
『工業国な?そこは砂漠石も海峡石も出ないな?』
「はい。」
『発展しだしたのは、ここ100年というところか?』
「はい。800年前の変動の後、かなり貧しい国になり
600年の間に技術を高め、砂漠が豊かになりだした200年前からも
石に依存せず、技術を高めたいたと聞きます。
今では石はそれなりに使用しているとは聞きますが、
それほど密着していないとも聞いております。」
『だれか派遣しているのか?伝聞のみ?』
「物の行き来は民の間ではありますが国同士ではさほど交流がありません。」
『なぜ?』
「我々には魅力的な工業製品でも、向こうにとってこちらの砂漠石は
さほど必要ないからです。恥ずかしながら相手にしてもらえないというのが現状です。」
『それで?』
「・・・それで、お見せいただいたこれらの製品がこの国で、いえ、この領地で生産することができれば
王都からの支配を受けることなく、辺境と取引でき、独立することもできます。
事実、工業国はそうして独立した国の一つです。」
独立?そんなことを考えていたのか?
「なーるほーどねー。」
彼女が彼女に戻る。
「賢者殿?」
「その呼び名は嫌だといったよ?英知と言ってもわたしはなんも知らんよ。
この製品を見て、どうなってるか考えてそれで作れるんならいいんじゃないの?」
「それで、十分です。わたしも研究者の端くれ、再現して見せます。」
「そういうのってさ、最初はいいけど、すぐにまねされないの?」
「いえ、そこは、それこそ石の力を使うのです。
スパイル国もその時のみ石を使います。」
「おお、情報は力なのね。」
「!そうです。情報が力なのです!」
セサミナが喜んでいる。これも珍しい。
コーヒーを飲みながら2人のやり取りを見ていた。
彼女お得意の話が大脱線だが、祝い返しはどうするのだろうか?
「マティス?どうしようか?お礼できなくなったね。
これを先に渡しちゃうとややこしくなるから。
うーん、ラスクとマヨネーズと、うーん、苦渋の決断!樹脂蜜のラスクセットにしようか?」
「それでいいと思うぞ?まよねえずはやめとけ。それもややこしくなる。」
「そっか。うん。可愛い籠にして、こう、なんかギフトセットみないなの作るよ。
あ、どうしよう?どこでする?もういい加減時間たったし、いったん帰ろうか?」
「え?賢者殿!
兄さんも、館に来てください。
それで、もう少し詳しくこれらのことをわかる範囲でいいのでお教えください。」
『その名で呼ぶな。若き領主よ?主もこう呼ばれるのは嫌なのだろう?
領主に若いもなにも関係ないからな。
我を好きなように呼べばいいが、その呼び名は気に入らない。
なぜなら我は賢者ではないからだ。
我はなんだ?それをよく考えろ。それで、今後のことが決まると思え。』
「そ、そんな!」
「ははは、そうゆってやるな。
セサミナ、今日だけ世話になってもいいだろうか?
一部屋貸してくれればいいい。それで、悪いがこの部屋のように防音を施してくれ。
探りもなしだ。」
「それはもちろん。では、来ていただけるんですね?」
「いいな?」
「アイアイアサー。」
「では、あの2人には適当に説明しておけ。
後で屋敷に行く。部屋だけは用意しておいてくれ。」
「あ、晩御飯は弟君も食べないで?いっしょに食べよう。」
「いいのか?」
「ん?いいんじゃないの?ダメ?」
「お前がいいのならいいさ。ありがとう。」
「ふふふ。お礼をゆうんだね。変なの。
んじゃ、お店片付けて出ていくから。弟君はそうね、20ほど数える間目をつぶってて?」
「え?兄さん?」
「ああ、彼女の言うとおりに。必ず行くから。」
「はい、お待ちしております。その、姉さんも。」
「いやん、正解!かわいい!!」
彼女がセサミナに飛びつき頭を撫でまわしてる。
「やめろ!離れろ!」
なんてことだ。年上好きではなく年下も好きなのか!
セサミナも嬉しそうに笑うな!胸にうずくまるな!
「ふふふ。マティスさんや、男の嫉妬はみっともないよ?
あー、家族ができたよ、うれしいね。」
「え?私は?」
私は家族ではないのか?
「ん?マティスは半身だよ?」
彼女はいつも私を喜ばす。
私もセサミナと彼女に抱き付いた。
「なにをしたんだ?」
「ん?気圧を変えたんだよ。スポット的に。
こう、空気が薄くなると息苦しくなるでしょ?そんな感じ。
殺気ではないわな。」
「まがまがしさを感じたぞ?」
「え?ほんと?このクソガキ、どうしてくれようか?って思ったから?」
「クソガキね。セサミナは私と10しか違わない。」
「お、ギリギリ年下だね。良きかな良きかな。」
「・・・私は疑わなければならないのか?」
「ん?そうだよ?鵜呑みはダメだよ?弟君の話、思いっきり信じてたでしょ?」
「あれがそのままのことだとは思わない。」
「そうだね、まだなんかあるよね。それを知る必要はないけどね。
わたしのことは?え?それまじで?って思わなかった?」
「ん?愛しい人のことか?
まがまがしさはあるもののあれだけ嬉々としてやっていることに、なにを疑う?」
「ふふふ、なかなかの名演技だったでしょ?」
「ああ、セサミナが半泣きだった。昔、トカゲを初めて見て泣きそうになりながら
私をかばってくれたことを思い出したよ。」
「やん、かわいいね。さて、あの2人は当分寝てるよ。
弟君を起こそうか?月が沈むまでどれくらいの時間?」
「ああ、10時間ぐらいか? 」
「じゃ、もうすこししたら起こして、せっかく用意してくれた軽食をいただこうか?」
「用意?」
「マティスさんや、これは兄さんの為ですよ。」
「そうなのか。」
「うん、どうやら弟君は兄さん大好きっ子だね。」
「セサミナ、起きろ。」
セサミナの肩をゆする。
「ん、、、は、兄さん!無事?え?嫁?」
セサミナは私と彼女の間に入り込み、しげしげと彼女を見つめている。
彼女は赤い服を着たままだが、フードを外している。
口元の布はそのままだ。それが妙に色っぽい。
見るな、減る。
「あらためて、初めまして若き領主殿。マティスの妻です。」
妻、よい響きだ。
「兄さん?なにニヤニヤしてるんですか?さっきの赤い塊は?
男、しかもかなりの年配者だった。化けているのか?」
セサミナがさらに私を背にかばう。
「いや、あちらが化けているほうだ。」
「しかし、わたしにはわからなかった。」
『領主の力とやらを過信するなよ?若造よ?』
「!!」
「やめてやれ。怯えている。大丈夫だ、セサミナ。
お前を確かめただけだ。空想でもなんでもない私の嫁だ。」
「・・・兄さん。でも。」
「大丈夫だ。」
「あらら、怯えられるのは不本意だね。ごめんよ、若き領主殿。」
「・・・若きは余計だ。そちらは何と呼べばよいのか?」
「ん?赤い塊と。」
「とにかく、座ろう。これらの軽食は私のために用意してくれたのか?」
「ええ、兄さんがこちらに来たのは気配で分かったので。
どうぞ、食べながら話しましょう。赤い塊殿もよろしければ。」
セサミナは完全に彼女を敵対視している。
彼女もそれをニヤニヤと受けている。
「あの2人は大丈夫なのですか?」
部屋の隅に横たわってる2人を見ながら、彼女ではなく私に聞く。
横に座った彼女を見ると、セサミナが用意、正確にはゼムだが、
それらを口を覆う布をつけたまま器用に食べながら答えた。
「ん、大丈夫。寝てるだけ。ちょっと疲れがたまってるんじゃないの?
起きたら元気になってるよ?
働かせすぎだね。あんたんとこブラックなんじゃないの?」
「ぶらっく?寝ているだけならいい。疲れがたまってるのは、仕方がない。
ここ連日ろくに寝ていない。わたしもだ。」
「ふーん、なんで?」
「貴様に話す必要はない!」
「あらら、そうですか。」
「セサミナ?」
「兄さん!なんなんですか!こいつは!!本当に奥方なんですか!?」
「彼女は私の妻で、私は彼女の夫だ。そして、隠せないから言うが」
「?」
「俺の嫁は世界一なんだ。ああ、本当だ。これを言うと力が湧くな。」
「でしょ?でも、マティスのほうが世界一嫁選手権の優勝者だよ?」
「「ふふふ」」
「なんなんだ!!二人とも!!」
セサミナが怒っている、珍しい。
「ああ、すまない。誰かに言ってみたかったんだ。」
「・・・もう、いいです。兄さんのその顔をみれば安心しましたから。
それに、目が緑ですね?大丈夫なのですか?」
「ああ、対象は彼女だ。なにも問題はない。」
「・・・そうですか。ならば、なにも言いません。
赤い塊殿、どうか、兄が失望しないようにだけ、お願いします。
緑の目の対象物が失われるとその緑の目のものは生きていけない。」
「そうなの?すごい執着だね。だったら死ねばいい。」
「!なにを!!」
「ん?生きていけないんでしょ?気でも狂うの?だったら死ねばいい。
それで勤めを終わらせればいい。わたしも同じだ。マティスがいるから勤めている。
いなければ終わらせる。人にはその権利がある。あ、自殺を推奨してるわけではないよ?
それで、終わらすのも有りだって話。それをできるだけ無くす努力はするよ?」
「・・・奥方の考え方は変わっていますね。」
「ああ、でも、また憂いが一つ消えたよ、愛しい人。」
「あ、まだ気にしてるの?なんぎなやっちゃなー。」
そうか、彼女がいなくなった後の事のことなぞ憂いても仕方がないのだ。
彼女は私の頭を撫でまくっている。セサミナの前で恥ずかしいが、ちょっとうれしい。
「・・・それで?結局どこにいたんですか?」
「サボテンの森だ。」
「え?よくご無事で。」
「ああ、それはいろいろと。草原を抜けて北に行く。
その前に街で仕入れたいものがあったんだ。巻き込まれなくてよかったよ。」
「・・北ですか?ジットカーフ?なぜと聞いても?」
「深い意味はない。海の幸が食べたいそうだ、世界一の嫁が。」
「・・・そうですか。海を有するジットカーフは海峡石の本産地です。気を付けてください。」
「おお、やっぱり親玉があるのかな?楽しみだね。」
セサミナがあきれ顔で彼女を見る。
その気持ちはわからないでもない。
「王都と辺境のことは私は関われないし、関わりたくもない。
だが、お前の兄の一人だ。お前の味方だと思っていてくれ。」
「その言葉だけで充分です、ありがとう、マティ兄さん。」
「それでな、こんな時に何だが、ハゲチャビンのことはいいとして、
街の人々に結婚の祝いをもらたんだ。
祝いをもらったらお返しをするのが”妻”の国の風習だそうで、
いろいろ用意したんだ。悪いが、ちょっと見てくれるか?問題なければお前から渡してくれ。」
「妻を強調しなくてもいいですよ?直接渡したほうが喜ばれますよ?
みな心配しています。」
「そうなんだがな、やはり先に見てくれるか?
ああ、ちょっと、背を向けていてくれるか?
なんだ?お前、肩がパンパンだぞ?ちょっと横になれ。
そのあいだ、荷を用意するから。」
彼女に荷物を出すようにたのみ、
小袋から出すところを見られないように寝椅子に横になるように促す。
「え?兄さん?なに?・・・あっ・・・ん・・・」
彼女で鍛えたこのまっさあじの腕をとことん披露した。
セサミナはすぐに寝息を立てて寝てしまった。余程疲れているか。
「お?寝ちゃったね。でさ、なんか、すごい敵対心むき出しなんだけど?なんで?」
「お前が脅すからだろう。それにこいつに若いは禁句だ。
辺境領主のなかでも一番若いからな。引き継いだ時は今よりもっと若かったから
なかなかうまくいかなかったと聞いた。かわいそうに、苦労をしたんだ。」
「いや、そりゃ、ほんとは兄ちゃんたちがするべきことを、末っ子に押し付けたからでしょ?
その押し付けた本人がいうことじゃないよね?」
「・・・そうだな。」
「あ、ごめん、ごめん。責めてるんじゃないよ?
頑張ってるんだからさ、かわいそうとか言わずに、応援すればいいだけだよ?ね?」
彼女がセサミナのそばに立ち
耳元でささやいた。
『体の不調は目覚めれば無くなっている。』
「そうだな。ああ、愛しい人、愛している。」
「え?何で今?いや、わたしもだよ?それより、もう一回起こして?
お店広げたから。」
店?なるほど、床に露天商のように広げている。
「セサミナ、起きろ。よだれが出てるぞ?」
彼女のよだれ姿はかわいいが、さすがにこれはかわいくない。
よかった、彼女限定で。
「う、な?え?ああ、寝てしまった?あ、肩が軽い!すごい!兄さん!!」
あ、これはかわいい。
「マティス、ニヤついてるよ?わかるけど?
わたしから説明するね、内祝い、あー、お返しね、うちの方であるもんなんだけど、
こっちにはなさそうなんだ、なんかまずいもんだったら教えてほしいんだ。」
セサミナは、よだれを拭きながら領主の顔に戻り、品々を見ていく。
表情はどれも厳しい顔だ。
「まずね、ゴム。ゴムの木ってあるのね。その樹液にクエン酸を混ぜて、
硫黄と熱で、まーいろいろやって、こう伸び縮みするの。
いろいろ用途はあるけど、パンツのゴムとかね。あと、靴底とか?
次は鉛筆と消しゴム。紙はあるけど、書くのって付けペンでしょ?
これは黒鉛と粘土を混ぜて木で挟んでるの。ナイフで削ってつかうのね。
消すときはさっきのゴムにオイルを混ぜたもの。これでこすると消える。
炭で地面に落書きするみたいな感じね。
これは、色ガラスを銅でつなげて、この中に光るものをいれて、
上にお皿に水と好きな香のオイルを数滴入れて熱で蒸発とともに、ほら、おしゃれーみたいな?
色ガラスは、んー鉱物と混ぜれば色がつく?詳しくは、ごめんわからんのよ。」
セサミナがゴムを伸ばし、鉛筆で落書きをし、消しゴムで消す。
色ガラスからこぼれる光と香りにうなずいていた。
「こうしてみると、ちょっと内祝い的には変なものばっかりだね。
パンツのゴムなんか渡してどうするんだって話。鉛筆も。ダメだな。
やっぱり、定番でタオルとかにしておく?
あ、タオルってこれね。木綿で、こう、輪っかをつくって編むみたいな?
吸水性がいいよ?」
タオルはカバンから出して見せていた。
「ね?マティスどうしよ?」
「いいと思たんだがな、実用的で。はんばあぐは?」
「あれは別にここでださなくてもいいでしょ?雑貨屋さんにはこっそり見に行くよ。
ほかの商品も見たいしね。ご主人は先見の明があるよ?」
「そうなのか?ん?セサミナ?どうした?」
「はんばあぐ!あるのですか!?」
「え?おなかすいてるの?軽食ってのはわたしがほとんど食べたからか?
あ?ラスク食べる?あのかごに入ってるから、マティス出してあげて?
コーヒーもポットのあるよ。そのあいだ、ハンバーグ出すよ。」
「セサミナ?こっちに。なに怖い顔しているんだ?
やはりまずいものだったか?
これは私が作ったんだ。
コーヒーといっしょに食べろ。甘いものは疲れをとる。
ここでいれるのとは違う入れ方だが、こちらのほうがうまい。
さあ、どうそ、召し上がれ。」
暖かいコーヒーを不格好だがティーカップにいれ、
ラスクを数枚さらに並べた。
コーヒーの良い香りがする。このぽっとはすぐれものだ。
「コーヒー?これが?いい香りです。
これは?パン?固い・・・甘い。あ、おいしい。乳酪?これを兄さんが?」
「うまいか?パンを乾燥させて乳酪を塗って砂糖をまぶしてまた焼くだけなんだが、
簡単でうまいだろ?コーヒーは、砕いて湯に入れるんではなく、布で濾すんだ。
入れ方にコツがいるが、これも誰でも入れられる。
不思議と人に入れてもらったコーヒーのほうがうまいと感じるんだ。」
「あ、あんまりおやつを食べすぎるとこれたべれんようになるよ?
はい、これね、ハンバーグ。チーズが入ってるやつ。熱いよ?」
焼き立てを収納していたのか、皿に今焼いたばかりの
はんばあぐを出してきた。どう言い訳するんだ?
「あ、なんで、湯気が出てるんだとかそういうの疑問におもわなくていいから。
工業国スパイルってのは石に頼らず発展してるんだね。
これはそこで作った道具でお肉を細かくしてまた丸めて焼いたものだよ。」
「街の雑貨屋がふしぎな肉を売り出している。
数に限りがあって人気なんだが、わたしでも1度だけ食べただけだ。
・・・これは、あの味よりさらにうまい。中に、チーズか?おいしい。」
セサミナが夢中で食べている。わかる。私も食べたい。
「え?雑貨屋の親父、そっちに行っちゃたのか?馬鹿だねぇ。」
彼女は心底がっかりしている。
「なぜだ?儲かるからだろ?」
「はっ!マティスもたいがいお間抜けだね?」
「なに!」
彼女は時々私を間抜け扱いする。
「あのね、こういう話があるのよ、よくお聞き?
昔ね、ある山に金が出たんだ。そりゃもう、猫も杓子も一獲千金を狙って山に入った。
でも、そんなに金なんてあるわけがない。あっても奪いあいだ。
本当に金を掘り当てて金持になった人間なんて、一人か2人。
もしかしたら、金目当てに殺されてるかもしれない。
そんな中で、唯一金持になった人間がいる。誰だと思う?」
「・・・それはやはり金を掘り当てて、奪われずにすんだ人間だろ?それとなにが関係ある?」
「ふふふ、違うよ。金を探しに来た人間にシャベルを売りつけた道具屋が一番儲けたんだよ。
あの飴の雑貨屋が売るのはハンバーグそのもじゃなくて、ミンサーを売るべきなんだよ?」
「・・・なるほど。」
「餅は餅屋。自分が何屋かを考えないとね。」
食べながら話を聞いていたセサミナは
口を拭うと、おもむろに彼女の前に跪いた。
「セサミナ?」
腹でも痛いのか?
「今までの無礼をお許しください。赤い塊殿、いえ、賢者殿。
その大いなる英知をお授けください。」
そうなるのか?
彼女は笑っていた。
『ははは、その呼び名は気に食わんな?若き領主殿?
さきにいくつか質問に答えてくれるか?』
また男の声で答える。気に入ったのか?
しかも言霊を使って聞いている。
「なんなりと。」
『工業国な?そこは砂漠石も海峡石も出ないな?』
「はい。」
『発展しだしたのは、ここ100年というところか?』
「はい。800年前の変動の後、かなり貧しい国になり
600年の間に技術を高め、砂漠が豊かになりだした200年前からも
石に依存せず、技術を高めたいたと聞きます。
今では石はそれなりに使用しているとは聞きますが、
それほど密着していないとも聞いております。」
『だれか派遣しているのか?伝聞のみ?』
「物の行き来は民の間ではありますが国同士ではさほど交流がありません。」
『なぜ?』
「我々には魅力的な工業製品でも、向こうにとってこちらの砂漠石は
さほど必要ないからです。恥ずかしながら相手にしてもらえないというのが現状です。」
『それで?』
「・・・それで、お見せいただいたこれらの製品がこの国で、いえ、この領地で生産することができれば
王都からの支配を受けることなく、辺境と取引でき、独立することもできます。
事実、工業国はそうして独立した国の一つです。」
独立?そんなことを考えていたのか?
「なーるほーどねー。」
彼女が彼女に戻る。
「賢者殿?」
「その呼び名は嫌だといったよ?英知と言ってもわたしはなんも知らんよ。
この製品を見て、どうなってるか考えてそれで作れるんならいいんじゃないの?」
「それで、十分です。わたしも研究者の端くれ、再現して見せます。」
「そういうのってさ、最初はいいけど、すぐにまねされないの?」
「いえ、そこは、それこそ石の力を使うのです。
スパイル国もその時のみ石を使います。」
「おお、情報は力なのね。」
「!そうです。情報が力なのです!」
セサミナが喜んでいる。これも珍しい。
コーヒーを飲みながら2人のやり取りを見ていた。
彼女お得意の話が大脱線だが、祝い返しはどうするのだろうか?
「マティス?どうしようか?お礼できなくなったね。
これを先に渡しちゃうとややこしくなるから。
うーん、ラスクとマヨネーズと、うーん、苦渋の決断!樹脂蜜のラスクセットにしようか?」
「それでいいと思うぞ?まよねえずはやめとけ。それもややこしくなる。」
「そっか。うん。可愛い籠にして、こう、なんかギフトセットみないなの作るよ。
あ、どうしよう?どこでする?もういい加減時間たったし、いったん帰ろうか?」
「え?賢者殿!
兄さんも、館に来てください。
それで、もう少し詳しくこれらのことをわかる範囲でいいのでお教えください。」
『その名で呼ぶな。若き領主よ?主もこう呼ばれるのは嫌なのだろう?
領主に若いもなにも関係ないからな。
我を好きなように呼べばいいが、その呼び名は気に入らない。
なぜなら我は賢者ではないからだ。
我はなんだ?それをよく考えろ。それで、今後のことが決まると思え。』
「そ、そんな!」
「ははは、そうゆってやるな。
セサミナ、今日だけ世話になってもいいだろうか?
一部屋貸してくれればいいい。それで、悪いがこの部屋のように防音を施してくれ。
探りもなしだ。」
「それはもちろん。では、来ていただけるんですね?」
「いいな?」
「アイアイアサー。」
「では、あの2人には適当に説明しておけ。
後で屋敷に行く。部屋だけは用意しておいてくれ。」
「あ、晩御飯は弟君も食べないで?いっしょに食べよう。」
「いいのか?」
「ん?いいんじゃないの?ダメ?」
「お前がいいのならいいさ。ありがとう。」
「ふふふ。お礼をゆうんだね。変なの。
んじゃ、お店片付けて出ていくから。弟君はそうね、20ほど数える間目をつぶってて?」
「え?兄さん?」
「ああ、彼女の言うとおりに。必ず行くから。」
「はい、お待ちしております。その、姉さんも。」
「いやん、正解!かわいい!!」
彼女がセサミナに飛びつき頭を撫でまわしてる。
「やめろ!離れろ!」
なんてことだ。年上好きではなく年下も好きなのか!
セサミナも嬉しそうに笑うな!胸にうずくまるな!
「ふふふ。マティスさんや、男の嫉妬はみっともないよ?
あー、家族ができたよ、うれしいね。」
「え?私は?」
私は家族ではないのか?
「ん?マティスは半身だよ?」
彼女はいつも私を喜ばす。
私もセサミナと彼女に抱き付いた。
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